【Chapter3】俺とあいつは友達じゃない。【ここまでのお話】
・思いもよらぬ事態――なんと藤堂真白が、黒木家にやってくるという。陽の心配をよそに、真白は黒木家の家族と仲良くなり、ゲームを一緒に楽しむほどだった。
・兄の変化に気が付いていたものの理由に思い当たらなかった妹の茜だったが、真白の来訪により、すべてを悟ったのだった。
・黒木家の面々は、それぞれの反応を、陽に見せた。茜は「初恋相手に、真白のような高レベルキャラは、失恋したときダメージやばいよ」とけん制してきた。もちろん陽にそのつもりはない。ないのだが……心の片隅に居ついてしまった真白を否定はできない。
・藤堂家の問題に片足をつっこんでしまったと自覚する陽は、もはや逃げられないことを悟る。
・結局、戻ってきてしまった二人の秘密の場所。しかしそこで行われるのはゲームではなく、これからの二人の関係性の話だった。
・藤堂家の父は弁護士。母は元女優。そんな家に生まれた真白の人生は、色々とレールがしかれているのだが……真白は、黒木陽と出会い、レールから外れる道を探り始める。しかし家のルールで『ゲーム』は禁止だという。
・真白と茜が、一緒にゲームをする約束をしていたらしいと知る、陽。なんだか、少しもやもやとしてしまう。なぜなら真白は「親に隠れてゲームをする」という戦い方を選んだからだ。
・変装をしてまで黒木家に遊びに来る、真白。
・帰宅したところ、ふいに、自宅で見慣れぬモノと出会う。それは眼鏡や私服で変装した、真白だった。驚くべきは、その瞳の色だ。なんと、綺麗な青色だった。普段はカラコンで隠しているらしい。陽はその瞳に、一目惚れをしてしまう。
・ふたたび二人は相談をする。陽は真白へ言った。「隠れてゲームをする、という選択はやめたほうがいいのではないか」。
・ゲームをするやつはダメ人間――そんなレッテルをどうにかして、はがさねばならない。しかし、黒木には難しすぎる問題だった。
・そんな中、藤堂真白は暴走する。そして言った。「ごめん! 我が家にきてください!」。なんと真白は、親の求める「オーディション」に出る代わりに、黒木家に遊びに行っていいかと、交渉をしていたらしいのだった。
・しかし、黒木は気が付く。(こ、こいつ、おそらく、ゲームをするためとは、言っていないんじゃないか……?)。真白は視線を逸らした。「い、言ってますけど?」
絶対に言ってない!
・それでも黒木は、真白のお願いを聞くことにした。
・来訪する服装を妹に選別してもらおうとするダメ兄貴。
・待ち合わせ場所。遠くから、真白が歩いてくる。誰もが振り返る美人の先に――自分がいることに、恐れを抱く、陽。
・そして、その時はきた。相手の親との食事会が開始――。
・あっけなく、「ゲームはしてよい」との話し合いが進む。しかし、陽は気が付いたのだった。
藤堂家のルールは『銃をうつような、バイオレンスなゲームは禁止である』ということに。ゲームの種類を理解されていないのだ。
・当然、反対をする両親へ向けて、真白は啖呵をきった。「暴力的なゲームをしていたとしても、友達と良い関係を築けることを証明する」と、黒木を巻き込んだ。
・親が出した答え――それは、黒木が言ったセリフの転用だった。「ゲームをしていても、勉強に支障はでない」……なら、と父親は提案した。「黒木くん、テストで学年50位内をとることができたら、真白の話を認めよう」
・翌日。ぐちぐちと文句を言う陽へ、真白は言った。「もしも頑張ってくれたなら、わたしも一つ、黒木のお願いを聞くよ」と。
・青い瞳を心に思い描きつつも、黒木は明確に答えを出さない。そんな中、藤堂は「なにも欲しがらないのに、なんで、黒木はわたしを助けてくれるの?」と質問をする。
笑顔の真白を思い浮かべながら、陽は言った。
「俺はきっと、楽しいんだと思う。藤堂と、一緒に、いろいろと挑戦するのが、ただ楽しい。ただ……、それだけなんだ」
Chapter3〈Family〉
END




