後夜祭
「で、何であなたの所にはこんなに女の子がいるのかしら?」
「いや、それはですね……美雪さんなりいきでこうなってしまって……」
「沙耶はまだ分かるわよ……でもね何で真奈や友梨亜ちゃんや美優、それに葛城くんまでいるのよ」
激昂する美雪に対して、俺は何も言えない。
今現在俺の周りには美雪のほかに、沙耶、真奈、美優、尚道の4人がいる。
2人きりの後夜祭を望んでいた美雪が怒るのも無理はない。
「雄二君が誘ってくれたんだもんね」
やめろ。美優それは地雷だ。
お前は俺を殺す気か。
見ろ、美雪の頭に角が生えているみたいだ。
美雪の沸点が低いのか俺が悪いことをしているのかどっちなんだろうな。
確実に後者が原因だろうが……。
「あら、立石さんはこんなで具の棒が好きなんですか?」
「そういう安城さんは、雄二君の魅力が全く分からないんだね?」
怖い。
何なんだこいつら。何でこんなに恐ろしいんだ?
どうしてこうにらみ合っているんだ。
俺は隣にいた沙耶、真奈、友梨亜の中学生トリオの所へいった。
「へぇ~真奈さんはそんな研究をしていたんですか」
「真奈ちゃんってすごいんだね~」
「ふむ、沙耶よ。今度私の屋敷に来ては見ないか? こういうこともできるぞ」
「本当ですか? ぜひ今度招待してください」
「真奈ちゃん、私も私も」
「もちろん、友梨亜もじゃ。3人でこういうこともやってみたいものじゃな」
おうおう、こいつら仲良くなってるな。
出会ったときはどうなるか心配だったが、心配損だったな。
「あっ、先輩聞いてください。今度真奈さんの家に招待されるんですよ」
「うむ。沙耶の話は実に興味深い。今度ぜひうちで話をしたいものじゃ」
「友梨亜も一緒に行くんだよ」
まっ、なんだかんだいって仲が良くなってよかったな。
俺は3人の中学生トリオ笑顔を見てそう思った。
「おい、雄二。なんかすごいな」
今度は尚道が俺の側へと寄ってきた。
「何がだ?」
「お前の周りはレベルが高いのばっかりじゃないか」
確かに美雪、美優ともレベルは高い。
ただ、何で2人とも俺を選ぶのだろう。
俺はただ自分ができることをしただけだ。
無理なものは無理と切り捨てたし、そんなにいい人ってわけでもない。
この疑問はどうしたら解消されるのだろうか?
「さっき立石さんとも話したけどやっぱり凄かったな。あの胸。あれで彼氏いないとかどうなってるんだ?」
美優は確かこの時期には彼氏がいたと思ったんだが、いないのか?
確か3年生の先輩と付き合っていたはずだ。
名前は思い出せないが確か学園祭の時に告白されて付き合っていたと聞いたはずだ。
で、確か今頃は3年生の先輩と一緒にフォークダンスを踊っていたはず……。
あれ? これはもしかして……
「歴史が変わってる?」
どうやら、前いた未来とは少し世界が変わっているようだ。
正直この後の未来がどうなるかは俺には分からない。
真奈がこんなに社交的に出てきて、沙耶と仲良くなっている。
これだけでも信じられないのに、美雪も今はずっと俺の側にいてくれる。
もしかしたらこれも美雪効果なのではないか。
俺はついそう思ってしまった。
「それより尚道、本当に美優は彼氏いないのか?」
「あぁ? よくわからんが彼女はまだ彼氏はいないぞ? 絶賛募集中ってやつだ」
これは少し楽しみかもしれない。
もしかしたらあの惨劇が防げるかもしれない。
それだけでも俺はこれから先の未来にも期待が持てる。
もしかしたら最高のエンディングが今回見れるのではないかと言うことに。
「雄二? 何でそんな所にいるの?」
「ゆ~じくん? ゆ~じくんは私と安城さんどっちが好きなのかな?」
2人の表情は笑顔だが背中からは暗黒のオーラが見える。
前門の虎、校門の龍と言うところだろう。
まずあの惨劇を乗り越えるよりも先にこっちの修羅場を乗り越えないと行けないな。
そんな思いを抱きながら俺はこの修羅場をどう逃れるか考えていた。
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今回のお話で5章は終了となります。
次回からはお話が少し動きますのでご期待下さい。




