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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第二部 第二次プルミエ侵攻
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ビーゼスにて三者の合流

 ビーゼスに戻ると、休む間もなく、黒騎士は王子達と今後について話あう。


プルミエ国の侵攻に対する準備とその後の動きについてだ。


まず、シーハーフへの軽装歩兵の派遣は第一王子のキミュケールが適任である。


バラン王国への留学経験があり、もっともかの国に詳しく、臨機応変な対応が可能であるからだ。


しかし、侵攻が終わってから、しばらくの間まで対応を迫られるため、完全にかかりっきりになってしまう。


それを避けたかったため、最初は第一王子キミュケールと第二王子タクソケールが二人であたり、しばらくした後に、キミュケールだけ帰国することにした。


タクソケールは知謀策謀などの頭脳労働が苦手で、臨機応変な対応が難しい。


また、ビーゼス国から戻ってまだ一年半であり、経験も浅い。


初動から単独で他国での任務をこなすには厳しいだろうが、引き継ぎ期間を設ければ何とかなるだろう。


これが良い経験にもなるはずだ。


黒騎士は、ビーゼスの留守を預かるとともに、プルミエ国を行き来することになった。


第一王子のキミュケールが戻り次第、キミュケールにはウィッセン国王インゼルやヴィータ国王バイゲンとの連絡をしてもらうことになる。


手駒の不足感は否めず、ビーゼスに三人の誰もいない期間が生じたり、インゼル王、バイゲン王が勝手な動きを見せた際の対応ができないというのが最大の懸念である。


しかし、国王相手に動ける身分のものは限られており、ましてや調略、諜報活動を己の権限で臨機応変にできるものもいない。


この三人で動くしかないのである。


第二王子のタクソケールは


「親父にある程度計画を話して、動いてもらうってのはどうかな?」


と提案があったが、キミュケールは腕組みして思案し、


「いや。親父も馬鹿じゃない。どこかで俺たちを排除する動きに出る可能性は否定できない。むしろ、これを機に幽閉するのもてかもしれない」


と反対意見を述べる。


「私は正直、楽観視している。おそらく、エデュケール王は動くまい。一番嫌なのは、ヴィータ王バイゲンに助けを求められ、亡命されること。次がウィッセンだ。しかし、今エデュケール王は従前のまま生活をされている。政治的な発言や外交も今まで通りにさせている。現状で剥奪されたものは何一つない以上、命の危険までは感じていないはずだ。であれば、状況が一変するまでは性急に動くことはないと思う。賢い王だけに、プライドもあるだろうから、他の王に助けを求めるとなると、よほどの状況でない限りはないだろう」


黒騎士の発言を受けて、二人の王子もリスクテイクとして、放置することを決めたのだった。


会戦は九月上旬、一ヶ月を切っている。


ウィッセンは重装歩兵の派兵、ヴィータは弓兵の派兵の準備を各自進める。


ビーゼスは二人の王子の軽装騎兵がシーハーフに到着したことを受け、物資をビーゼスへと預け入れることになる。


預かった物資は侵攻開始後に、一番最後にプルミエの輜重隊に引き渡されることになっていた。


主戦国であるプルミエにおいても、内部不和は多少ありつつも、近衛兵団や新規に森はいるものに対して、現状わかっている情報の共有を図り、合同訓練を続けるのだった。


アインハイツ将軍は森での野営の仕方、罠への対処、部隊編成など、実経験を交えて丁寧に伝えていく。


従来の五人編成よりも、大規模編成の方が、森では対処がしやすいことを説明し、近隣の森で訓練を繰り返す。


信頼を確固たるものに変えていくのだった。


ただ、アールッシュだけは、時間が経つにつれ、疑念を強めていくのだった。

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