022_暗殺者
祝、日間ファンタジー異世界転生/転移ランキング3位!
この調子でいってほしいものです。(⌒∇⌒)
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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022_暗殺者
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盗賊を撒いて宿屋に戻ったが、気が抜けない。
あいつらは俺が探索者だと知ってしまった。いつかはこの宿屋も突き止められるだろう。
早めに対処しないと、寝首を搔かれかねない。それにビクビクして過ごすのはごめんだ。
アンネリーセの体を隅から隅まで拭いて、俺も逆に拭いてもらう。これだけはやっておかないと悔いが残る。それが終わるとアンネリーセは防具の手入れ、俺はベッドに横になってステータスチェックだ。
今日はレベルとスキルの熟練度が上った。それを眺めていると気づいた。
転職可能ジョブが増えていたのだ。
・剣豪 : 剣の扱いに長けた者。スキル・ダブルスラッシュ(微)、心眼(微)、質実剛健(微)が使える。取得条件は自分以上のレベルのモンスター100体を剣を使い一撃で倒すこと。
この条件は簡単にクリアできない。それだけに剣士よりも上の剣豪なんだろう。
しかしミスリルの両手剣に随分と助けてもらっているな。俺が取得したジョブはミスリルの両手剣がないと取得できなかったものばかりだ。
・ダブルスラッシュ(微) : 剣技。両手剣、片手剣の区別なく、敵に連続2回攻撃を行う。ATK2.5倍。消費MP5。(アクティブスキル)
・心眼(微) : 敵の攻撃を予測し所持者の動きを最適化する。(パッシブスキル)
・質実剛健(微) : 自身のSTR、VIT、AGI、DEXの各能力値を15ポイント、INTとMINの各能力値を5ポイント上昇させる。(パッシブスキル)
両手剣の英雄が持つバスタースラッシュよりも攻撃力の高いダブルスラッシュまである。バスタースラッシュのように射程距離は長くないが、攻撃力は折り紙付きだ。
「アンネリーセは剣豪というジョブを知っているか?」
「たしか……英雄や勇者同様の強力なジョブだったはずです。まさか剣豪まで転職可能になったのですか?」
防具の手入れの手を止めて、俺を見つめてくる。そんな目で見ないで、癖になるから。
「そうみたい」
「ご主人様ですから、剣豪だろうと暗殺者だろうと何に転職できても驚きはしませんが、凄いことだと思います」
なんで暗殺者に転職できるようになったのを知っている!?
アンネリーセはエスパーか?
「……もしかして、本当に暗殺者を得たのですか?」
「……そのようだ」
そんな目で見ないで! (*´Д`)ハァハァ
「他に得たジョブはありますか?」
「いや、剣豪と暗殺者だけだな」
「勇者、英雄、剣豪、そして暗殺者。そう言えば復讐者もありましたね」
「お、おう……」
「それらのジョブはとても強力なものです。もしご主人様が望めば国王になれるんじゃないでしょうか?」
「そんなわけ……ないとも言えないけど、所詮は1人の力だよ」
「ですが、ご主人様が英雄であれば、その配下の者は強化されます。その状態で勇者と復讐者は無理でも剣豪や暗殺者、あと便利な探索者を育てられるのではないでしょうか? それをすれば、いずれ国を相手に戦えるようになりますよ」
アンネリーセの言葉に、俺は生唾を飲み込んだ。今の俺にそこまでの力はないが、これからもそうだとは言えない。国王になりたいとは思わないが、国を相手に喧嘩できる力があってもいいと思った。
「ご主人様の力を知れば、国や貴族が黙っていないでしょう」
俺もそんな気がしている。もっと力が必要か……。
それに召喚された勇者たちが、ウザ絡みしてこないとも限らない。容姿が違うから見つからないとは思うが、もし絡まれた時のために跳ねのけられる力は必要だ。
「奴隷を購入する件、真剣に考えてください」
「……そうだな」
アンネリーセは防具の手入れを再開した。
本気で奴隷購入を考えないといけないようだ。
いざと言う時に奴隷を購入して育てても遅い。転ばぬ先の杖として準備しておけば、いざという時にそれが抑止力になるかもしれない。
奴隷という言葉が嫌いだと言ってられないか……。
・暗殺者 : 意表を突いて敵を屠る者。スキル・急所突き(微)、隠密(微)、痕跡抹消(微)、神速(微)、感知(微)が使える。取得条件は自分以上のレベルのボスモンスターをジョブやスキルと関係ない手段で倒すこと。
・急所突き(微) : 30パーセントの確率で攻撃がスーパークリティカル(ダメージ3倍)になる。敵に気づかれなかった場合、成功率が100パーセントになる。(パッシブスキル)
・隠密(微) : 所持者の気配を消す。(アクティブスキル)
・痕跡抹消(微) : 所持者の行動の痕跡を残さない。(パッシブスキル)
・神速(微) : パッシブ時、AGI値+20。アクティブ時、10秒間AGI値+50。アクティブ発動後5分間使用不可。
・感知(微) : 周囲の気配を感知する。有効範囲は半径15メートル。(パッシブスキル)
アイテムボックスホイホイを使って、アンネリーセの魔法でボスを倒したら暗殺者が出た。
スキルを使ったらダメらしいが、アイテムボックスは使ってもいいらしい。ユニークスキルは除外されているのか? もしくは、アイテムボックスから出したアンネリーセの魔法だから、アイテムボックスを使ったことになっていないのか。詳細鑑定はそこまで教えてくれなかった。
しかしまさに暗殺者といったスキル構成だな。
隠密状態から攻撃した場合、急所突きの効果でダメージ3倍が確定じゃないか。隠密は神速のように時間制限がないから、急所突きはかなり有効な攻撃のはずだ。
暗殺者は盗賊のように強制転職じゃないし、取得条件が犯罪じゃないから忌避するものでもない。でも細かいことを言うと『暗殺者』というのは外聞が良くないから、大っぴらにするのは避けたほうがいいだろう。
【ジョブ】暗殺者Lv1
【種 族】ヒューマン
【能 力】
HP=45
MP=39
STR=9
VIT=6
AGI=30
INT=7
MIN=6
DEX=10
ATK=27
DEF=18
MATK=21
MDEF=18
尖がった能力だ。今は装備を全部外しているから、AGI値が特に突出している。これは神速の効果があるからだな。神速がなくてもAGIは10ポイントもあるから、レベル1では破格なことだ。
【ジョブ】暗殺者Lv1
【種 族】ヒューマン
【能 力】
HP=75
MP=39
STR=16
VIT=9
AGI=30
INT=7
MIN=6
DEX=16
ATK=83
DEF=42
MATK=21
MDEF=18
こちらがフル装備時の能力。俺の装備にAGIを伸ばすものはないが、装備がなくてもAGIは高い。
明日は暗殺者を育てよう。幸いなことに両手剣の英雄のように武器固定ではないから、ミスリルの両手剣が使える。これで短剣しか使えなかったら、育てるのを躊躇していたところだ。
「ご主人様。防具の手入れが終わりました」
「ご苦労様。寒いだろ。こっちへおいで」
「はい」
アンネリーセをベッドに誘う。エッチなことをしようと思っているわけではないぞ。寒いだろうから、温まってほしいと思っただけだからな。
この部屋、暖房がないんだ。これからもっと寒くなるのに、これはキツい。
一戸建てやアパートには暖炉があるらしいけど、宿屋はない。着ぶくれするくらい着込むのが一般的らしい。
それでも1階じゃないから幾分はマシらしい。1階の食堂には暖炉があったから、その真上の部屋だと床が温められていいんだけど、食堂の音が聞こえるらしい。メリットもデメリットもあるってことだね。
この部屋に絨毯敷いたらマシになるかな。素足では厳しいか。靴下2足履きにしようかな。
「明日は暗殺者を育てることにするよ」
「私もお手伝いできればいいのですが……」
「アンネリーセが居てくれるだけで、俺の心に余裕ができる。それで充分だよ」
すぐ目の前にあるアンネリーセの顔は、世界最高の優美だ。ちょっと顔を動かせばキスできそうな距離だが、なかなかできない。
裸はガン見するし体を隅々まで拭くけど、キスはできない。アンネリーセが俺を受け入れてくれるかは別の話で、拒絶されたらどうしようかと思っているヘタレな俺。
俺ってこんなにもヘタレだったのかと、自分で自分が嫌になる。でも本当に怖いんだ。
ご愛読ありがとうございます。
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