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055_7階層ボス周回

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

 ■■■■■■■■■■

 055_7階層ボス周回

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 転生63日目は7階層のボス周回だ。

 バースが冒険者、ソリディアがネクロマンサーに転職したからそれぞれレベル1になっている。そこら辺を考えて、安全に狩れるように皆を配置。

 ガンダルバンが敵対心を引き受けてくれるから、2人に攻撃が行くことは滅多にない。滅多にないだけで絶対ではない。


「弓はどうだ?」

 革鎧を着込んだバースに武器の確認。

「命中率はまだ低いですが、なんとか」

 バースの武器は弓になっている。昨日今日で百発百中なわけがない。味方に当てなければそれでいい。


 バースの武器が剣だとモンスターに近いから、弓に替えたわけじゃない。

 ジョブ・冒険者は剣が扱えないらしいのだ。剣が重く感じるようになったから、槍や斧など色々な武器を試した。そしたら鞭、弓、短剣がしっくりきたわけ。

 冒険者で鞭とか映画の主人公ぽいけど、鞭は選んでない。バースは短剣を腰に差して、基本は弓で攻撃させることにした。うちには弓を使う兵士は居ないから丁度よかったんだ。

 もちろん矢の代金は俺が出している。矢が高いと言っても、石の鏃だと100本で6000グリル、鉄の鏃だと100本で1万5000グリル、グレイラットのレアドロップの鋭い前歯の矢だと10本で6000グリルで買える。鋭い前歯の矢はちょっとお高めだけど、そこまで気にする額じゃない。最初は石の鏃の矢を100本、鉄の鏃の矢を200本、鋭い前歯の矢を20本購入しておいた。


 この7階層のボスであるライトリザードから得られるアイテムの換金額を考えれば、矢を消費しても十分に元が取れる金額だ。


「ソリディアも準備はいいか?」

「いつでも大丈夫です」

 ソリディアの触媒も俺がお金を出している。部下が使う武器や防具は、主である俺が用意するものだ。触媒は呪術士にとって武器と同じだからね。


「今回はジョブが今までと違う人が4人も居るから、頼んだぞガンダルバン」

「お任せください」

「よし、行こうか」

 ボス部屋の扉をジョジョクとバースが開き、全員が入っていく。


 俺も今日はメインジョブが剣豪でサブジョブは両手剣の英雄にしている。剣豪はオープンにしているからレベルを上げておいて問題ないし、両手剣の英雄にはスキル・指揮がある。指揮でガンダルバンたちの能力が20パーセントも底上げされるから、レベル1が2人も居る今回には丁度いいスキルだ。


「召喚します」

 ソリディアは腰のポーチから、触媒を取り出した。

 今のソリディアはネクロマンサーLv1だから、スケルトンしか召喚できない。取り出した触媒は、手のひらに乗るくらいのスケルトンの模型だ。ポーチに入れていてよく壊れないものだと思うような、骸骨の模型になる。


「サモン、スケルトン」

 触媒を床に落とすとパリンッと割れ、光の粒子が床に魔法陣を描いていく。やっぱり格好いいな。

 魔法陣の中心からスケルトンの頭が現れ、徐々に上昇して全身が露わになると魔法陣が消えた。


 スケルトンは180センチくらいで、右手に80センチくらいの棍棒を持っている。棍棒は標準装備らしい。


「いいなぁ、俺もネクロマンサーが良かったよ」

「しつこいですよ、ご主人様。それに今は戦いに集中してください」

「はーい」

 アンネリーセに窘められてしまった。彼女はしっかりと意見を言ってくれるから助かっている。


 アンネリーセの言葉で俺は気を引き締めて、ミスリルの両手剣をアイテムボックスから取り出した。


「バースの弓とアンネリーセの魔法で開戦だ」

 俺の指示でバースが弓に石の鏃の矢を番え、弓を引き絞った。バースが狙いを定める。ちょっと腕がプルプルしている。笑ってはいけないが、吹き出しそうになる。


 ボス部屋の真ん中辺りで動かないライトリザードに矢が飛んでいく。山なりの矢はライトリザードのお尻付近に当たったが、弾かれて刺さらなかった。レベル1のATK値ではこんなものだろ。


「ファイアストーム」

 矢が弾かれた直後、アンネリーセの魔法が発動。ライトリザードの巨体が炎の渦に包まれる。

 嫌がって身をよじるライトリザード。怒りの瞳でアンネリーセを睨む。


 ライトリザードが突進してくる。ガンダルバンが駆け出す。

「アンガーロック」

 ガツンッと鈍い音がした。ライトリザードの体当たりを受け止めた鋼鉄の盾が悲鳴をあげているようだ。


 俺もダッシュして、一気にライトリザードの横に回り込んで斬りつける。反対側ではジョジョクも斬りつけていた。さすがはソードマスターだ。

 そのジョジョクの脇から槍が出てきた。リンだ。彼女の姿は大柄なジョジョクに隠れてまったく見えなかった。


 ロザリナが尻尾を避けながら後方から攻撃。よく当たらないものだと感心する。

 その横ではスケルトンがライトリザードに棍棒を振り下ろしているが、こっちはノーダメージだ。でもこれでいい。スケルトンが攻撃に加われば、ソリディアにも経験値が入る。経験値は均等に入るみたいだから、1回でも攻撃しておけばいいのだ。


 ローズがライトリザードの体に茨のつるを巻きつける。動きが鈍るだけでなく、HPをじわじわ減らしていくやっかいな攻撃だ。味方で良かったよ。


 俺たちの攻撃で良い感じにライトリザードのHPが減っていく。

「よし、今だ!」

 HPの減り具合を見ていた俺が、皆にスキル攻撃を指示した。


「スキル・一点突破! ダブルスラッシュ!」

 敵のDEF値0、防御系スキルの効果を無効にする一点突破を発動させ、ダブルスラッシュを叩き込むと、ライトリザードのHPが大きく減った。


「ラッシュなのです!」

 ロザリナの手数が3倍になり、ライトリザードのHPが削られていく。


「パワーアタックだっ」

 ガンダルバンのパワーアタックが炸裂する。


「トリプルスラッシュッ」

 ソードマスターのジョジョクのスキル攻撃。


「ライトニングランス!」

 槍聖のリンのスキル攻撃。


「ブースター! マナスラッシュ!」

 アンネリーセの魔法。


 これだけの攻撃が叩き込まれたライトリザードのHPは、一気に減ってゼロになって消滅した。


「皆、怪我はないか?」

「「「「ありません」」」」

「ないのです」

 近接戦闘していた皆が即答。


 バースとソリディアが攻撃されることはなかったし、ブレスはアイテムボックスホイホイで回収したからガンダルバン以外で攻撃を受けたのは居ないはずだ。


 詳細鑑定でレベル1コンビを確認。お、レベル上がってるな。いい感じいい感じ。

「よし、この調子でガンガンいくぞ」


 ライトリザード周回して、2人だけでなく俺たちもレベルが上がる。


 冒険者Lv25になったバースの弓は相変わらずの命中率だけど、威力は確実に上がっている。攻撃力はそこまで高くないが、途中からライトリザードに刺さるようになった。俺たちに当たっても今まではダメージなかったけど、今は当たるとHPが減るから命中率アップがんばれ。訓練あるのみかな。

 それとジョブ・冒険者はレベル5でアイテムボックスを覚えた。俺以外で荷物運びできる人材が増えて大助かりだ。


 ネクロマンサーLv25になったソリディアも骨族召喚(スケルトン系召喚)だけでなく、屍族召喚(グール系召喚)と霊体族召喚(ゴースト系召喚)を覚えた。

 ボス戦の後に少しだけ休憩するが、その時に触媒を作ってグールとゴーストも召喚できるようになっている。

 骨族召喚の熟練度が上って(低)になると、棍棒装備のスケルトンだけでなく剣装備のスケルトンソルジャーも召喚できるようになった。さらに熟練度は(中)になるとスケルトンナイトが召喚可能になり、ライトリザードにダメージを与えている。

 ソリディアのレベルが上がると、召喚した眷属たちのレベルも上がるから毎回召喚し直していることから消費MPがそこそこ多い。


「あと1回ライトリザードを倒したら、今日は帰ろう。これで最後だ、気を抜かずに行くぞ」

 1回だけ他のパーティーがボス部屋に入って行ったのを挟んで、本日20回目のライトリザード戦だ。1回の戦闘は10分かからないが、休憩もしているからいい時間になっているはずだ。


 時計があれば時間が分かるんだけど、時計はない。この世界の人は朝と言えば朝日が上った直後のうす暗い時間帯を差すし、太陽が高ければ昼だし、太陽が沈んだら夜だ。その程度の時間感覚しか持っていない。

 でも体内時計が結構正確らしく、アンネリーセが切り上げようと言って、ダンジョンを出ると毎回夕方なんだよ。これはアンネリーセだけだろうか?




 7階層のボス部屋周回最後の一戦。

 俺たちがボス部屋に入ると、いつものように両開きの扉が閉まる。ボス部屋の真ん中辺りから光の粒子が立ち上って、ボスが現れる。


「ん? なんだあれ?」

 現れたボスは真っ黒だった。


「ダークリザード……だと?」

 詳細鑑定で確認したらそんな種族名だった。

 ライトリザードがレベル35だったのに対して、このダークリザードのレベルは37だ。ライトリザードよりも強いレアなボスモンスターらしい。


「ダークリザードLv37。物理耐性と魔法耐性を持っている。ブレスは武器や防具だけじゃなく、人間の体も腐食させるぞ」

「なんとも厄介なモンスターですな」

 防御は鉄壁、攻撃も厭らしい。探索者泣かせのボスモンスターだ。


 こっちはバースとソリディアのレベルが25。俺は剣豪が31と転生勇者が33になった。あとは全員レベル35になっている。スキルを駆使すれば、苦労はするが倒せるはずだ。


「サモン、スケルトンナイト」

 3つの魔法陣から3体のスケルトンナイトが現れる。スケルトンなのに鎧を着て盾まで持っている。もう少しレベルが高かったら、十分タンクとして役にたつと思う能力値だ。しかも触媒とMPさえあれば、何体でも召喚できる。本当に便利でいいよな。


「だが、勝つのは俺たちだ!」

「「「「「応!」」」」」

「はいなのです!」

「ご主人様に勝利を!」


 バースの弓矢、アンネリーセの魔法の攻撃で開戦。俺たちはそれぞれの受け持ち場所に走る。すでに何度も経験している位置取りだ。間違えることはない。


「ローズ、頼む」

 ふわりと俺の周りを飛ぶと、ダークリザードの体に茨のつるが巻き付く。

 それを嫌がったダークリザードが暴れるが、3体のスケルトンナイトがそれを受け止める。骨が軋む音なのか、かなり嫌な音がする。


 俺たちは自然と体が動き、ダークリザードに攻撃をしかける。俺の定位置はガンダルバンの左横だ。俺の位置がここになったのは、ある理由から。


「きたぞ、ブレスだ」


 ―――アイテムボックス!

 そう、このためにこの場所になったのだ。目の前でブレスが見えるこの位置がベストポジションだ。


 目の前でダークリザードのブレスが、何もない空間に吸い込まれていくようだ。

 ガンダルバンのアンガーロックで敵対心がしっかり固定されているから、アイテムボックスホイホイも簡単だ。


 皆がそれぞれの役目を果たせば、結果は自ずとついてくる。

 ダークリザードは硬かったが、ブレスを防いでしまえば問題ない。時間がかかるけど、集中を切らすほどの時間でもない。


 7階層ボス周回は、ダークリザードを最後に終了した。

 今回の収入は、次の通りだ。


<ライトリザード>

 ・光のEランク魔石。ギルド換金額10万グリル。13個130万グリル。

 ・ライトランス。ギルド換金額20万グリル。10個200万グリル。

 ・光の宝魔石。ギルド換金額70万グリル。4個280万グリル。

 ・合計換金額は610万グリル。


 ダークリザードからドロップした闇のDランク魔石は珍しいとアンネリーセが言うから売ってない。何かに使えるかもしれないし、いつでも売れるからアイテムボックスに収納中だ。


 しかしボス周回は凄い儲けだな。名誉男爵の1年の俸給の半分を儲けてしまった。ここからガンダルバンたちに危険手当を出しても、俺の懐には大金が入ってくる。


 やめられまへんな。うへへへ。


 

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク』と『いいね』をよろしくです。


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マイホーム・マイライフ【普通の加護でも積もれば山(チート)となる】
― 新着の感想 ―
[気になる点] これだけ強いジョブが集まってくるとアンネリーセの魔法使いが平凡に見えてくるな。ヒロインなんだしジョブ進化させてあげてもいいんじゃないか? [一言] もうレベル35に到達してるからバルカ…
[良い点] やはり冒険者有能ジョブだった もっとレベル上がればもしかしてアレを覚えちゃったりして 冒険者増やして貿易無双部隊を作ってもいいんじゃないかな 各地のグルメとか垂涎の作物の種とか探索させる…
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