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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
92/363

91.天騎士と魔将の封印

 「ルークを中心に四方を固めて対応するよ。殺気があるって事はまた試練でしょ」


 そう言いながら短い刀状の武器を引き抜く隊長とそれぞれの武器を構える騎士殿とPKの人。

 

 自分も周りに倣って盾と剣を構え待ち構える。


 何が合図とも分からなかったが一斉に襲い掛かってくる骨達を重剣で粉砕、盾で圧砕、蹴りで腰を砕いて動きを封じ、とにかく目の前の骨を片っ端から片付けていく。


 チラッと横目で見れば、騎士殿は豪快に一発で複数の骨を吹き飛ばし、PKの人は姿が消える速さで、次から次へと骨を屠っていく。


 隊長も相変わらず訳の分からないスピードなので、よく分からない内に骨を倒しまくって敵の数を減らし、何とも余裕がありそうだ。


 しかし試練なのに、こんなに余裕でいいのかな?と思いきや、護国の将軍が一歩踏み出しこちらに向かってくるのが見えた。


 護国の将軍が剣を顔の前に掲げるのに呼応したのが騎士殿。


 お互い同じ礼を取り、一騎打ちが始まる。


 騎士殿が抜けた穴を少しでも塞ぐ為に、


壊剣術 天荒


 術を発動して、更にギアを上げて行く。敵も剣や盾を持っているが、ダメージは大した事無い。


 ガンガン押し込んでやろう。


 PKの人は時折剣に術のエフェクトを纏った攻撃で、やはりギアを上げているが、一々鞘に剣を戻すのはおしゃれポイントかな?


 隊長は変わらない、ひたすら安定的に骨を狩り倒すだけ、ただその普通が強くて全くペースの衰えが無いのだから、やっぱりおかしい。


 少し余裕が出て観察していると、なんだかんだ人それぞれ特徴が違う物だ。


 カヴァリーさんは前に見たとき、それこそ跳ぶ様に戦っていたし、隊長はどちらかと言うと地を這うような動きで足を破壊していくが、上段や中段にも攻撃を振るのを忘れないし、何より動きが速くて認識しづらい何となく蛇を髣髴とさせる気がしなくもない。


 騎士殿は豪快そのもの。一振りで尋常じゃない力の奔流を感じるし、実際に巻き込まれた骨たちが飛んでいく。


 PKの人は速いが、隊長とは違う速さ。瞬間移動から一瞬で斬る瞬発力勝負みたいに見える。比較的背後から狙う事が多いような気がしなくもない。


 護国の将軍と騎士殿の盾同士がぶつかり合い、お互い盾が吹き飛び手に持つのは剣だけになると両手持ちで構え、先ほど以上の衝撃がこちらまで伝わってきて、一発一発ぶつかり合う音だけで身が竦む。


 しかし、残りの二人は違うようで、楽しげな様子が伝わってくる。


 自分も集中力を上げて、骸骨を倒しまくっていると、遂に決着。


 騎士殿の一撃で護国の将軍が吹き飛び、光り輝く鎧の前で倒れた。


 同時にそれまで向かってきていた骸骨達の攻撃もやみ、土の中に帰っていく。


 「ふむ、どうやら試練を抜けたので、天騎士の装備を持って帰っていいみたいですよ」


 それまで静かだったルークが急に話し始めて驚いたが、どういう事だ?


 「ああ、ルークがいないとって、そういう事か。ルーク以外はこの二人が何言いたいのか分からないんだ?」


 「そうみたいですね。古の聖女との血のつながりで何が言いたいか分かるみたいです」


 他人が話しているのに言葉の通じない護国の将軍と手を取り合って健闘をたたえあっている騎士殿は何となく隊長に似ている気がするのは自分だけだろうか?


 「それで、魔将はいつ復活するかとか、どこから復活するとか」


 「どうやらここみたいです。天騎士の装備を媒介に封印していたみたいです。つまりこの装備を手に取れば復活って事になりますね」


 「帰ろうか」


 「この二人にとっては長い事心残りだった様ですよ?時折1000人率いる事が出来そうな者が現れる度に相応しい者を探していたようです」


 「じゃあ、魔将復活にあわせて大砦を占拠したわけじゃないのか。じゃあ自分悪くない」


 「そういう問題じゃないです。長年未練を残してるんですからちょっとは協力してあげようとかそういうヒトとしての感情をどこに置き忘れてきたんだか……」


 「あの、ちなみに途中の微妙な地獄門とかは?」


 「……なるほど、暇だから作ってみたそうです」


 「隊長このまま放っておくとひたすらギミックが面倒になる可能性があります」


 皆の視線が一斉に隊長に集まる。


 「分かったよ。魔将を復活させて完全に倒せばいいんでしょ?せめて準備させてよ。相手の情報を分析して勝てる算段つけてからやりたいんだけど」


 「……それで構わないそうです。特殊な敵のようですので、十分に準備してから挑んで欲しいと。情報は……自分が帰ってから書き起こした方が良さそうですね。その辺も踏まえて準備日数は結構かかりそうですし、一旦御開きとしましょうか」


 かなり拍子抜けな天騎士の試練だったが、とりあえず今回は終了。


 第一の門にひっかかかった人達に事情を説明すると、自分達の手で復活させて倒すと言う事に反対する人はいなかった。


 自信のある人達ばかりだからだろう。


 魔将を復活させないようにルークを生贄に差し出そうとする人達とは格が違うようだし、ちゃんと準備すれば、勝てるかな?

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― 新着の感想 ―
[一言] ソタローは、居合抜きを知らないらしい(笑) 鞘に戻すのはおしゃれじゃ無いと思う……………ww そうして、暇だからと、増やされるギミック(笑)
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