神山博士
「あっちが薬品の保管庫でこっちの部屋が細菌の抗体を作る施設だ」」
俺等は先ほどから色々な施設に案内をされている。
それを見るたびに、友梨亜や沙耶なんかはがやがやとはしゃぎ、真奈はその話を退屈そうに聞いていた。
あれから神山博士に1人1人軽く自己紹介をしたが、どうやら神山博士は俺等のことを知っているようだった。
「有栖川のお嬢さんに君たちのことは聞いているからね」
どうして有栖川のお嬢さんが俺等のことを知っているんだろうか。
初めは真奈が教えたものだと思っていたが、真奈もどうやら教えていないらしい。
一体俺等のことを何で知っていたのだろうか。
それよりもここまであのアウトブレークの原因となる原因の研究が見つからない。
ただ、神山博士が紹介していないだけなのかそれとも今の段階では研究が行われていないのか。
俺はただただ焦っていた。
真奈がここまでしてくれたのにもかかわらず何も証拠が見つからないのだから。
「お父さんすごいです。こんな研究もあるんですね。すごい参考になります」
「そうか。でもこの中のどの研究にも私はかかわっていないんだ」
「じゃあ、叔父さんは一体今何の研究をしているの?」
友梨亜が聞いた質問はもっともなものだろう。
ここの研究者なら絶対に何かの研究をしているはず。
しかも神山博士は研究者である。
絶対に何かの研究にかかわっているはずだ。
「叔父さんの研究は国家機密級の研究なんだよ。多分岬君は僕の研究に興味があるんじゃないかな?」
そういい、神山博士は俺の方を向いてそう言った。
俺が興味を持つ研究?
もしかして、アウトブレークに関することか?
「雄二、それってもしかして……」
「あぁ、美雪が思っている通りだと思う」
俺と美雪は耳元でお互いひそひそと話す。
どうやら俺と美雪の考えは一致しているようだ。
眠そうにしていた真奈もその話はしっかり聞いていたようで何やら神妙な顔をしている。
「そんな怖い顔をしなくても後で連れて行くから。それよりも先にお昼でも食べようか。
」
神山博士はそういい、俺等を食堂へと連れて行ってくれた。
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