323.取り合えず結成ソタロー隊
「さて、今闘える者はこんな所でしょう。このままソタロー将軍に従うものとそうでない者を選別しますか?」
「いや、まだ中隊長ですよね?他にも上位者はいるんじゃないですか?」
「確かにいますが、これ以上に身分の者は流石に現在の内乱の状態を把握しておられる為、元皇帝か宰相かどちらにつくか独自に決めております。未だに旗色を明らかにしない者もいるようですが、それに付いてはソタロー将軍が私的に制裁するより、宰相とご相談の上成された方が、御身のためかと」
「そうですか、ところであなたは何で自分に教えてくれるんですか?」
「私は白竜様を優先する考えですので、白竜様を復活させたソタロー将軍が正義であって、元皇帝も宰相もないですよ」
「ああ、そういうヒトもいるんですね……」
「それはもう、かなりの数がいる筈ですよ?特に貴族出身でない者には多いと思われます。何しろ白竜様が復活したら白竜様が皇帝だと素直に信じている者が多いですから。流石に貴族位の者となると元皇帝と宰相の政争であると認識していますから、今後の事も考えて身の振り方を考えるでしょうが」
「分りました。それでは上位の者については宰相に任せて、自分は平定の為の隊編成に移ります。自分に従う者はどこか広い場所……」
「折角ですから【帝都】中央の広場を使いましょう。届出は私が出して置きます」
「それでは自分に従わない者で、宰相に従うものはそのままここで勤務、元皇帝の元に行きたいヒトは追いません。どうしても内乱に手を貸したくないけど【兵士】として仕事をしたいヒトには【帝都】は既に宰相占領下である以上宰相に従うように通達してください。中立として仕事を振りますが、もし少しでも元皇帝派に手を貸すそぶりがあれば、厳罰に処します。これでどうですか?」
「分りました。そうしましょう。中立は監視下での仕事になりますから息苦しいでしょうが、それも自分で選んだ道ですから文句はないでしょう」
そのまま初老の制服軍人と別れ、一般【兵士】の案内でイグラントの外に出る。
そのままのんびり【帝都】中央に向かうが、やはり装備の事がちょっと気がかりだ。
間違いなく相変わらず性能だけはいい。しかし、ちょっと良すぎな気もする。
だって【帝都】の精鋭達相手にあっさり完封とか出来すぎているだろう?
何かまたわけの分らない補正ガン積みで、実はヤバイギミックまで隠してありました~じゃ本当に困る。
現在自分に分ってるのはベルトの百足ギミックだけだが、何か鎧の真ん中の玉も気になるし、絶対なんかありそう。
そういえば、スキルの事聞かれて、今回は装備スキルの事考えなくてもいいのか~みたいにテンション上がってた気もする?
まあ確かにスキル枠は隙間だらけだし、そろそろ何か新しいスキルの一つも取得したいが、目ぼしいものがな~……。
そんなこんな【帝都】の中央広場に着くが、なにやら騒がしい。
そりゃ一応【帝国】の首都だし、そりゃヒトも多いかと思ったが、ふと知らないヒトと目が合うと、
「将軍!!!」
と叫ばれてしまった。
そしてそのまま押し出されるように広場中央に向かいその集団が【兵士】だと分った。
ぱっと見ただけでも300人近くはいるであろう【兵士】達、どうやらこれが自分に従ってくれる最初の隊のヒト達らしいが、思ったより多いな。
宰相も手勢しかいないって言ってた筈なのに、いきなり300人近く集まることある?
そりゃ現実なら300人で戦争は出来ないが、このゲーム内だと300人はかなりの大軍扱いだ。
何しろ1000人で対応するのが伝説の魔物クラスだし、数百年に一度の大事件レベルに対応する軍勢だからね?
世界規模の戦争である邪神の化身戦ですら各国代表1000人づつ出すのがやっとなんだから、それが手勢で300人ってちょっとおかしな規模の話だぞ?
でもまあ仕方ない。自分に従ってくれるというのだから、まずは挨拶からだ。
「この場に集まってくれたのが自分と一緒に戦ってくれるヒト達という事で間違いないでしょうか?」
「はい!自分はソタロー将軍の元で戦います!」
何かやたらキラキラした目で話してくれる【兵士】がいるんだが、このヒトをこれから戦場に送り込むのか~。
まあゲームだから、死ぬわけじゃないし、そこまで深刻に捉えてはいないけど、なんだかな。
「この宰相と元皇帝の喧嘩、白竜様を復活させたソタロー将軍にこそ正義があるって、信じてます。ソタロー将軍がこの国をどうしたいか教えてください!」
別の【兵士】から自分の目的を聞かれてしまった。
「自分はこの国で皆がもっと好きに自分のやりたい事や目標を追えるようにしたい。その方法として宰相と意見が合った為、宰相側として戦う事になる。この戦い勝てば白竜様より宰相が皇帝の剣を賜り、政治を動かすことになるだろう。自分はあくまで宰相を勝たせる為に戦うだけだけど。それでいい?」
「はい!自分は【兵士】ですから戦う事が仕事です。信じるヒトの下で戦うのみです!」
「分った!じゃあまずは近隣の平定及び、兵力の併合を目標としましょう!」




