過去
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「で、今日はお前は何で俺をここに呼んだんだ?」
あの化学研究所の出来事から1ヶ月近くたち、12月下旬。
もう俺の周りはクリスマスモードである。
そんな中で俺等は5月に起こるであろうアウトブレークに向けて様々な準備を行っていた。
真奈は有栖川と言う人物にコンタクトを取ろうとしているし、美雪は最近こそこそ俺に隠れて何かをしている。
真奈はともかく美雪は一体何をしているのか俺は全く分からない。
そして、俺はというと現在高宮邸の大広間で真奈と2人でお茶をすすっている。
明日はクリスマスイブなのでここで皆でパーティーをしようと言っていたがその前日に呼ばれたのにはびっくりした。
しかも真奈の家に泊まる準備までして。
「率直に言うと童はお主の以前の世界の話を聞きたいのじゃ」
「以前の世界って……そんなの美雪に聞けばいいだろう」
そうだ。
美雪も俺と一緒に前の世界を生き抜いてこの世界に来たのだ。
前の世界の話を聞きたいのなら美雪に聞けばいい。
俺に聞くなんてお門違いにも程がある。
「雄二よ、童はお主が初めてアウトブレークにあった時の話を聞きたいのじゃ」
「そんなことを聞いてどうするんだよ。昔のことを聞いてとくすることなんてないだろう」
「あるんじゃよ。お主のことを知るためにはそのことを知らんとならないのじゃ」
俺の方を見る真奈は真剣そのものだった。
「お主の根底にある人への優しさを童は知りたいのじゃ」
「俺の?」
真奈は何を言っているのだろうか?
俺の優しさ?
俺に優しさなんてものはないはずだが。
「美雪も話しておったぞ。『雄二の中にある優しさが何なのかが知りたいって』と」
俺は美雪達に特に優しさなんかで接していない。
これを優しさととらえるのかどうかがわからない。
「真奈、これは一体どうしたの?」
「真奈ちゃん今日はパジャマパーティーなんだよね」
俺と真奈が話す所に美雪と友梨亜が現れた。
何故美雪達まで真奈は呼んだんだ?
「これは美雪や友梨亜にも知って置いてもらった方がよかろう」
「真奈、もしかしてこれってもしかして……」
「そうじゃ。今日は雄二の過去を聞こうと思っているのじゃ」
美雪はその話を聞いて興味心身だった。
そして、真奈の隣の椅子へと座る。
「雄二、その話私も聞きたい」
「友梨亜も、友梨亜もすごく聞きたいな」
2人もどうやら真奈と同じ意見のようだ。
これはどうやら逃げられそうにもない。
「分かった。話すから。ただ、この話を聞いて人を怨むようなことはやめてほしい」
3人がうなずいたのを見て俺は話し始める。
それは俺が初めてアウトブレークに遭遇した時の話。
あれはもうすぐゴールデンウイークが始まろうとしていた5月上旬の出来事だった。
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