051_ジョブ進化
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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051_ジョブ進化
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7階層のボスは白いトカゲだ。今までのリザードよりも大きく、5メートルくらいあるだろう。
ライトリザードLv35。光のトカゲ。こいつの吐くブレスは光のレーザーっぽい。コロ●ーレーザーか!?
「対応は今まで通りだ。ローズも頼んだぞ」
ふわふわと了承するローズ。
「よし、行け!」
「「「「「応!」」」」」
「はいなのです!」
「ファイアストーム!」
アンネリーセの魔法で開戦。それぞれが、それぞれの役目を果たす。
ガンダルバンはアンガーロックでライトリザードの敵対心を固定し、ロザリナと兵士たちは力の限り攻撃する。
俺もセイントクロスを発動。これは聖魔法の熟練度が(中)になって使えるようになった攻撃魔法だ。
光の十字がライトリザードに吸い込まれ、爆発する。光属性のライトリザードに、光の十字攻撃は効くのだろうかと心配だったが、属性が聖だから効いたようだ。
ライトリザードが口を開け、ブレスの予備動作を行った。
何もない空中から茨が出てきてライトリザードの口から顔全体に巻きついていく。茨の棘が細かい鱗を突き抜けて刺さり、ライトリザードの血が垂れる。
ローズはレベルアップしてレベル29になっているから、茨の威力がかなり上がってきた。
茨で口を塞がれ、ブレスを吐けないライトリザードは巨体を駆使して暴れまくった。ある意味、全体攻撃の暴れ方だ。
ガーゴイルバスターの石化は発動しない。ボスには効かないのか、レジストされているのどちらかだろう。
ボスだけあってライトリザードのDEFやMDEF、それにHPが高い。苦戦しているように見えるが、ガンダルバンが安定しているから危なげなく戦えている。
「集中を切らすな、あと半分だぞ」
俺はライトリザードのHPとガンダルバンのHPを管理しながら、ガンダルバンを回復しつつセイントアタックとセイントクロスでチクチク攻撃。
前衛たちもそうだが、後衛の俺とアンネリーセもちゃんと働いている。
ダメージとしてはアンネリーセの魔法が一番削っている。俺も魔法で攻撃しているが、全体を見ながら指示しているしガンダルバンのHP管理もしているからダメージはそこまで多くない。
「唸れ、ヴァイオレンスアタックッ!」
剛腕騎士Lv30で覚えたスキル・ヴァイオレンスアタック。攻撃を受けたら受けただけATK値が上昇するスキルだ。
今のガンダルバンのレベルだと、15発も被弾したらATK3倍のパワーアタックよりもATK値が高くなる。
ジョジョク、バース、リン、ソリディアもスキルを発動。
「ラッシュなのです」
ロザリナも鉄拳、蹴撃、ラッシュを発動させて、畳みかけた。
「あと少しだ」
「ブースター。多重魔法。マナストライク。ファイアストーム」
ブースターは魔法威力を2倍にするスキル。レベル25で覚えたものだ。
多重魔法は2つの魔法を同時に発動できるスキル。レベル30で覚えている。
2つの魔法を同時に発動させ、さらに威力が2倍になる。派手な魔法がライトリザードを包み込んだ。
苦しんだライトリザードが後ろ足立ちになって、ドスンッと倒れた。消滅したから倒したようだ。
「怪我してないか?」
「問題ありません」
血を流す怪我をしていると、継続的にHPが減っていく。誰も怪我してないことを確認し、改めて皆を労う。
「ご主人様。これがありましたのです」
「槍?」
槍の先の刃の部分が光った槍だ。うす暗いダンジョン内ではライト代わりにいいかも。
詳細鑑定したら、ライトランスだと分かった。ライトリザードのノーマルドロップだ。
「「あっ!?」」
ライトランスの詳細を読んでいると、ジョジョクとリンが声を出した。なんだと思ったら、2人が薄っすらと光った。
「これは……種族進化?」
ロザリナの時に似ているが、光の量が少ない。
光はすぐに収まり、2人の容姿は変わってない。考えたら、俺がハイヒューマンになった時は光らなかったし、容姿も変わってない。
種族によって進化時のエフェクトに誤差があるのだろうか?
「ジョブが進化したようです」
渋めの声でジョジョクが言う。
「私も進化したみたいです」
リンは女の子独特の高い声。
しかし種族ではなくジョブのほうが進化か。どれどれ……。
おおお、本当だ。ジョブが進化しているぞ。
ジョジョクは剣士からソードマスターに、リンは槍士から槍聖に進化だ。
レベルは引き継いでいて、能力が大幅にアップ。スキルも増えて戦闘力を上げている。
皆の能力を比較すると分かりやすいと思う。
<ジョジョク・ソードマスターLv32>
HP=201
MP=102
STR=37
VIT=30
AGI=28
INT=17
MIN=17
DEX=25
ATK=111
DEF=90
MATK=51
MDEF=51
<バース・剣士Lv32>
HP=159
MP=96
STR=28
VIT=25
AGI=24
INT=16
MIN=16
DEX=21
ATK=84
DEF=75
MATK=48
MDEF=48
<リン・槍聖Lv32>
HP=177
MP=105
STR=33
VIT=26
AGI=30
INT=17
MIN=18
DEX=25
ATK=99
DEF=78
MATK=51
MDEF=54
<ソリディア・槍士Lv32>
HP=147
MP=111
STR=26
VIT=23
AGI=24
INT=19
MIN=18
DEX=20
ATK=78
DEF=69
MATK=57
MDEF=54
装備とスキルなしの状態の能力値でこれだけの差になるが、ガンダルバンはもっと能力が高い。
<ガンダルバン・剛腕騎士Lv32>
HP=285
MP=141
STR=47
VIT=48
AGI=24
INT=12
MIN=35
DEX=24
ATK=141
DEF=144
MATK=36
MDEF=105
ガンダルバンは騎士のレベルが10台の時に剛腕騎士に進化したから、ジョジョクやリンよりも能力が高い。
ジョブが進化するメカニズムは解明されておらず、詳細鑑定も教えてはくれない。
また、ロザリナの時は村人からバトルマスターに転職したからレベルがリセットされているが、ジョブが進化する時はレベルを引き継ぐようだ。
今回の探索でアンネリーセとロザリナはレベル32になっている。俺はエンチャンターがレベル30、転生勇者が変わらずレベル26だ。
ボス戦をしていたら良い時間になったから、ダンジョンから出て探索者ギルドに向かった。最近は盗賊もうろついていないから、町中の治安は少し良くなったと思う。
「換金を頼む」
ギルドのカウンターでドロップアイテムを出す。
火、水、風、土のEランク魔石はどれも1個2万5000グリル。47個で117万5000グリル。
レアドロップは火の宝魔石と風の宝魔石が2個ずつ、水の宝魔石と土の宝魔石が1個ずつで、宝魔石はどれも1個25万グリルだから150万グリルになった。
合計で267万5000グリル。
ボスのライトリザードからドロップしたライトランスは、使うつもりだから売らずに持っておく。
しかし1日で2675万円相当の稼ぎになるとはな。8人で均等割りしても、334万円以上。7階層は狩場として美味しい。しかも魔石と宝魔石はあまり大きくないから持ち運びも楽だ。
ここで気づいたが、これまでの稼ぎを皆に分けてなかった。皆に均等に配分しようとしたが、アンネリーセに止められた。
「ご主人様の考えは素晴らしいですが、ガンダルバン様をはじめ皆さんには毎月給金を支払う契約です。ダンジョンに入った時は危険手当を増やす程度でいいのです」
均等分配したらダメとやんわり諫められた。ガンダルバンたちは仲間ではなく配下だからだそうだ。
そんなわけで、ガンダルバンには5パーセント、兵士たちには3パーセントを危険手当として配分することになった。
「アンネリーセとロザリナも3パーセントでいいかな」
「奴隷に給金を与える方は居ません」
「な、なるほど……」
ビシッと断られてしまう。いつもは微笑みながら応援してくれるアンネリーセだけど、こういうところはシビアだ。
「それじゃあ、これはお小遣いね」
「……ご主人様の優しさに感謝を」
「ありがとうなのです」
収入の8割以上を俺がもらうのって、気が引けるんだよ。少しでもそれを分散させたいわけ。
さて、魔石は属性を表す鈍い色をしているが、宝魔石は宝石のように綺麗な色をしている。実際に金持ちが宝石として使っているらしく、お値段はそれなりに高額だった。
魔石のほうは親指の先くらいの大きさで、宝魔石は小指の先くらいの大きさ。それでも内包されている魔力は段違いに宝魔石のほうが多いらしい。
綺麗だから俺も指輪にしてアンネリーセに贈ろうかな。きっとアンネリーセならどんな色の宝魔石でも似合うと思うんだ。
ご愛読ありがとうございます。
これからも本作品をよろしくお願いします。
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