347.内乱参加プレイヤー
「さて、皆さんはもう知っているかと思いますが、隊長が元皇帝派に付く事になりました。簡単に言うと敵対関係ですね」
「何か嬉しそうだな」
いよいよ、内乱も大詰め。やっと大規模戦という事で、今回内乱に参加してくれるプレイヤーを集めて説明会を開催する運びとなった。
勿論自分の発案ではない。
寧ろ、プレイヤー達がどこで何をやっていたのかさっぱり知らなかったので、嵐の岬のバルトさんに言われるまで、説明会なんて考えもしなかった。
という事で、基本はバルトさんがプレイヤーを代表して質問し、自分が答える形式で進行する。
「えっと、まず何から話しましょうか?ちなみにこの内乱に正義はありません。元皇帝は手堅い性格ですけど、その所為で【帝国】の未来が先細りする可能性が高いです。だから宰相は悪評を背負う覚悟で国の体制を変革する為に起こした乱となりますが、まあどっちが正しいと言うものではないでしょう」
「うん、身も蓋もないってこういう事言うんだろうな。ソタローは宰相派の将軍で、ある意味トップなんだからせめてもう少し味方になってやれよ」
「いやうちのトップは白竜ですし、政治のトップは宰相です。自分は戦闘がない限りタダのお飾りです」
「まあな。内乱で大規模対人戦って触れ込みで、待てど暮らせどこの数ヶ月何にも起きないからな」
「なんかすみません。自分ももっと都の高い壁に阻まれるような戦闘や住民を巻き込まないように細心の注意を払う市街地戦なんかを想定していたんですが……」
「ソタローが謝る事じゃないが、殆どソタローの人望と白竜の存在で鎮圧されるだけの内乱だった訳だ。まあゲーム側も内乱で大規模な戦闘があるとかそんなインフォメーションはしてないし、俺達が勝手にそう思い込んだだけだからな。しかし、今後この手の戦争シミュレーションもコンテンツに含まれるとしたら、随分手間、暇、時間とかかるモノなんだなって事はよく分かった」
「そりゃ、大軍で行軍するだけで、宿泊先にも気を使わなきゃならないし、一つ一つ時間がかかるのは当たり前ですよ」
「まあ当の本人であるソタローは忙しかったんだろうが、他のプレイヤーは暇すぎて帰っちまったからな。今残ってるのは今後も集団戦に前向きな連中だけ、中途半端な連中に引っ掻き回されるよりは良かったのかもな」
「え?そうだったんですか?」
「気がついてなかったか。まあ興味本位で戦争ゲーやりに来た連中が【兵士】集めるだけでも時間がかかるのを見ている内に、折角アップデートされたゲーム内で取り残されるっつって帰っていったそれだけの事だから気にすんな」
「はぁ、まあ新要素は色々あるみたいですからね。それより集団戦に前向きな連中だけって言ってましたけど、他のプレイヤーって集団戦やらないんですか?」
「今更かよ……。今までずっと集団戦のトップは隊長とソタローの二強だったろうが?勿論俺達もやってはいるが、大抵は自分のクラン規模に合わせて、何人かが取得するだけだ。わざわざ自分のスキルビルドの一部を集団戦用に育てなきゃなんないし、仮にそういう指揮が好きな奴でも、ひたすらコツコツクエストを繰り返して、地味~~~に階級上げてくのは辛いんだよ!」
「でもバルトさんも取得してますよね?」
「そりゃ嵐の岬は大型魔物やボスを狩るクランだから、誰かしら持ってなきゃんないだろうが、それでも俺は味方士気に関わるものだけだぞ。術関連はアンデルセン、戦闘指揮関連はアン・ボニーと役割分担する事で、他のスキルビルドに大きな影響が出ないように調整してるんだ」
「でも、アップデートでスキルセット枠が増えたから、もっと増やしてもいけません?」
「元々7枠だったのが、2枠+クラススキルセット枠が2枠か……全然足りねぇよ」
「余ってますけど……?」
「……そんな事はどうでもいいんだ!つまり大抵のプレイヤーは精々がパーティ単位、クランでもユニオン単位、それ以上の大物を狩りたきゃ、嵐の岬か騎士団に依頼が来るってのが現状なんだよ」
「あ~だから今現状【帝都】に残ってるプレイヤーが嵐の岬と騎士団だけなのか~」
そう、説明会と言っても見知った顔ばかり、他のプレイヤーは内乱に興味ないのかな?とか、100人単位じゃないと内乱に参加できないのかな?とか勝手に考えていたのだが、そもそも集団戦をそこまで重視していなかった。
「なんか、あっさり受け入れてるがな。集団戦って大変なんだぞ?100人されど100人意思統一して、指示を行き渡らせるって事が如何に大変か!」
「自分はそれが日常のゲーム内容なので、とてもよく分ります」
「いや全然分かってない!そもそもお前達はだな!当たり前のように……」
何故かバルトさんがヒートアップした所で、嵐の岬のヒト達に連れて行かれ、代表が赤騎士さんに交代した。
「まあなんだ。そもそもバルトが質問する側だった筈なのに、ソタローが質問してばっかりだなとは思ったな」
「貴方の感想はいいから、一番大事なことを聞いてくれるかしら?」と金騎士さんから窘めが入る。
「大事なことって何ですか?」
「ああ、要は俺達は数少ない集団戦プレイヤーとしてこの内乱で新しいコンテンツのやり方を見に来たわけだ。出来ればヒトとヒトの集団戦に参加したいんだが、出来るか?」
「向こうに隊長がついた以上やるでしょう。一戦も無しに引き下がる相手とは思えません」
「なるほどな。ヒトの入り乱れる大規模戦闘か!コレは血湧き肉躍るな!」




