その価格に目を剥く
新たな犬を迎えるべきか、否か。
「飼う飼わないは別として、値段を確認がてらペットショップを見に行かないか?」
夫に誘われて、ショピングセンターのペットショップに行ってみた。
ガラスの向こうに子犬がいる。トイプードル、トイプードル、ロン毛のチワワ、ロン毛のダックス、ポメラニアン、黒柴、パピヨンとチワワのミックス――
柴犬以外トリミングの必要な犬ばかり売るのは、ペットサロンの戦略だろうか。などと、ついうがった見方をしてしまう。因みにうちの犬は二頭ともトリミング不要の短毛種だった。
それにしても、値段!
あまりの高さに目を剥いた。
20年前、初代の犬を迎えた時から見たら2倍強になっている。物価上昇を考慮に入れても高すぎないか?
ブリーダーさんのネットサイトの値段も似たり寄ったりで躊躇する。
かと言って成犬の里親になると、またすぐお別れをする事になるのがつらい。
やっぱり飼わない方がいいのかも。
「いつものところに聞くだけ聞いてみるか?」
『いつものところ』とは、うちの二頭を買ったペットショップのことだ。
元々、店頭に犬・猫が一匹いるかいないかという店だが、ここ数年、店頭に置いているのを見た事がない。ペットホテルとトリミングだけにして、販売はやめたのかもしれないなと思っていた。
仕事帰りに店に寄って聞いてみると、やはり法改正を機に店頭販売はやめたそうだ。ただ、完全に取扱いをやめたわけではなく、お客さんから依頼があれば手配しているという。
価格についても、確かにここ数年高騰しているので何とも言えないが、時間を貰えれば取引先に当たってみると言ってくれた。
こちらも今すぐ何が何でもと言うわけではないので、簡単な希望だけ伝えて帰ってきた。
あれ? いつの間に飼うことになってる?
なんだか夫に乗せられた気がするが。
まあ、動物相手の話だ。希望通りの結果が来るとは限らないことは、お互い承知の上である。
縁があるか、ないか――結局はそういう事だ。
それから、いくつかの話が出ては消えた。
長く待つ事になる事は分かっていたが、結局5ヶ月近くかかった。
今週末、子犬を迎える。
初代の犬と同じ毛色、ブラックタンのダックスフンドだ。
長くかかりすぎて、私が気持ちの整理をつけることができたのは怪我の功名と言っていいのだろうか。
何か違うな……
そう。結果オーライ。
こちらの方がしっくりくるか。




