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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
305/363

304.重装甲

 【闘都】での【訓練】は有意義だった。今後の事を思えば色々と憂鬱だったのが、体を動かした事で少し気持ちが晴れたという所か。


 そのまま調子に乗り闘技場で一戦!と思ったものの戦ってくれるヒトがいなくて断念。


 技量的には自分を上回る相手もまだまだいそうなものだが、そういうヒト達は上級も上級のランカーと呼ばれるらしく。フラッと行って一戦まみえましょうって事にはならないらしい。


 ガイヤさんもそのランカーの一人らしいので、あのレベルの相手がまだいると知れただけで良しとしよう。


 何しろ闘技場は自分の本拠地では無いし、マネージャーはいるもののスポンサーはいない。


 自分のために大きな試合をする環境が整ってる訳でもないのに、我侭言うものでもない。


 いずれ、そういう時もくると思って、連絡待ちと言うことにしておこう……。あれ?もしかして報酬って闘技場で戦う為のスポンサーをつけて欲しいとかでもいいのかな?どうだろう?


 でもまあ、息抜き程度に闘技をするだけの自分のスポンサーになってもらうのも申し訳ないし、一旦保留としておこう。


 その後は【古都】の訓練場で毎日【訓練】の日々だ。師匠は勿論強いが、どうしても本気を出し切れない。


 というより、師匠と自分が本気を出すと訓練用の武器が次から次から破損していって、訓練にならないというのが実情だ。


 打ち合う度にみるみる武器の耐久が減っていくのでは、全く身が入らない。クラーヴンさんが自分用に作ってくれる武器の凄みを今更知る思いだ。


 訓練用の数うち武器とは言え【帝国】の鉄は質もいいし、悪いものじゃないらしいのだが、魔石を使用した強化まではしていないらしく。やはり自分が使うには借り物ではちょっと物足りないという結論に至った。


 じゃあ、本意気同士の武器で打ち合うか?大変な事になるだろう。教官に怒られること間違いない。


 いつもキラキラしてちょっとふざけているようにも見えるが、その実相当真面目な師匠兄弟だ。しかも兄弟揃って細身に似合わない重量装備使いと来ている。


 セサル師匠は 天荒 を主軸に重量武器を軽量武器のようにあっさりと振りぬいてくるし、それを迎撃すれば、凄まじい衝撃になる。

 

 ホアン師匠は超重量の全身鎧使いで、空流鎧 で殴り合いになったと仮定すれば、超重量同士が相応のスピードでぶつかるのだからこれも周囲へのプレッシャーは計り知れない。


 周りの【兵士】は【訓練】どころじゃなく、避難訓練になるだろう。


 と言う事で、あくまで自分の動きと新たに手に入れた武技連携の練習だ。ヒト相手に使っちゃ駄目だと師匠兄弟に言われたので、用意してもらった人形をぶん投げたら、頭がもげてしまった。


 そんなこんな数日過ごして、再びクラーヴンさんに呼び出されたので向う。


 「……ロボットじゃないですか!」


 店に用意されていたのは曲面と直線が美しく組み合わされたヒトサイズのロボ?


 「まぁ、ほらこいつを修理するのに資料とか見てたから色々影響はされたんだが、でも性能は悪くないしあくまで全身鎧範疇に収まってるから!さぁ装備してみろ!」


 「いや、何に影響されたんですか?世界観ぶち壊しのデザインですよ?この格好で表歩くんですか?」


 「大丈夫だろ?邪神の化身戦後のアップデートでこうしてロボットが現れたんだから、そういうのも有りだって」


 「ワタシは とてもいいと思います 二足歩行プログラムが 見つかり次第 乗り換えたい です」


 「いや、ええ……ロボットにいいって言われても、自分ロボットじゃないしな……これじゃ【帝国】の新兵器は化け物か!とか言われちゃいそう」


 「いいじゃないか!ソタロー!お前が【帝国】を担う新鋭なのは変わらないんだからよ!それに前にも言ったがこれはあくまで対邪神兵器として返却予定装備!一時的なものだからさ!使ってみて感想を聞かせてくれ」


 「それで、良いって言ったら次の装備もこれにする気じゃないですか!」


 言いながらも、一応クラーヴンさんが用意してくれた対邪神兵器用全身鎧をよく観察する。


 まず、首は完全に胸部装甲に埋り最大の弱点は隠されていて、尚且つ衝撃で首をやられる事はなさそうだ。この点は今までの装備の中でも凄く安心感がある。


 肩部もかなり大きめに作られているが、自分にとっては防御できる面積が広がるだけなので特に不利な要素には見えない。


 全体に丸みを帯びた形状ではあるが、突きの被撃を逸らす意図でもあるのだろうか?腰と腿も張り出してはいるが、動きを阻害する程では無いか?


 全体的に鉄色だが、所々黒くなっているのは例の超重量素材だろう。


 盾は楕円でやや近未来的なイメージを抱かせる意匠であるものの、盾は盾だ相手をぶん殴るのに申し分無さそう。


 重剣に関しては真っ黒の護拳付き幅広長剣だが、この剣がどれ位重いかは自分がよく知っている。


 ぱっと見の印象はちょっとあれだったが、見ている内になんか悪くない気がしてきた。


 「どうだ?よく見れば結構実用そのものだし【帝国】って感じがするだろ?」


 「まぁ、でもこれ相当な重量ですよね?どうやってこの装備で現地に向かうんですか?」


 「その件は問い合わせ済みだ。お前さんの次の目的地は【旧都】らしい。だからポータルを使えばいい。街中なら別に重量装備でも歩けるだろ?」


 なるほど、確かに街中は降ってる雪の量の割りに積もっている量は少なく、歩くのに問題は無い。


 近未来ロボット風全身鎧を受け取り、引き上げる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 街歩き用の全身鎧も誂れば…………あくまでも、街歩き用の…………←普通なら脱いで普段着を着るけどさ………………(笑)
[一言] 帝国だけに魔導アーマーと名付けよう
[一言] 近未来ロボット風全身鎧が、 邪神を倒したら加護を得て変形する 覚醒モードにバージョンアップされるのか。
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