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061・1_閑話・八つ当たり

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

 ■■■■■■■■■■

 061・1_閑話・八つ当たり

 ■■■■■■■■■■



 これはある日のことだが、俺は屋敷で大人しく料理に勤しんでいた。

 迷宮牛の肉をミンチにして、パン粉と微塵切り玉ねぎと一緒に固めたものを焼いている。

 そう、ハンバーグである。


「このような料理があるだすか」

 料理人のゾッパが手伝いながら作り方を学ぶ。次からはゾッパが作ってくれるだろう。


 ハンバーグは空気抜きが大事。これは焼いた時に中の空気が膨張して破裂しない対策ね。

 両手の間でキャッチボールして、空気を抜く。

 フライパンで焦げ目がつくまで焼き、その後はオーブンでしっかり焼く。


 ハンバーグをオーブンに入れて焼く間に、ソース作りだ。

 モモをすり潰して、キツネ色になるまで火を通した玉ねぎと混ぜる。さらにバーガンを入れる。

 バーガンは臭みがあるから、生姜を少し入れて臭いを消す。


 ブルーチーズのような発酵食品がゴルテオ商店に売っていたから、それをスライスして白ワインで溶く。焦がさずドロッとするくらいがいい。

 チーズはこれしかなかった。癖が強いけど、贅沢は言えないよね。


 焼けたハンバーグを鉄板に載せ、チーズをかける。

 フライパンに残った肉汁をソースに混ぜて、それをチーズの上からかける。


「よし完成だ」

 食欲を誘ういい匂いだ。


 全員で試食会。


「う、美味いっ!?」

「なんだこれはっ!?」

 バースとジョジョクは涙を流している。お前たち、日頃どんなものを食っているんだ?


「美味しすぎます……」

「このジャストが癖になります」

 リンとソリディアが恍惚とした表情をしている。


 ちなみにジャストというのがブルーチーズの正式名称。面倒だからブルーチーズでいいよね。


「力が湧いてきそうな料理ですな」

 ガンダルバンは肉ならなんでもそう言うんじゃないか。一口が大きく、あっという間にハンバーグが消えていく。


「美味しいのです! 手が止まらないのです!」

 ロザリナは食べながら喋るの止めような。お行儀わるいからね。


「このソースが凄く良いです。味わい深いです」

 この世界にモモをソースに入れる文化はないらしい。

 日本ではモモのジュースをベースにしたハンバーグのソースをよく作っていた。ある店の味を再現するのに丁度良かったんだ。


「おいしゅうございます。旦那様は料理への造詣が深く、このモンダルク、脱帽にございます」

「モンダルク様の言う通りだす。色々な料理を見てきたおいらも知らない料理が多いだす」

 異世界の料理だから、モンダルクやゾッパたちが知らないのは当然だ。でもこれでゾッパがハンバーグの作り方を覚えたから、メニューに追加された!


「これほど美味しい料理は食べたことがありません」

「美味しすぎて、食べるのに夢中になってしまいます」

 メリスとジュエルにも好評だ。


「あああ……生きてて良かったでしゅ……」

 おっちょこちょいメイドのケニーも満足しているようだ。


「トーイ様の料理はとても美味しいです。美味しすぎますから食べすぎて太ってしまいそうです」

「アンネリーセはスリムだから、少しくらい大丈夫だよ」

 太りすぎは勘弁してほしいけど、女性は少しくらいふくよかなほうが可愛いと俺は思う。


「ダメです。トーイ様にみっともない体を見せるわけにはいきませんから」

「お、おう……そうか」

 見せてくれるんだ。嬉しいよ。これからもしっかりと見させてもらうからね。


 アンネリーセと見つめ合っていると、周囲の視線が俺たちに集まっていた。

「ゴホンッ。旦那様と奥様はいつご結婚されるのでしょうか?」

「なっ!?」

「えっ!?」


 モンダルクが爆弾発言を落としてきた。

 だけどアンネリーセとのことはちゃんと考えないといけない。


「わ、わ、わ、わ、わ、私などご主人様の……はぅ……」

 テンパったアンネリーセが挙動不審になる。顔が真っ赤だ。

 それと今でも俺のことを「ご主人様」と呼ぶ。無意識の時はこちらのほうが多い。これは少し残念に思っているが、癖になってしまったのだろう。





 美味しいハンバーグを食べた後は、素振りをする。

 腹ごなしとアンネリーセにどうやって俺の気持ちを伝えるかを考える。


 毎日一緒に寝ているし、一緒に風呂にも入る。だけど俺とアンネリーセの関係は主従の関係から発展していない。

 今後もアンネリーセと一緒に居たい。今のアンネリーセは自由の身だから、いつでも俺の下から離れていける。そうなってほしくないし、独占したいと思う。これは俺のエゴなのだろうか?


「よし、言おう!」

「何を言うのですか?」

「うわっ!?」

 剣を振って考え事していたから、近くにアンネリーセが居るのに気付かなかった。


「い、いや、なんでも……いや、あれなんだ」

 アンネリーセは首を傾げる。可愛い。どんな所作でもアンネリーセは絵になる。


「俺は……」

「はい」

 アンネリーセの目を真っすぐ見れない。気にすると余計に見れなくなる。


「いや、なんでもない」

「そうですか……」

 気まずい。この場から逃げたい。


 彼女いない歴イコール年齢の俺には、告白はハードルが高い。

 理不尽な奴らにはいくらでもなんでも言えるが、好意を寄せる女性には何も言えない。自分でも嫌になるほどのヘタレだ。




 アンネリーセへの気持ちを伝えたくても伝えられない。

 ヘタレな俺は、悶々とした感情をぶつけた―――モンスターに。


「とりゃーっ」

「せいっ」

「はっ」

「こんやろーっ」

 7階層の属性リザードをバッタバッタと切り伏せる。


 ある時は転生勇者、ある時は両手剣の英雄、またある時は暗殺者。してその正体は、剣豪のトーイです。


 こういう時のメインジョブに、エンチャンターはダメだ。自分で剣を振って戦えるこれらのジョブがいい。だからサブジョブにしていたら、一番レベルが上がってしまった(笑)



【ジョブ】転生勇者Lv33

【スキル】聖剣召喚(中) 身体強化(中) 聖魔法(中) 限界突破(中) 威圧(中) 聖覇気(中) 貫通(中) 手加減(低) 聖剣秘技(微)

【ユニークスキル】詳細鑑定(高) アイテムボックス(高) ダブルジョブ 下級精霊召喚(1/1)



【ジョブ】両手剣の英雄Lv33

【スキル】指揮(中) 全体HP自動回復(中) 身体強化(中) バスタースラッシュ(中) アイススラッシュ(中) アシッドストライク(中) 完全見切り(中) 経験値集約(低) 念話(微)



【ジョブ】暗殺者Lv33

【スキル】急所突き(中) 隠密(中) 痕跡抹消(中) 神速(中) 感知(中) 壁抜け(中) 偽装(中) 罠(中) 捕縛(低) 立体機動(微) 影移動(微)



【ジョブ】剣豪Lv33

【スキル】ダブルスラッシュ(中) 心眼(中) 質実剛健(中) 鋭敏(中) 一点突破(中) 夢幻剣(中) 兜割(中) 剣豪奥義(低) 魂の叫び(微)



【ジョブ】エンチャンターLv35

【魔 法】魔力強化(中) エンチャント・ハード(中) エンチャント・アクセル(中) エンチャント・ファイア(中) エンチャント・アイス(中) エンチャント・アタック(中) エンチャント・リジェネーション(中) エンチャント・マナネーション(低) エンチャント・サイクロン(低) エンチャント・アース(低) アイテム・エンチャント(低) エンチャント・ディフェンス(微) エンチャント・マジックディフェンス(微) エンチャント・インテリジェンス(微) エンチャント・レジストポイズン(微)



 

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク』と『いいね』をよろしくです。


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マイホーム・マイライフ【普通の加護でも積もれば山(チート)となる】
― 新着の感想 ―
びっくりど(ry 若いのに両思いで告白躊躇するのはどうなんやろ? 勇者なんやろ?
[気になる点] 裸は堂々と見れるのに告白はできないってどうなんだ?
[一言] ハンバーグソースに桃…わからん…どこの驚きロバの味なんだ(すっとぼけ)
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