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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第二部 第二次プルミエ侵攻
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オージュス連合国、布陣完成

 戦場に到着したオージュス連合国は急いで布陣することとなる。


布陣前に急襲されることは避けたい。


指揮官が集まり、布陣を相談すると、本来の攻撃主力である軽装歩兵がおらず、現状の戦力では重装歩兵が主戦力となることが問題点とされた。


つまり、ドルディッヒ王が主戦力となってしまう。


これはもっともリスクが高くなるため、急遽指揮官変更が行なわれた。


そこで、ドルディッヒ王には騎馬兵を率いてもらうことにした。


工兵と輜重隊には本陣に詰めてもらい、拠点構築として、簡易な砦を作成してもらう。


これは、アドランデ将軍とアインハイツ将軍が到着するまで、早くても半日かかり、一日後になるかもしれないからだ。


長期戦を想定し、やや時間をかけて拠点構築をした方が良いというのと、工兵と輜重隊では戦闘力が低いため、遊休となるのが馬鹿らしいという理由である。


こうなると、重装歩兵五百、弓兵三百、ヴィータ国の弓兵千七百と戦力主体が弓兵隊となる。


本来ならば、ヴィータ国の弓兵隊は援軍であり、戦闘にはあまり参加しないということだったが、そうも言ってられない。


工兵と輜重隊は戦闘力に含めないと考えると、重装歩兵、軽装騎馬兵、弓兵、近衛兵で千百、フラハー国の千五百に兵数で下回ってしまう。


近衛兵二百もはたして戦力になるのかどうか疑問だった。


一応は重装歩兵ではあるが、戦闘経験は皆無に等しい。


兵数での圧倒的有利を見込んでの侵攻だったが、まさか兵数で劣る計算となるとは思わなかったため、割り振りや配置に頭を悩ませることになる。


結局のところ、持久戦狙いで、本陣に工兵、輜重隊が拠点構築、兼防衛、左右を近衛兵団、前面を重装歩兵、さらに前面に王率いる騎馬兵、それを包み込むように半円状に弓兵が展開することとなった。


ヴィータ国の兵は戦争への積極的参加は本国の指令に反すると最初難色を示したが、


「相手に動きがあり、射程圏内に入ったら、斉射して牽制するだけで良い。万一、突撃を受けるようなことになれば、退却して良い。あくまでも安全圏である遠距離からの攻撃、牽制だけであって、これは当初の協約通りである」


と無理矢理説き伏せたのだ。


実際に、弓兵隊だけで言うと、相手の四倍である。


遠距離、牽制主体の戦略になるのは必然であり、相手の方が騎馬が多いことも、弓矢での牽制が必須なのは明らかなのだ。


とにもかくにも、アインハイツ将軍、アドランデ将軍が戦線に復帰するまでの一日、いや、日没までの半日持たせることが第一だという結論に達した。


こうして無事にプルミエ国の布陣が完成するのを見届けてから、フラハーは動く。

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