110.1000人戦は伊達じゃない
自分の次の目的地は決まっているが、それは装備が出来てからの事として一旦任務の日々。
しかし【訓練】時に今回の戦いの激しさを思い知る事になる。
と言うのも、
「ソタロー!伝説に残る魔将との戦いはさぞかし激しい物だったのだろう!目に見えて分かるよ君のその成長が!」
「そうだね兄さん!ソタローが僕らの手を離れてしまうのもそう遠い事じゃないのかもしれない……寂しい事だけど、それ以上の喜びがある!」
「何なんですか?一体」
「気が付いていないのかい?君が一体どれだけ成長したのか?スキルはまめに確認した方が良い!」
一応は確認したが、
<焚気><塞剣士>
<圧迫><軍卒士><武術士>
<探険者><体操士>
控え
<簡易調理><手入れ><治療士><死力><活性>
と、一体何が変わったと言うのか?
「うん、ソタロー合成できるスキルがあるのは確認したかい?かなり熟練度が溜まっている筈だよ」
「ちょっと【教会】行ってきます」
折角の【訓練】だったが、一旦仕方ない。
<焚鬼>=広・域・把・握・(気・配・+範・囲・拡・大・)+威・力・(筋・力・+感・応・力・)+勇気(闘・争・心・+勇力)+復活(不・屈・+起死回生)
焚激・・・敵が多いほど筋力術攻撃力士気上昇
激発・・・被瀕死ダメージ時100%不屈発動及び超回復及び身体能力上昇
これの事かって感じ、相変わらずの敵が多いほど戦いやすくなる上、瀕死ダメージで回復と身体能力上昇とか……使うタイミングが分からない。
更についでにとばかりに兵長に押し付けられたスキルが<軍法>と<秘策>今まで使ってた物のちょっと上位番だって言うから、一応取得したけど完全に1000人率いるの意識してるよね!兵長!
いそいそと【訓練】に戻るとやたらニヤニヤと受け入れてくれる師匠兄弟。
「うん……いいよソタロー!そのまま真っ直ぐ育ちたまえ!」
そう言いながら押し付けるように新術を教えてくれるセサル師匠。
<壊剣術> 天沼
剣をその場に突き刺すと剣を中心にフィールドが展開?
それにしても武器を手放した状態で、どうしろというのだろうか?
「あの、武器を地面に突き刺したままなんですけど?」
「うん、そうだね!でもそのサークル内の仲間は攻撃力、防御力、回復力、移動力と軒並み身体能力が高まっている筈さ!つまり、指揮官として仲間に力を与える能力だ!」
なるほど!<戦陣術>以外にもバフ効果がある術が使えるって訳か。
自分自身にも効果あるみたいだし、盾攻撃とか蹴りを使うなら便利かもしれない。
そりゃ普通に攻撃するなら剣の方がダメージ量は多いが、素早く動く相手には当らない事もあるだろう。
そういう時は上半身を防御に専念して、蹴りで当てていけばいいんじゃなかろうか?
「一応兄さんの説明に補足しておくと、地面系の攻撃術やマイナス効果術に対しても相殺効果があるから、敵の攻撃を防ぐのにも役立つからね」
さすがホアンさん。氷の貴公子!冷静な説明がありがたい!
普段はアレだけ気持ち悪いのに、更に気持ち悪いお兄さんがいると凄く冷静で頼りがいがあるように見えてくる不思議。
まあでも、二人のなんかイケメンキラキラ成分が自分を取り巻いてて結構限界なんだけど、このエフェクト何とかなら無いだろうか?
それでも、好意で教えてくれるんだからと、自分で発生させたフィールド内で動きの確認をしていると、なんかうずうずしていたホアンさんも新術を教えてくれることに……。
<鋼鎧術> 多富鎧
剣も盾も納めた状態で、両手を胸の前に組み、祈るようなポーズで全身に精神力を回すと、生命力と精神力の最大値が一時的に上昇。
一度使用すればかなりの時間持続可能だが、戦闘が始まらないと使えないので、戦闘開始と同時に準備する必要がある。
それでも自分は敵前面に立つことが多いので、間違いなく多用する事になるし、術士専門でない分、少ない精神力補強は本当に助かる。
めっちゃニコニコ師匠たちを相手に【訓練】再開。
まだまだ自分の望む高みには程遠い。
何だかんだ変な人だと認定した隊長はそそくさと【輸送】任務に行ってしまったが、正直まだ追いつけるとは思えない。
まだまだ不足している要素があるはずだ。いずれあの人を越える為に今は出来る事をやるのみ。
重剣を振り回し、師匠たちにぶつけ、覚えたばかりの新術、
壊剣術 天沼
自分の身体能力を高め、そして
鋼鎧術 空流鎧
更に鎧で柔軟に動くための術を併用して、師匠達を蹴りまくる。
手と手に装備したガントレットで攻撃を<防御>しまくり、出来た隙に蹴りを放り込む。
膝蹴り、ローキック、上段蹴り、とび蹴り!
まだまだ蹴りのバリエーションはあるはず!
「師匠!蹴りを教えていただけませんか?」
「うん、ごめん我々は剣と鎧の扱いは得意だが、蹴りはそれほどでもない」
ならば、行く先は一つ。魔将戦の間ずっと気になっていた【闘技場】!
あそこなら、自分の欲しい技術がある気がする。完全に勘だけど!
先輩や教官に見せてもらった事のある蹴りを参考に練習するが、まだまだ……。




