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034_魔導書を使ったら……

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

 ■■■■■■■■■■

 034_魔導書を使ったら……

 ■■■■■■■■■■



 迷宮牛を倒しながら進み、ボス部屋の前に到着。

 3パーティーが順番待ちをしている。5階層のボスは人気のモンスターらしい。

「防御力は高いですが、攻撃が直線的で1体しか出てきません。ですから人気なのでしょう」

 1体しか居ない上に御しやすいから、比較的安全に狩れる。しかもレアドロップ率はモンスターによって差があり、5階層のボスはレアドロップ率が比較的高いので、おいしいボスとして有名なんだとか。俗に言う金策モンスターだね。


 そんな話を聞きつつ休憩し、俺たちの番になった。

 遺品はなし。倒し方が確立されているモンスターだから、滅多なことでは全滅しないのだろう。


 5階層のボスは迷宮大牛Lv18。

 デカい。迷宮牛よりもかなり大きい。


「はぁぁぁっ」

 ドンッ。腹の底に響くような重低音がした。

「迷宮大牛も押し込んだよ、あの子……」

 ロザリナがとてもパワフル。あの細い体のどこにそんなパワーがあるんだ?


 俺も迷宮大牛の側面からミスリルの両手剣を振り下ろす。

 こいつ本当に真っすぐしか攻撃してこない。普通の迷宮牛とは通路で戦闘したから真っすぐなのは通路のせいなんだと思っていたが、この系統のモンスターの特徴なのかな。


 攻略法が分かっているから、迷宮大牛は簡単に倒せた。苦労はない。怪我もない。


「しかし、よく迷宮大牛の突進を受け止めて押し込んだな」

 コツを教えてもらったら、俺もできるかなと思って聞いてみた。


「力ではなくタイミングなのです」

「タイミング?」

「牛がゴーッてきたら、ダンッてするなのです」

 身振り手振りを交えて教えてくれるけど、天才肌説明でした。俺にはタイミングだということしか分かりませんよ。


「レアの迷宮大牛角がドロップしました」

 アンネリーセが大きな角を抱えてくる。


「これ1個で1万1000グリルになるんだから、本当に金策モンスターだな」

 通常ドロップの迷宮大牛革でも3200グリル。しかもレアドロップ率が良いから、何度か挑戦すれば迷宮大牛角がドロップする。その証拠ではないけど、俺たちは1回でドロップした。


 難点は順番待ちが多いことか。ただ、戦闘時間は短いから、そこまで待ち時間はない。

 考えた末、俺は6階層に進むことにした。金銭的にまだ余裕がある。今のうちにできるだけ深い階層へ行こう。そうすれば、必然的に収入が増える。





 6階層は探索者ギルドの冊子がない。売ってないのだ。

「アンネリーセは6階層を探索したことある?」

「私は4階層の途中で魔導書を手に入れ、王都に拠点を移しましたから6階層は探索したことがないのです」

 4階層を探索している時に魔導書を手に入れたアンネリーセは、魔法使いに転職してすぐに王都へ拠点を移したから6階層を探索したことがないらしい。


 ここからは自力でマッピングすることになる。幸いなことにジョブ・探索者にはマッピングがある。マッピングがあれば迷うことはないだろう。


 6階層の通路は5階層までの倍以上に広い。元々高かった天井はさらに高くなっていて、開放感がある。大きなモンスターが出てくるのか、それとも大量のモンスターで囲んでくるのか。

「さて、何が出てくるか」


 6階層に出てくるモンスターはガーゴイルだった。空飛ぶ悪魔の石像だ。だから天井が高くなっているのか。

 詳細鑑定のおかげで、ガーゴイルの特徴を把握するのは簡単だ。ただ、鑑定結果を読むのに時間がかかる。


「ロザリナ。ちょっと時間をかせいでくれ」

「はいなのです」

 飛び出したロザリナがジャンプし、かなり高い場所を飛んでいるガーゴイルに迫った。


「てやっ」

 ロザリナの拳がガーゴイルに叩き込まれる。

 ガーゴイルの鋭い爪がロザリナに向けられるが、ロザリナはガーゴイルを蹴って空中を数回転して着地。アクロバティックな動きだ。俺ではとてもできないな。


 ガーゴイルはその姿のイメージ通り硬い。ロザリナの攻撃を受けてもピンピンしている。

 詳細鑑定でもVITが異常に高く、スキルに物理攻撃耐性(微)がついている。

「スキル持ちのモンスターなんて初めてだな」

 物理攻撃に高い耐性があるから、ロザリナでも倒し切れないようだ。


 よし、理解した。

「ガーゴイルは魔法に弱い。もう少しがんばってくれ」

「はいなのです」

 幸いにもアイテムボックスの中に魔導書がある。これを使えば俺も魔法使いになれるはずだ。低確率で呪術士になる可能性もないわけではないが、それを引いたら素直にアンネリーセに頼ろう。


 魔導書を開くと、この世界で見慣れた文字ではない別の文字が書いてあった。でもなぜか読める。俺は言語チートらしい。

 それは魔導文字と言われるもので、読んでいくと魔導文字が浮かび上がって俺の両の瞳に飛び込んでくる。不快感はないが、ちょっと怖かった。


 文字が浮かび上がって瞳に飛び込む不思議な光景をしばらく待つと、魔導書はその役目を終えたようですーっと消えていった。


 ステータスから選択可能ジョブ一覧を出す。

 あった! でも思っていたのと違う。『エンチャンター』というジョブがそこにあったのだ。



 ・エンチャンター : 強化魔法を操る者。エンチャンターは1万分の1の確率で発現する。スキル・魔力強化(微)、エンチャント・ハード(微)、エンチャント・アクセル(微)、エンチャントファイア(微)が使える。取得条件は魔導書を使うこと。



 ・魔力強化(微) : MP値+40、INT値+15、MIN値+10ポイント。(パッシブスキル)


 ・エンチャント・ハード(微) : 対象を硬くし全てのダメージを無効化する。消費MP8。効果時間10秒。発動後2分間使用不可。(アクティブスキル)


 ・エンチャント・アクセル(微) : 対象のAGI値を2倍にする。消費MP8。効果時間30秒。発動後5分間使用不可。(アクティブスキル)


 ・エンチャント・ファイア(微) : 対象に火属性を付与する。対象が攻撃した時に、敵に対して火属性の追加ダメージを与える。追加ダメージの威力は術者のMATK値に依存する。消費MP10。効果時間5分。発動後6分間使用不可。(アクティブスキル)



 おいおい、1万分の1に当たってしまったぞ。30分の1の呪術士どころじゃないぞ、この確率。なんでここで出ちゃうかなぁ。


 魔法使いではなかったが、転職。



【ジョブ】エンチャンターLv1

【魔 法】魔力強化(微) エンチャント・ハード(微) エンチャント・アクセル(微) エンチャント・ファイア(微)

【ユニークスキル】詳細鑑定(中) アイテムボックス(中)



【ジョブ】エンチャンターLv1

【種 族】ヒューマン

【能 力】

 HP=66

 MP=175

 STR=13

 VIT=9

 AGI=7

 INT=25

 MIN=20

 DEX=14

 ATK=74

 DEF=42

 MATK=75

 MDEF=60



「くっ……」

 転職した瞬間、ミスリルの両手剣がとても重く感じた。これはヤバいレベルの重さだ。肩が抜けるかと思った。

 ミスリルの両手剣をアイテムボックスに収納。ジョブが武器を拒否した感じがした。剣は装備できないのかと思い、鋼鉄の片手剣を装備したがやっぱり重い。鉄の片手剣もダメだ。

 さらに鋼鉄の盾も重くて装備できない。鉄の盾もだ。


 ただし、鋼鉄の胸当ては問題なかった。迷宮牛革のヘッドギア、迷宮牛革のグローブ、迷宮牛革のブーツ、幸運のネックレスも使える。手に持つ武器枠がNGのようだ。


「アンネリーセ。悪いけど、その杖を貸してもらえるかな」

「どうぞお使いください」

 アンネリーセが恭しく杖を差し出してくる。どんな仕草をしても可愛いね。


 杖は重くない。これがアウトだったら、何を装備すればいいのかって言いたい。明日はエンチャンター用の装備を見に行かないとな。



【ジョブ】エンチャンターLv1

【種 族】ヒューマン

【能 力】

 HP=57

 MP=181

 STR=6

 VIT=13

 AGI=7

 INT=26

 MIN=21

 DEX=9

 ATK=18

 DEF=66

 MATK=83

 MDEF=63



 防具のおかげでDEFはそこそこ高いが、ATKはショボい。魔法使いや呪術士は物理で殴るな、ということだろう。


 

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク』と『いいね』をよろしくです。


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なろうで小説を書いていると、改行した時に画面が上下することありませんか? カクヨムやアルファポリスに比べると使いやすいと思って使っているのですが、この点だけは不満です。

ちなみにPC変えてもあります。なんででしょうか? 文字サイズ【大】がいけないのかな?

以前、運営さんに改善してほしいと言っても、そんな問題はないと返信あったけどあるんですよね……(´;ω;`)ウゥゥ

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マイホーム・マイライフ【普通の加護でも積もれば山(チート)となる】
― 新着の感想 ―
保留から使用を決断するまでとんでもなく早かったな…! 我慢できないタイプだ
[一言] DEF MATK MDEFとか不明だし覚えきれないし正直面倒。横に簡単なルビ打ちできないでしょうか?例えばAGI(速)INT(賢)などなど
[気になる点] 前回で「保留にしよう」からどういう思考をたどった結果、この場面で魔導書を使おうと判断したのかがよくわかりません
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