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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第一部 第一次プルミエ侵攻
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のぞみの懸念

 四回の目の侵攻も、凌ぎきることができたものの、さすがに罠による迎撃はほとんど死傷者が出ず、数十人といったところであった。


罠にかかって、生き延びたものも、こちらが情報を得ることは難しく、味方によって救出されてしまうことがほとんどとなってしまったのである。


ただ、これはのぞみ達の推測だが、おそらくは罠についても種類をあまり変えず、わざとバリエーションを限定し、全てを学習させないようにしているのではないかと思われたのと、迎撃についても、最小限で行なっていると考えられた。


先にホルツホックのみで千人くらいの侵攻を撃退したことがあるということからも、戦闘力のポテンシャルはこんなものではないであろう。


五人一組で百組、合計五百人であれば、殲滅も可能だったに違いない。


つまりは、五回目の本侵攻を誘い出すための手抜きに他ならない。


実際にプルミエ国に五千の戦力が温存されているのかどうかの審議については話し合ったのだが、ある程度真実味があるという話に落ち着いた。


一度目から今回の四度目までは被害者の数で二、三百人はいるであろう。


動員した人数が最大で五百人ということを考え、本当に犠牲を覚悟の上であれば、後ろで五千人くらいいないと計算は合わない。


もちろん、国内の防衛なども考え、全兵力を投入するとは思えず、余力は残しているはずである。


全戦力が五千なのか、実際に投入できるのが五千なのかは不明だが、実際に五千の戦力を投下できるのであれば、平野に到達できるのが四千だとしても、拮抗した状態となる。


こちらも総力戦を余儀なくされ、罠を施し、策を弄してようやく勝機が見えてくるといったこともありえるのだ。


楽観視するわけではないが、おそらくは前者が濃厚と踏んでいる。


ただ、王は即位したばかりの若輩との噂で、威光を示さんがためとのことであるが、にしては、比較的利口な戦術をとってきたというのが正直な評価となっている。


一回目の侵攻は適当であったが、二回目は横に広く、三回目は縦に広く使ってきた。四回目は縦に広く使い、平野部までを目標にしつつ、敵の迎撃も引き出してきた。


順番に学習し、着実に成果を出しているとも言える。


被害はあったものの、この流れから考えると、必要経費とも言えるであろう。


そうなってくると、五回目はそれなりにまとまった数の兵を平野に集結させ、今度はフラハーの戦力について回収して行くに違いない。


段階的に裸にされている感が少しするのが不安材料ではある。


オージュス連合が本当に一丸となった場合はむしろ敗戦色が濃厚となる。


歴戦の老将のような、戦闘経験が豊富な将軍はプルミエにいないということだったが、どうしてもそれが気になるということで、極秘にのぞみとアス老人は皆を交えて自身の感想を述べるのであった。

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