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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
341/363

340.他国プレイヤー参戦

 【旧都】を占領してそれなりに時間が経ったが、これと言って大きな動きは今の所ない。


 本来ならこの【旧都】を取る為に大きな事件や戦いがあってもいい筈なのに、師匠達のお陰で無血開城?となってしまって、逆にあらゆる予定が前倒しになって、宰相は毎日バタバタと大変らしい。


 自分は最前線である【旧都】を守ると言う名目上、待機命令が出ている。


 何もしないのは能がないと【訓練】漬けで、<白竜気>や『脳筋』の称号を使いこなすべく、己の筋肉を鍛えるのんびりとした日々を過ごす。


 そんな折、自分に来訪者があった。


 『嵐の岬』と『騎士団』だ。


 この内乱、何気にゲーム側から何のインフォメーションも出ていない為、他のプレイヤーはどう思っているのだろう?と不思議に思っていたのだが、


 「アンデルセンの情報で【帝国】に来ようと思ったら、ポータルは不通で、海岸についても陸には上げてもらえなくてな」


 とバルトさんがぼやく。


 「俺達は【帝国】には入れなくなってるって他のプレイヤーから聞いて、様子を見に来たんだが、最初は俺達も足止めを喰らってたぞ」


 と赤騎士も答えてくれる。


 「それが今はこうして入ってこれたのは、何か理由が?」


 「ソタローはそれこそ渦中どころか、中心人物だから聞かされてないのか、特殊ルールなのか……。一旦今は中立なら出入り自由だが、買い物も碌に出来ないし、行動制限もあるから何の旨味もないと言われて入ってきたのさ」 


 「だが、どうやら今後この内乱?が正式に雌雄を決するような大きな争いに発展する場合、俺達もどちらかの勢力に付いて戦えば報酬があるんだとさ」


 「つまり今は【帝国】内部の状況をその目で見てどちらにつくか考える為に期間って感じなんですかね?観光ビザ期間みたいな」


 「観光と言うには剣呑だが、そういう事だろう。ちなみに俺達は【帝国】で死に戻ると内乱が終わるまで【帝国】に完全進入不可になるらしいから、魔物狩りなんかもあまり参加できないな」


 「そうでしたか。そんな状況なのにわざわざ訪ねて来て頂いて、すみません」


 「いや、俺達はこの国の状況をあまりよく知らないからな。ソタローの話も聞きたかったし、そもそも何で戦ってるんだ?」


 「ああ、それな!このゲームのNPCって通常魔物っていう共通の敵がいるから、ヒト同士で国を割って戦争するなんて思わなかったぜ?」


 「建前的には宰相と皇帝の間で、今後の【帝国】が進むべき道について意見の違いがあった事です。他にも自分が復活させた白竜が宰相派の後ろ盾になっている事が大きいんでしょうか?あとはあまりよく分りません。それでも宰相は皇帝を【帝都】から追い出し、元皇帝と呼んでいます」


 バルトさんと赤騎士さんはお互いに顔を見合わせ困り顔だが、自分も建前的な部分以外はよく分っていない。


 「じゃあ、何でソタローは参加してるんだ?白竜を復活させたからなし崩しで、将軍にされたとして、その後何もしてないわけじゃないんだろ?」


 「やっぱりそこは宰相のやり方に賛成って事なんじゃないか?」


 「そうですね。自分は以前からこの国のヒトがもっとやりたいことを、やりたいように出来ればと言ってきたので、それは一つです」


 「一つって事は他にも目的はあるわけだ?何だってんだ?」


 「そうだな。指揮能力も戦闘力もこのゲームじゃ有数どころか上から何番目の強者にいつの間にかなっちまったソタローが、今更何が欲しいんだ?」


 「いや……あの、それは……」


 流石に戦う相手が欲しいってNPCに言うのと、プレイヤーに言うのでは勝手が違う。


 なんて答えようか迷っていると、


 「まあいいさ。俺は俺なりにもうちょっとこの国をみて回ってから、どっちにつくか考えるぜ」


 「そうなのか?俺はソタローにつくぞ。以前にも世話になってるしな。そうと決まれば一旦帰って雪国仕様にしてくるわ」


 あっさりと帰っていってしまう赤騎士さん。


 「バルトさんも、もう行きますか?」


 「ああ、俺の懸念事項は隊長だ。アイツも【帝国】出身だろ?何してるんだ?」


 「分りません。お得意の行方不明です。ただ、自分は隊長と戦いたいと思ってます」


 「そうか……アンデルセンからの話だし、俺は詳しい事は知らんが、ソタローの方がこの国にいる時間はずっと長いし、白竜ってのもこの国じゃよっぽど重要な存在なんだろ?それが後ろ盾になってるって事は今となっては【帝国】の中心プレイヤーはソタローなのかもしれないな」


 「いや、そんな別に自分は、ただ強くなりたいだけです。その為にもっと戦いたい」


 「そっか、それがソタローの目的か。まあこのゲームやってる奴の大半はもっと強くなりたいだろうし、そんな中で本当に実力つけたソタローにつくのも正解か?」


 「どうなんでしょう?自分には分りません。ただ頼まれた事をやってきただけですし」


 「強い奴にかぎってそういう事言うから、困るんだよな。まあお陰で強くなる方法も知れたわけだが、今回はどうするか……」


 バルトさんも何か呟きながらどこかに出掛けて行った。


 この内乱、自分の他のプレイヤーも参加すると言うなら、カヴァリーさんやビエーラさんはどうするのだろうか?

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