化学研究所
「ここが研究所じゃ」
2日目、俺は真奈や美雪達と一緒に化学研究所いる。
昨日は沙耶と友梨亜が満面の笑みで帰ってきていて、美雪はと言うと一様に疲労した表情を見せていた。
話を聞いてみるとどうやら色々なお店に連れまわされたらしい。
本人曰く、結構色々なものを沙耶や友梨亜と食べたため、明日からダイエットしないとと言っていた。
美雪さん、ご愁傷様です。
「お待ちしておりました。高宮様ですね。」
そう言いながらスーツを着て、凛々しい姿をした男の人がこちらに向かって歩いてきた。
年ははたから見て40代位だろうか。
顔達は端正でいかにもエリートと言った感じの風貌の人だった。
「私はこの研究所の責任者をしています、釘宮と申します」
「うぬ、童は高宮真奈と言う。他にも見学者2名と童専属のSP2名じゃ」
そう言い、俺と美雪は一礼した。
現在、俺と美雪は黒服のスーツを着て真奈の後ろにいる。
研究所の中の視察は真奈しか招待されていないため、こうするしかなかった。
SPなら真奈の護衛と言って入ることができるからね。
で、黒服のスーツに着替えたのだが、友梨亜には散々笑われた。
黒のサングラスをかけた時には友梨亜が床に転がるほど爆笑していたのを覚えている。
友梨亜め。
帰ったら覚えとけよ。
「高宮様。申しわけありませんがそちらの2名は中には入れないのですが……」
「童の頼みでも、ダメか?」
「申しわけありません。この研究所には国家機密級の研究のものもあるので一般人をこれ以上中に入れるわけにはいかないんですよ」
そう言いながら引きつった笑顔で丁重に断りを入れてくる釘宮さん。
確かにこの研究所には何かありそうだな。
この人もきっと何かを隠している。
果たしてその状態でこの研究所の秘密を暴くことができるのだろうか?
「うん、そこにいるのは……まさかな」
「あっ、お父さん」
そう言い、近くを通った白衣の研究者に向かって沙耶は抱きついていた。
見た目は40代後半ぐらいの優しい顔をした男性だった。
顎には目立つ無精ひげが生えている。
目のくまからしても一体神山博士は一体どれくらい寝ているのだろう。
そして俺の横ではしたり顔をしている真奈の姿があった。
「神山博士……この子は一体……?」
「あぁ、私の娘だ。1週間前にここに来るって連絡をもらったからロビーに来てみれば……まさか本当に会えると思わなかったがな」
そういい、沙耶の父親、神山博士は俺等に向かって微笑みかけた。
「今日は確か見学をすると聞いたが……」
「それは高宮のお嬢様だけです。他の外部を入れていいとは言っていませんよ」
「ふむ確かに……それもそうだな」
神山博士はしばらく考えるようにしていた。
そして何かいいことを思いついたようにこちらを振り返る。
「じゃあ君の変わりに私が案内するということでどうかな? 重要な所とか入ってはいけない所を知っているから大丈夫だと思うのだが……」
「ですが……国家機密にかかわるものもあるのですよ。ここは私が案内した方がいいに決まっています」
何やら釘宮と言う若い男性は何やら必死のようだ。
どうやら本当にこの研究所に何かあるらしいな。
多分それはこれから起こるあの事件についての重要なものなのだろう。
「大丈夫だ。君は本当に心配性だな」
「ですが……神山博士……」
「君はここにきて日が浅い。私の方がこの中を知っている。それと君は何か不服があるのかね?」
そういい、神山博士は釘宮さんに何やら耳打ちをした。
された釘宮さんの方は顔が真っ青になっていく。
果たして神山博士は彼に一体何を吹き込んでいるのだろうか。
「分かりました。神山博士に後は一任します」
そういいながら釘宮さんは俺等の所を去って行く。
その様子を眺めながら神山博士はこちらに向かってガッツポーズをしていた。
この人は子供みたいな人だな。
神山博士を見た俺の最初の印象はこんな印象だった。
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