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協力

この話で2章が終了になります

「真奈様。お二方をお連れしました」


「うむ。まいれ」


 門脇さんが彼女の部屋のドアを開けるとそこには絶世の美少女がいた。

 金髪の碧眼であり、幼い体型には似合わないような情熱的な赤いドレスを着ている真奈に、俺と美雪は目を奪われていた。

 くそ、幼女なのに何て服をきてやがるんだ。

 数年後が楽しみになるじゃないか。

 

「門脇。お前は下がっていいぞ」


「承知しました」

 

 そう言うと、門脇さんは部屋の外に出ていき、やがて部屋には俺ら3人しかいなくなる。

 やはり誰にも聞かれたくない大事な話をするようだ。

 

「さて、まずはその他達に礼を申す。ありがとう。もう少しで童は死んでおった」


 そう言い深く頭を下げる真奈に俺らは驚いてしまう。

 こいつってこんなに謙虚なやつだったっけ?

 いつも傲慢で不遜な真奈とは違う謙虚な姿に俺は唖然としてしまう。

 

「童は高宮真奈という。この高宮財閥の1人娘じゃ。お主たちは名はなんというんじゃ?」


「俺は岬雄二です。こっちにいる彼女は安城美雪です」


 俺がそう言うと隣の美雪も真奈に向かって軽い会釈をした。


「なるほどな。雄二に美雪か……いい名じゃな」


 そう言い妖艶な微笑みを見せる真奈に俺は年齢以上のものを感じてしまう。


「して、お主らは何故あんなことをしたのじゃ? 一歩間違えたらお主たちが死んでおったのだぞ」


 俺らにそう言った真奈は厳しい目を見てこちらを見ている。

 確かに見ず知らずの人を助けるなんて普通じゃあり得ないだろう。

 特に真奈の周りには彼女を利用しようとしている奴らがわんさかいるのだから慎重になるのも無理はない。

 

「高宮真奈に死んでほしくなかった……それじゃあだめなのか?」


「だめじゃな。童と初対面のそなたたちに、童を助けるメリットが見当たらない。裏が取れない以上童はお主たちを信用できぬ」


 やはり真奈は用心深い。

 このままではこの話し合いは平行線をたどってしまう。

 う~んどうすればいいのだろう。

 何とか真奈を説得できないものかな。

 

「高宮真奈……あなたは将来世界を驚かす発明をするの」


「おい、ちょっと美雪……何を言って」


「その発明は私達にとって重要なものになる」


「ならば、そなたらは童が将来発明するであろうものを嗅ぎつけて童を助けたというわけだな」


 そういい、高宮真奈は鼻を鳴らした。

 美雪、その言葉は真奈にとっては禁句の言葉だ。

 今まで真奈の周りには真奈を利用しようとする奴らしかいなかったんだぞ。

 そのため真奈は信用できる奴らがいなくてずっと1人だったんだからそんなことを言ったらきっと彼女は俺等を信用しない。

 

「それは違うわ。正直な話、私はあなたのことなんか実はどうでもいいの」


「なんじゃと……」


 俺もその発言にびっくりした。

 まさか美雪がこんなことを言うとは俺は思わなかったから。

 沙耶にかいがいしく世話を焼く美雪とは到底思えない発言だった。

 

「ただ、あなたが死ぬと雄二が悲しむから私はあなたを助けただけ。私は前の世界ではあなたに会っていない。だから特にあなたに対しての感情は私にはないの」


 美雪は少し憂いを帯びた表情を真奈に向けていた。

 確かに前の世界では美雪は真奈にあっていない。

 そのため真奈のことをどうでもいいと思う気持ちは分かる。

 一緒にいなかった相手のことなんかどうでもいいと俺も最初にタイムリープをした時は思った。

 でもそれは違うんだ。

 タイムリープした世界は前の世界とは違うので、誰でも助けられる。

 俺はこの時を何度もやり直すことでそのことを学んだ。

 今は無理だと思うが美雪もいつかこのことに気づいてほしい。

 誰でも救えるということを。

 

「さっきから、前の世界とか将来の発明とかお主たちは何をいっておるのじゃ? 童には全く理解ができん」


「それもそうでしょう。私達は未来の世界から過去に戻って来たのだから」


 その言葉を聞いた時、高宮真奈は俺達を見て目を丸くしていた。

 何故このような反応をするのだろう。

 普通は鼻で笑って終わりの話なのに。

 

「未来の世界とは何を……まさか、いや……お主たちもしや、童が今書いているタイムリープの理論を……」


「えぇ。知っているわ。そして、その発明がこの世界を助けるために重要なものになることも」


「知っているのか? この後起こる未来の事象を」


「えぇ。私と雄二はこの後のことも知っている。そしてこの世界がどうなるかも……」


 しばらく無言の時間が続く。

 実際は数分だったが、俺にはその時間はそれ以上に長く感じた。

 そしてそれ断ちちきるように高宮真奈が唐突に話し始める。


「お主らのあったいままでのことを全て話してくれぬか?」


 彼女の言葉に俺と美雪はこれまでの経緯を全て話した。

 北海道の化学研究所から起こったアウトブレーク。

 それにより感染する人々。

 俺達は何とか逃げ延び島に辿り着き暮らしていたこと。

 そしてアウトブレークが再び起こったこと。

 俺と美雪はその未来を変えるためにタイムリープしてこちらに戻ってきたこと

 全てを真奈に話した。

 全てを聞き終えるとため息をつき真奈は話し始めた。

 

「お主たちの話で納得がいった。北海道の化学研究所の話じゃ」


「えっ?」


 俺はこの時の真奈の話に驚いてしまった。

 何故真奈がその話を知っている?

 前の真奈はそんな話を一言も話してくれなかった。


「その化学センターは確かによからぬ話があることを父上と母上の話を盗み聞いてきいたことがある」


「そのよからぬ話ってなんだ? 重要なことなんだ」


「盗み聞きをしたと言ったたであろう。詳しいことは童も分からぬ。ただ、どうにもまずい研究をしているという話は聞こえたぞ」


 この時にはもう真奈は知っていたのか。

 前回は一言も教えてくれなかったのに。

 俺はそんなに真奈から信用がなかったんだな。

 

「それよりもお主たち……このまま何もしなければ、世界は破滅を迎えてしまう。その中でお主たちはこれから何をするつもりじゃ?」


 そんなことは等の昔に決まっている。

 この世界に来た時、美雪とそのことについて話したのだから俺の行動指針は決まっている。


「アウトブレークが起きた場合、少しでも被害が出ないようにする。それが俺の行動指針だ」


「被害がでないようにする……か。未然に防ぐというのは選択肢はそなた達にはないのか?」


「あぁ、ない。未然に防ごうとした時、突如アウトブレークが起こった。もう俺はあの時と同じことを起こしたくない。だから未然に防ぐじゃなくて被害を最小限に防ぐ、だ」


 それに真奈。

 前いた世界でお前が言ったんだぜ。

 被害を最小限にしろってな。


「よかろう。雄二は未然に(・ ・ ・)防いだ時(・ ・ ・ ・)に何かあったのじゃろう。童もお主らに協力しよう」


「本当か?」


「あぁ。童に二言はない」


 どうやらなんとか真奈との約束は取り付けられそうだな。

 これは良かったと行った方がいいのかな?

 

「時に雄二。お主は童を絶対に守ってやると言っておったな」


「あぁ、お前にどんなことがあっても俺が守ってやるつもりだが……それがどうした?」


 真奈はこちらの方を向いて何やらもじもじとしている。

 それにどこか顔が赤い。

 もしかして熱でもあるのかな?

 

「お主……童のSPをやらないか? ほら、それなら四六時中童の側にいて童を守れるじゃろう」


「それはだめよ。雄二は帰るべき家があるのだから。四六時中なんて一緒にいられるわけないじゃない」


 何故か美雪が必死に真奈のことを説得している。

 美雪が必死になることもないと思うが、確かに俺も友梨亜のことがあるので四六時中はいられない。


「四六時中は無理だが、SPなら全然いいぞ。ただし時間がある時だけだが……」


「納得ができぬがしょうがない。じゃあお主は童のSPをやってくれるんじゃな」


「あぁ。喜んで引き受けさせてもらうよ」


 そう言いながら俺は真奈とがっちりと握手をする。

 握手をした瞬間真奈の顔がまた赤くなった気がするが俺の気のせいに違いない


「雄二がやるのなら私もやるわ」


 そう言いながら美雪も横から割って入ってくる。


「お主は別にやらなくてもいい。雄二がいてくれればそれだけで警備が厳重になるからな」


「こんな抜けてるやつ1人じゃどう考えても不安じゃない。真奈に何かあったらどうするのよ」


「抜けてるとはなんじゃ? 雄二はしっかりしたよき青年ではないか」


「真奈は雄二の抜けている所を知らないから言ってるのよ。雄二の隠してるエッチなDVDなんてたまにベッド下からはみ出しているんだからね。しかも種類は全部巨乳もの」


「ちょっと待て、お前が何故それを……」


 前友梨亜に見つかって母親にばらされた後、隠し場所を変えたんだがなぜそのことを美雪が知ってるんだ。


「雄二、お主何故女性の胸ばかりのものを集めておるのじゃ。もっと他にも見るべきところはあるじゃろうが」


「怒る所そこ? もっと別の所じゃない?」


「一時真奈とは休戦協定ね。とりあえず今日は雄二のそのことについてゆっくりと聞いてあげるわ。まだ朝まで時間もあることだし」

「そうじゃな。美雪といったか。これから雄二をこってり絞ろうかのう」


「えぇ。私を差し置いてそんなものを見ているなんて絶対に許さないんだから」


 なんでこんなときばかり女は結託するんだ。

 そして俺のエロDVDなんて今は関係ないだろう。

 というか2人とも喧嘩をしていたんじゃないのか?

 この後、俺は女性2人からねぼりはぼりエロDVDの話と俺の女性への趣向について問い詰められることになる。

 2人から解放されたのは朝日が昇り始めるころだった。

ご覧いただきありがとうございます


感想をいただけるとうれしいです


これにて2章は終わりとなります。

ここまでご覧下さった皆さん本当にありがとうございます。

3章も早めに上げられるようにしますのでこれからも応援の方宜しくお願いします。

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