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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第二部 第二次プルミエ侵攻
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キャンプへの帰還と討伐報告

 森を出て、平野に琴葉隊が現れると、訓練をちょうど終えた兵達がその姿に気付き、ややざわざわする。


数人が駆け寄ってきて、


「何か忘れ物でしょうか?」


「予定の変更ですか?」


と口々に聞いてくるが、討伐完了を告げると、皆一様に驚いていた。


いくら目撃情報があり、昨日の今日だとしても、この広大な森である。


魔獣を見つけることは中々に難しく、三体が別行動していれば、なおのことである。


森に侵入してわずか三時間で任務を完遂して戻ってくるなど、よほどのことがない限りは無理なのだ。


「うちには、魔獣を呼び寄せる秘策があるからね!」


と言って琴葉は笑うが、なぜか朝美がげんこつを落とし、琴葉を黙らせる。


それを見ていた兵達は、特別秘匿しなければいけない国家秘密だと思い、その件に触れないようにするのだった。


アス老人を筆頭に、他の琴葉隊は笑っていたが。





 フラハー王に報告に行くと、ちょうど訓練後の簡易ブリーフィングが行なわれており、多数の指揮官達が揃っていた。


のぞみ達は、ちょうど良いタイミングとばかりに、皆に討伐達成を報告しようとするが、フラハー王の第一声は、


「あれ、皆さんお揃いで。予定変更ですか? あるいは何か異常事態でも?」


と言って、心配そうな顔で見てくるのだった。


のぞみ達は大きくかぶりを振って、


「いえいえ、実は任務完了です。森に入って、二時間半で魔獣に遭遇しちゃって、そのまま三体倒したため、戻ってきちゃいました」


そういって、なんだか罰が悪い気になり、うつむき加減で小声で報告をする。


指揮官達は信じられないと言った表情でポカンと顔をあげて、琴葉隊を見つめる。


琴葉が何かを言おうとしたが、朝美が強烈に睨んだため、テラガルドの陰にそっと隠れるのをみて、アス老人は微笑む。


テラガルドは宝石を三つだし、テーブルの上に置くと、皆が集まり、手に取って見る。


「あー、確かに三つですが。なんていうか、失礼ですが、比較的小ぶりですなぁ」


アンダールが上にかざしたりして正直な意見を述べる。


「オークのを見た後だと、どれも見劣りしちゃうのもあるんでしょうけどね」


といって、ポシュエもまた手に取る。


琴葉隊はそんな言葉に不快になることもなく、


「いや、実際に魔獣の中でもかなり弱い部類に入るとは思うぜ。身体はそこそこデカいけど、俊敏さも知恵も戦闘力も特にたいしたことねぇよ。角振り回すから、それだけかな」


朝美は実戦経験交えて話をする。


「おそらくですが、突進だけ気をつければ、あとはそれほどでもないでしょう。頭を振り回したときは角のせいで予想以上にリーチがありますが」


そう言ってテラガルドも付け加える。


「色々と実験したかったから、とどめは魔法は使ったんだけど、投槍で十分に倒せたから、よっぽどのヘボ剣じゃなければ、切るはともかく刺せると思うぜ。落ち着きゃ、二、三人で囲んで滅多刺しで討伐可能だ」


朝美はスパツェロを視界の端に捉えると、ニヤッと笑いながら解説を締めくくったのだった。

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