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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
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98.闘技場?

 大よそ戦い方に目処の付いた隊長の次の仕事はスカウト。


 探索や斥候って意味じゃない、文字通り魔将と戦う人募集って奴。


 【帝国】のビエーラさん率いる『六華』


 【王国】は勿論騎士団。


 【海国】は嵐の岬とここまではあっさり決まったようだが、その後が難航。


 立候補はあるものの、いざ会ってみれば自分でも弱いと分かるプレイヤーばかり。


 しかし態度だけはやたら大きいのはどういう精神構造なのだろうか?


 そりゃあ、隊長もキレちゃうでしょう……、まあ、


 『この有象無象が!全員まとめてかかってこいや!』


 は言い過ぎだと思うけど、それでも2、30人は斬り倒すんだからやっぱりあの人は化け物。


 自分は精々5~6人位かな~。


 困難を極める1000人集めに毛色の違う人達が現れた。


 わざわざ雪深い【帝国】の【古都】まで足を運び、今回の魔将討伐に手を上げるものの低姿勢。


 ぱっと見はそれこそ、もっと勢いがあってもよさそうな人達が、仁義をきる様はどうにも時代かかっているが、好印象。


 唯一仕切っている赤髪のお姉さんこそはっきりモノを言うが、それはあくまで最低限の面子と仲間を守るためで、実力相応の態度は寧ろ頼もしい。


 いつだかイベントで見た顔だなと思ったら、案の定【闘技場】最強と名高いプレイヤーでこちらの方が恐縮だ。


 どうやら【闘技場】のプレイヤーと言うのは個々の戦闘力それも対人戦に特化しているようだが、そんじょそこらの弱いプレイヤーとは違うオーラを感じるのは幻覚じゃないだろう。


 ちょっとそこらの人を捕まえて聞いた話では、以前店売りの粗悪なブロンズソードで隊長に完封されたとか……。


 それ以降慢心を捨て【訓練】に励む日々だとか……。


 隊長は、本当に人でなしだと思う。


 そうやって他人の心を圧し折っていながら、何の良心の呵責も無ければ『まだだいぶ弱いじゃん』とか平気で言う始末。


 非道の一言では片付けられないだろう。それでも寧ろ発奮する闘技場プレイヤーにはその高いモチベーションに尊敬の念しかない。


 なんなら『寧ろ隊長程の人に顔を覚えてもらっただけ光栄です!今回も命を掛けて全力を尽くします!』とか言うのだから、ちょっとおかしいのかもしれないと疑ってしまった。


 その後も隊長のスカウトは難航しかないが、自分は【闘技場】に興味津々。


 誰か詳しく教えてくれないかなと色々話しかけたが、どうやら普通の【闘技場】プレイヤーからすると自分は既にかなり強く、更には他人を率いる能力が隊長に準ずるもので、ある意味アンタッチャブルな存在と見られているらしい。


 モノは試しと【訓練】に誘ったが、苦笑いされて断られる始末。どうしようかと途方に暮れていたら、最強の方から話しかけてくれた。


 「なんだい!【闘技場】に興味があるんだって?なんだってアタシに相談しないんだい?遠慮してたって……?そんなの寂しいだろ!困った事があるなら何でもアタシに聞きな!いいんだよ。ランクが高いのは誇りだがね、その分下の面倒も見なきゃいけないって、それが上に立つものの責任だろ?……隊長?まあぁぁぁぁ……あいつは変わり者だからね~集団を率いる能力の割りに孤高の存在って言うか?だからこそのカリスマ性って言うか?ヤバイ奴って逆に変なカリスマ性があるだろ?それだよ。あまり気にしちゃ駄目さ!」

 

 そんな風に一気に自分が思っている違和感を言葉にしてくれたガイヤ姉さんに、信用しかない。


 そこで、色々【闘技場】の話を聞き、更には【訓練】ならと手合わせをしてくれた。


 雪降る【訓練場】には教官が立会人として立っているだけ。


 何かを察してくれたのか教官がその時【訓練】していたヒト達には遠くで見学しておくよう言い伝え、何にも無いフィールドにいるのは自分と闘技場最強と教官の三人。


 深く一息つく間、誰も何も動かない。何ならガイヤ姉さんは自分の心の準備が整う事を待っていてくれたようで、余裕のあるにこやかな姿に尊敬の念が意識せずとも深まってしまう。


 この状況で、まるで上手の様な待ち姿は見せられない。


壊剣術 天荒


 思い切り上段斬りで襲いかかるのに、攻撃で迎え撃つガイヤ姉さん。


 冑の上からぶん殴られるのを耐えて、一発フラフラと重剣で斬りつければ、なおさら笑みを増す姉さん。


 「らぁぁぁぁ!」


 気合を入れなおして払った横薙ぎをかわし、寧ろ炎を纏った飛び込み突きで顔面を襲ってくるガイヤ姉さん。


鋼鎧術 耐守鎧


 耐えるのは耐えたが、それでも首がグリンと持っていかれてしまう。


 ならばと適当に<蹴り>を放てば、手ごたえあり。


 ますます笑みを深め『いいね~いいね~』とのたまう姉さんを重剣でぶん殴ると、


 「きゃーーーはっは!ぶっころす!」


 そう言って、右腕にまるで羽の様な炎を纏い、その圧縮された攻撃力を解放されると同時に吹っ飛んでしまう。


 そこから何とか立ち上がろうと粘るも、マウントポジションをとられ、ボコボコに殴られる内に勝負が付いた。


 「参りました」


 「うん、まあまあだったんじゃないか?頑張りな!」


 【闘技場】最強にそういわれ、魔将の件が解決した後、付いていく人が決まったなと……。

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― 新着の感想 ―
[一言] ( ̄□ ̄;)!!ソタロー、その人にはついて行っちゃ駄目(笑)
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