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059_アイテム・エンチャント

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 059_アイテム・エンチャント

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 メインジョブをエンチャンターに変え、サブジョブを転生勇者に変更。これが一番MPが多い組み合わせだ。

 作業台の上に6本の剣を並べた。城から帰ってくる途中で買ったものだ。



 ・鉄の片手剣A : ATK+8 STR+1 耐久値25/25


 ・鉄の片手剣B : ATK+9 耐久値30/30


 ・鉄の片手剣C : ATK+9 耐久値31/31


 ・鉄の片手剣D : ATK+10 耐久値30/30


 ・鉄の片手剣E : ATK+10 STR+1 耐久値29/29


 ・鉄の片手剣F : ATK+11 STR+1 耐久値30/30



 鉄の片手剣をこんなに買ってどうするのか。その疑問に答えよう!

 エンチャンターLv30で覚えたスキル・アイテム・エンチャントは、アイテムにエンチャント・ファイアなどを定着させるものだ。消費MPがかなり多いが、こうやって鉄の剣にエンチャントをしようと試みている。


 エンチャントに必要なものは、元になるアイテム―――この場合は剣と魔石だ。

 今回はEランク魔石を用意している。Fランク魔石は魔力が少ないからマジックアイテム製作には不向きだと詳細鑑定が教えてくれた。




「アイテム・エンチャント発動。エンチャント・ファイア」


 鉄の片手剣Aにエンチャントを施したところ、ヒビが入って粉々になってしまった。

 失敗は成功の母と言うからな。今度は鉄の片手剣Bに試してみたが、これも失敗。


 詳細鑑定で見ていたが、耐久値の上限値が一気に減ってしまい剣が耐えきれなかったようだ。

 鉄の片手剣では耐久値が不足しているのは明らか。鋼鉄の片手剣で試してみるか。

 神様がくれた武器だが、ほとんど使うことのなかったものだ。



 ・鋼鉄の片手剣 : ATK+15 STR+3 耐久値45/45



「アイテム・エンチャント発動。エンチャント・ファイア」

 ギューンッと耐久値が減っていき、ゼロになったところでヒビが入って割れてしまった。


「おいおい……。さすがにミスリルの両手剣で試す気はないぞ」

 アイテム・エンチャントはアイテムの耐久値を著しく消費する。これでは仮にアイテム・エンチャントが成功しても、耐久値のないものになってしまう。


 何か耐久値を大幅に上げるか、アイテム・エンチャントで耐久値を減らさない対策が必要だ。

「もしかしたら鉄系のアイテムに相性が悪いということはないか?」


 ガンダルバンたちが訓練で使っている刃を潰した銅の片手剣を使って試した。

 結果、銅の片手剣は粉々になった。素材の差ではなく耐久値の問題……いや、まだモンスターからドロップした素材を試してない。


 バースが使っていたガーゴイルバスターが1本余っていたから試すことにした。

「ご主人様。ガーゴイルバスターはボスモンスターのレアドロップ品ですよ」

 俺の実験を見守っていたアンネリーセが半眼だ。分かっているよ。でもさ、試さなければ分からないことがあるんだよ。


「せめてガーゴイルソードにされてはいかがですか?」

 ボスモンスターのノーマルドロップアイテムのガーゴイルソードは持っていない。


 ダンジョンムーヴですぐにボス部屋に行けるけど、数日は屋敷で大人しくしていろと公爵に言われているからあまり出歩くわけにはいかないんだよな。


 石のような素材のガーゴイルバスターを見つめてどうするか思案する。

 ん、石……。石のように硬い……。

「そうだっ!?」


 鉄の片手剣Cを手に取る。

「アイテム・エンチャント発動。……エンチャント・ハード!」

 詳細鑑定で耐久値を見ていたが、まったく減らない! それどころか耐久値が大幅に上昇したぞ!



 ・鉄の片手剣C+ : ATK+18 耐久値108/108



 ATK値が2倍になり、耐久値が3.5倍になった!

 この耐久値なら属性付与も成功するんじゃないか。


「アイテム・エンチャント! エンチャント・ファイア!」

 おおお!? 耐久値は減ったが、鉄の片手剣C+にファイアが定着したぞ!


「ご主人様、成功したのですか!?」

 アンネリーセがとても嬉しそうにしている。そんなに成功したことが嬉しいのか。俺も嬉しいよ。


「ガーゴイルバスターが壊れなくて良かったです」

 そっちかーいっ!


 まあいいよ。ガーゴイルバスターは一般的に高価だからね。

 ボス周回して10体も倒せば1本くらいドロップするから、全然レアでもない気がしていた俺の感覚がおかしいんだろう。



 ・ファイアソード : ATK+18 追加効果火傷(微) 耐久値58/58 (鉄の片手剣C + Eランク魔石 + エンチャント・ハード + エンチャント・ファイア)



 鉄の片手剣C+からATK値に変化はないけど、追加効果がちゃんとついているぞ!

 エンチャント・ハードはATK値と耐久値を上げ、属性エンチャントは追加効果を与えるわけか。


 エンチャント・ハードのATK値上昇は+9なのか、それとも2倍なのか。それは他の剣にエンチャントを施していけば分かるだろう。

 でももうMPがすっからかんだからMPポーションを飲んでも全回復しないから数本飲む必要がある。げっぷー。


 最初にエンチャント・ハードをしないといけないけど、アイテム・エンチャントは成功を重ねた。



 ・アイスソード : ATK+20 追加効果凍傷(微) 耐久値55/55 (鉄の片手剣D + Eランク魔石 + エンチャント・ハード + エンチャント・アイス)


 ・サイクロンソード : ATK+20 STR+1 風属性攻撃(微) 耐久値51/51 (鉄の片手剣E + Eランク魔石 + エンチャント・ハード + エンチャント・サイクロン)


 ・アタックソード : ATK+47 STR+1 斬撃強化(微) 耐久値55/55 (鉄の片手剣F + Eランク魔石 + エンチャント・ハード + エンチャント・アタック)



 どれも性能が大幅にアップした感じを受ける。

 アタックソードなど、ミスリルの両手剣以上のATK補正値だ。しかも片手剣というところがいい。両手剣の英雄は使えないが、剣豪でも暗殺者でも使えるものだ。


 耐久値はエンチャント・ハードで3.5倍になって、各エンチャントを施すことで50ポイント減るが、そもそもがかなり高くなっているから、問題ない。


「ゴルテオ商店に行こう!」

 ダンジョンには行かないが、ゴルテオ商店ならいいだろう。と勝手に思っている。


「今日は何も連絡こないと思うけど、連絡あったらすぐ帰ってくると言っておいてくれ」

「承知しました」

 モンダルクに後をたのんで、俺はゴルテオ商店に向かった。


 俺の移動は馬車で、御者はジュエルがする。貴族だから馬車移動しろとモンダルクがうるさい。


 アンネリーセがついてくるのはマストだけど、兵士のジョジョクが馬でついてくる。

 俺は要らないと言ったんだけど、こっちはガンダルバンがジョジョクを護衛として連れていけとうるさいんだ。


 貴族関係のことはモンダルクが、護衛や力仕事の時はガンダルバンがうるさい。

 あと、俺の前でニコニコしているアンネリーセは、時々辛辣。本当に時々だよ。




「これはフットシックル名誉男爵様。ようこそおいでくださいました」

「フットシックル名誉男爵は長いし仰々しいからトーイでお願いします。ゴルテオさん」

「それではトーイ様とお呼びさせていただきます」

「はい。それでお願いします」

 今日はゴルテオさんが居て、案内してくれる。武器や防具が置いてあるエリアに向かい、そこに置いてあるものを物色する。


 さすがにミスリル製のものは高額だ。鋼鉄製の武器と防具をいくつか購入した。

 ミスリル製の武器と防具もあるけど、高いから今回は買ってない。アイテム・エンチャントの熟練度が上がったらミスリルのアイテムにもエンチャントしよう。





「見てほしいものがあるのですが」

 ゴルテオさんが個室に案内してくれる。商談スペースかな。


 無造作に袋に入れられた4本の剣を、ジョジョクが持ってくる。

 馬車の中でアイテムボックスから出して袋に放り込んだものだ。馬車を降りる時に自分で運ぼうとしたら、ジョジョクが持ってくれた。


「確認させていただきます。……むっ!?」

 スキル・アイテム鑑定を使ったようで、ゴルテオさんはファイアソードを持ったまま微動だにしない。本当に動かないけど、息してるよね? 目だけ忙しなく動かしているから大丈夫だろう。


「これをどこで手に入れられましたか?」

「それは秘密で」

「なるほど。仕入れ先は明かせないということですね」

 俺がエンチャントしたとは言えないだけですよ。何せエンチャンターのことは秘密にしているので。


 ゴルテオさんは納得したような表情で話を進めた。

「ファイアソード、アイスソード、サイクロンソード、アタックソード。どれも魔剣ですな」

「引き取ってもらうことは可能ですか?」

「製作者が不明の魔剣は、やや値が下がります。それでもよろしいでしょうか?」

「構いませんよ」

 ゴルテオさんは頷いて、1本1本に値段をつけていった。


 ファイアソードは10万グリル、アイスソードは12万グリル、サイクロンソードは30万グリル、アタックソードはなんと45万グリルだ。


 元は鉄の片手剣でEランク魔石とMPポーションがぶ飲みくらいしか経費はかかっていない。元手はファイアソードの半分の5万グリルもかかってないから、美味しい金策になるな。


「アタックソードが高いですね」

「ファイアソードとアイスソードは発動する確率が低いですから安くなっています。それに比べサイクロンソードは追加効果が常時発動しますから、やや高めですね。アタックソードは追加効果こそないですが、物理攻撃が非常に高いものですから、安定したダメージが期待できますので高額になります」


 以前見た雷鳴剣などは効果が複数ある。そういうことでかなり高くなっているらしい。


「自動修復の効果があればもっと高く買い取れるのですが、これらにはついてません」

 自動修復か……エンチャント・リジェネーションを付与すればつきそうだな。考えてみたら、エンチャント・ハード以外は1つしかエンチャントしてないな。次は2つ目をエンチャントしてみようかな。


 

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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やっぱりちょっと考えが足らない主人公だなー、って思います。 目立ちたくない!って言ってる割には、盗賊に狙われていて成果物をギルドで売れなかったからって、解決したら溜まってたダンジョン成果物を一挙にギル…
[一言] これ自分が売った魔剣が王女からもらったりしてwww
[気になる点] 魔剣を大量に市場に流すのは面倒事のタネになりそー
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