【Chapter2】俺とあいつは友達じゃない。【ここまでのお話】
○Chapter2まとめ
・陽は妹の茜に『友達ってどう付き合うの?』と相談をする。茜には、陽の頭がおかしくなったと仄かに疑われた。
・茜は陽をこう評した。
『にいには、見えない部分まで見える人だから。人を知りすぎて、今度は逆になにも見たくなくなったんでしょ。人を気遣えるからこそ、逆に全てが嫌になっちゃったんじゃないかな』
・陽と真白は学校でゲームをしている。陽にとってそれは普段の生活とは違うはずなのに、不思議と受け入れられる時間だった。
・『お前』と呼ばれることを嫌がる真白に、謝罪しつつも、まだ相手を個として受け入れられない陽は、度々、『お前』とまるで画面の向こう側に語りかけるように、話してしまう。
・真白は、モデル活動をしており、母親はマネージャーである。だがどうやら、色々と思うところがあるようだった。
・真白から写真が送られてきた。それは仕事で撮影したもののようだった。レンズに笑顔を向けているはずの真白――しかしどこか違和感を感じる陽。
・陽は真白から相談をうけた。非リアがリア充から相談を受けるとは信じられない陽であったが、真白の質問はこうだった。
「うまく笑えない気がする」
陽はおそるおそる、思ったことを口にした。
「ゲームしてるときのほうが、楽しそうだ」と。
真白は言った。
「なら、それは黒木のせいだ。なぜならわたしは、本当に楽しいことを知ってしまったんだから」
・真白はストレスを溜めていた人生のなかで、それらを吹っ飛ばすことのできるゲームに心酔していたのだ。そのせいで、いつも仕事で浮かべていた笑顔が、作り物めいてしまったのだった。
そして陽も、真白とゲームをすることに、楽しさを覚えてしまっていた。
それはゲームが上手いだとか、下手だとかを超えた、友達みたいな感覚であり、陽は困惑した。
しかし、認めねば先に進めぬことはある。
・放課後のゲーム中。真白のスマホに、「母」の表示。どうやら真白は、親との約束を破ってまで、放課後のゲームに勤しんでいたらしい。
夢は覚めた。本当に?
陽は、電話を取り上げて、真白の母親へと口早に言った。
「彼女は逃げてません。俺のパーティーに呼んだだけなんです。誕生日パーティーです。だから、参加させてやってください」
そして電話は切られた。
・呆然としていた真白だったが、直に嬉しそうにスマホを返してもらう。
こうなったら行けるとこまで行くしかない――陽は真白と秘密の場所を後にした。
それは二人が本当の意味でパーティを組んだ、初めての日となったのだった。
○Chapter3へ続く




