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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
330/363

329.【騎兵】合流

 翌日ログインして、イグラントにまた隊を動かすことを伝えると、速やかに手配され、あっという間に西門に自分の隊が集結した。


 今回向うのは【帝都】の北なのだが、北側は帝城があるため出入り口がないので、取り敢えずの西門集合だ。


 「チャーニン!【帝都】だからってそんなにはしゃがないでよ!田舎者みたいで恥ずかしいだろ!」


 「何言ってんだ!俺達皆田舎の農家の出だろ?隠すから恥ずかしいんだって!田舎から出てきて珍しくも華やかな都に心躍らせてますって全身で表現してみ?逆に皆親切にしてくれるぜ?」


 相変わらず賑やかな二人がいた事で、ちょっとほっとした。


 このまま知らない顔ばかりを率いて、本当に内乱に勝てるのかちょっとだけ不安だった。


 勿論現状自分達が有利なのは分っている。


 何しろ白竜復活のタイミングを知っていて、それに合わせて動き出した分、準備も整っているし、特に資金と資源に関しては宰相の力でかなりの量備蓄してあるらしいので、あとは戦力のみといった所だ。


 まあそれでも知った顔があれば、どんな強敵にでも勝てる気がするのだから不思議なものだ。


 それだけ沢山の巨大な魔物達と戦ってきたし、たぶん大丈夫。


 「二人共相変わらず。それにしても良かったの?【古都】近くに実家があるのに自分のほうについちゃって」


 「おっソタロー!何言ってんだ!俺がどっちについたからって実家が何されるわけじゃないし、どうって事無いぜ。それよりも兄弟を皇帝派と宰相派に分けてうまく生き残ろうって家の方がほとんどだぞ?」


 「そうそう、自分はソタローと宰相のお陰で絵の勉強させて貰えてるんだから、そっちにつけって家族に言われたし」


 何とも逞しい事だ。つまりどっちが勝っても家族全員生き残れるように段取りしていると言うことだろう。


 やはり、政治や軍の関係者より一般のヒトの方がよっぽど自分の力で生きるって事に関して真摯な気がする。


 この厳しい環境で生きてきたヒト達の強かさを実感しつつ、自分の隊を確認するとどう考えても、人数が多い。


 って言うか、何故かシラッと平気な顔をして【騎兵】50騎混ざってるんだが?


 一応【騎兵】の場合、馬にあたるシェーベルと、上に乗るヒトで二人計算になるので、50騎で1中隊って事になる。


 そしてその中の一騎、明らかに指揮官と見える者が近づいてきた。


 「ソタロー将軍ですか?姉から伝言があります『悪いね~ソタロー。本当は相棒の斧盾持って駆けつけたかったんだけどね。丁度、身重でさ!まあアンタのタイミングが悪かったって事で、弟を送るから好きに使っておくれ!』との事です」


 「斧盾?みおもって事は女性……先輩の奥さんの弟さん!」


 「続縁だけなのに、何故か通じますね。その通りです。姉は義兄と共に【古都】に残ると言う事なので、代わりに自分がソタロー将軍に従う運びになりましたが、こちらで戦わせていただけますでしょうか?」


 「それはもう、戦力増強は願ったりなので、ありがたい限りです。しかも【騎兵】なんて特殊な兵科に付いてる方で、しかも中隊長とは……正に今欲してた人材です」


 「それは良かった。自分としてもやはり白竜様を復活させたと言う英雄の下で戦うのが今回の内乱で最も道理だと思っていたので、駄目もとで姉に聞いたら、顔見知りだったと言われて小躍りして馳せ参じました。是非存分にお使いください」


 まさかの渡りに船、というかあの闘技場で殴って地位を認めさせるとか言う無茶振りがここに来て利いてる?


 もしかして、あの時点でこの内乱に巻き込まれるのって運営の用意した確定未来だった?


 とりあえずは、心強い味方が増えた事で次の戦いにも自信が生まれてきた。


 中隊長 ローシャ 【騎兵】及び【伝令兵】隊


 ……伝令?


 「あの伝令って、情報伝達の兵ですよね?もしかして直接戦闘って?」


 「そうですね。50騎の内20騎は伝令を仕事とする者ですので、戦闘力は余り高くないです。逆に本拠地に毎回戻らずとも、報告を入れたり追加で兵員を送ってもらいたい場合なんかには重宝しますよ」


 なるほど、一回目の海岸の街を行って帰るだけでも、たいした距離でもないのに時間がかかったが、そこを短縮する方法を用意してくれたのか!コレは助かる!


 「じゃあ、海岸の街から【憲兵】が戻ったら自分の所に送ってもらいたいんですけど、その場合何騎必要ですか?」


 「それだけなら、完了報告をする一騎だけいれば事足りますよ。では【帝都】に一騎残しますね」


 よしよし、コレで懸念事項が減った。街を占拠するたび【憲兵】が必要になる可能性は高い。


 出来るだけ早く回収できるならそれに越した事無いだろう。


 物資は十分すぎるほど宰相が手配してくれてるし、万全の状況が整った。


 「では今回の目標を伝えます!現在自分達宰相派は【帝都】を中心としてその支配地域を増やしています。ここで【帝国】西部を取る為、雪原の街を占領下に置きたいと思います!それでは出発!」


 気分の高揚と共に隊を出発させる。


 次の街は【帝国】西部の交易の中心地だ。ここを取れれば更に資金の調達が容易になることだろう。

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