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仲直り


「遅い」


「いや、申しわけない。ちびっ子3人組が色々な行こうとするから」


「お兄ちゃん。立派なレディー達に向かって何を言っているのかな?」


「むっ、沙耶のせいですか? 先輩だって女の子に鼻の下を伸ばしたのに」


「そうじゃ、童達レディーがいるのに他の女にうつつをぬかしおって」


 こいつら、一体何を言っているんだろうか?

 俺がいつ鼻の下をのばしてたんだ。

 どう考えたって濡れ衣だろう。友梨亜ちゃんだけが


「雄二。説明してくれるよね」


 怖い。美雪さん目が完全にいっています。

 今の美雪さん阿修羅すら凌駕できちゃうんじゃないですか。

 それにこれは彼女らの濡れ衣なんですよ。

 俺は別に誰も見ていません。

 

「まぁそれは、後で雄二の体にゆっくり聞きましょう。それにしても、私が会わす前に2人ともあっちゃうなんてな」


「お前、真奈を連れてきたのって……」


「そう、沙耶ちゃんとあわせるためだよ。私が2人と会わそうと思ってたんだけど……でもそんな必要なかったわね」


 そう言いながら仲良く話す3人にすごく温かい視線を送っていた。

 

「じゃあ私は3人と一緒に周るから。雄二はどうするの?」


「俺は少し1人で周るよ」


「分かったけど……他の女の子に色目使ったら分かってるわよね……」


 そういうと美雪はこちらをにらみつけてくる。

 美雪さん、こわいです。

 

「じゃあ、また後で会いましょう」


 そういい、美雪達が真奈達3人を連れてどこかに行く。

 美雪よ、そう簡単に女の子を俺がひっかけられるわけがないだろう。

 お前は色々と勘違いしているぞ。

 

「岬君はなぜ仕事をサボっているのですか?」


 いきなり俺の前に現れて話すこの女性は辰巳栄子と言う女だ。

 四角い眼鏡に両方の髪を三つ編みに揺っていて、見る人が見ればお堅い昭和の女の人と言う感じだ。

 実は俺は辰巳が苦手である。

 性格が根っからの真面目で、堅物であるため、俺としてはあまり近づきたくない人物だ。

 

「まぁまぁ。硬いことは気にしない気にしない。雄二君だって悪気があったわけではないんじゃないんだから」


 そういながら豊満な胸をゆらして美優がこちらにきて俺のフォローをしてくれる

 てか、何でこいつがこんな所にいるんだ?

 美優は美優で宣伝していはずだろうに。


「分かりました。今回は許しましょう。ただ、次同じことをやったら許さないですよ」


「それよりお前こそ、店のことをほっぽって出歩いていいのかよ?」


「私は材料の買い出しに行くので問題はありません」


 やはり、俺はこいつのことが苦手だ。

 ああいえばこういう、そして理論を作って話すやつは俺は嫌だ。

 辰巳はそう言いながら俺の側を離れて買い出しに向かう


「いや~栄子ちゃんは、かたいね~もう少し気楽に言ってもいいのに」


「助かったよ。美優、ありがとう」


「いや~別にいいよ。こんなことよくあることだし」


 そう言いながら頭をかき美優は照れていた。


「じゃあさ、ご褒美に今日の後夜祭付き合ってくれない?」


「後夜祭か……」


 後夜祭は美雪と一緒にいるのだろう。

 それに沙耶と真奈、そして友梨亜も多分いる。

 どう考えても美優が思っている通りは無理だ。


「多分、知り合いもいるんだけど……それでいいなら」


「うん。いいよ。じゃあ後でね」


 そういいつつ、美優も俺の所から去って行った。


「お前は本当に色男だな。」


 いつの間にか俺の隣にいた尚道がそんなことを言ってくる。

 

「安城さんに立石さんまで手篭めにして。それにさっきの可愛いちびっ子コンビはなんだよ。お前はハーレムでも作りたいのか?」


「いや、そんなんじゃないわ。てかお前今まで俺と距離とってただろうが。今になって何で近づいてくるんだよ」


 そうだよ、こいつは噂がたってから俺とは一切話すことがなかっただろうが。

 それが何今になって話しかけてくるんだよ。

 

「その件に関してはすまなかったとしか言いようがない」


 尚道が俺に向かって頭を下げている。

 こいつにして珍しい。

 

「ただな、代わりに色々分かったことがあるぞ。噂の出所は……」


「由良だろ。その件はもう解決したよ」


 あの後由良の問題は解決した。

 ただ、俺の噂はいまだに残っているけど、まぁそのことはいいだろう。

 

「まぁ、そうなんだがな……じゃあこれだけは渡しておくわ」


 そういい、尚道は俺にある紙を渡す。

 その紙にはこの学校の生徒の名前が書き連ねられている。

 

「それは今回の噂の出所とか由良達の悪事の資料だよ。いや~調べると色々出てくる出てくる。由良達の悪事の数々」


 こいつ、こんなこと調べていたのかよ。

 俺の知らないものまでこの資料にはのってやがる。


「その資料はお前に渡すから、これで由良達を好きにすればいいさ。まっ、お前に言われたことを俺は実戦しただけだから」


 俺は何かこいつに言ったっけ?

 考えてみるが何も思いだせない。

 

「お前が言っただろうが。噂を真に受けるなって。だから今回は調べたんだよ」


 そういう尚道はこちらを向いて笑っていた。

 尚道は俺の言ったことを流さないでちゃんと聞いていたんだな。

 俺は少しうれしかった。

 尚道が俺の言ったことを実戦してくれたことに。

 

「すまないな。俺こそ勘違いしていてごめんな」


「いいってことよ。あの時誰もお前の所にに近づかなかったからな。そう思われるのも仕方がないよ」


 そういうと尚道は俺に右手を差し出してきた。

 これは仲直りの握手と言うことなのだろう。

 俺は尚道の右手を握り返す。

 これで仲直りだ。

 

「そう言えば、お前も後夜祭どうするんだ? 予定がなければ俺達と過ごすか?」


「じゃあ、お願いするよ」


 そういい、俺と尚道の契約は成立した。

 何か重要なことを忘れている気がするが、それを俺は完全に忘れていた。


ご覧いただきありがとうございます


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