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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第一部 第一次プルミエ侵攻
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戦争が始まるまで

 結論から言うと、初回から数回の小規模での侵攻においては、基本的には待機要員であり、何もしないということになった。


ただ、強敵が現れた時やイレギュラーな事態が発生した場合は遊撃隊としてでることになるだろう。


正直、この国の戦い方を見たこともないので、連携をとることが難しい。


そのため、最初は見学というのは最適解かもしれない。


年端もいかぬ少女が三人メインで編成されており、エムエールから派遣されてきていることから、魔法使いであることは聞かれずともわかっているだろう。


戦力として期待できるということは疑われてはいないし、実際に哨戒業務と情報収集という実績からも認められている。


切り札として温存されていると考えるのが妥当だろう。





「敵国の情報がもっと欲しいよね」


琴葉が呟くと、朝美が反応する。


「こっそり、潜入して調べてこようか? あるいは、すでに間者として送りこんでたりしねぇのか?」


そんなやりとりに、のぞみも一緒に考える。


「んー。そんな話は聞かないよね。カンナグァ連邦は基本的には黄色人種が多いのは確かだけど、他の人種も受け入れている関係で様々だよね。オージュス連合はほぼ白色人種でしょ。目の色も違うし。間者として紛れ込ませるのは難しいよね。バラン王国も褐色だし、この二国は国民の人種が限定的だから、見た目で厳しいよね」


「そっかぁ。じゃあ、スパイ活動は無理かぁ。わたし、潜入しようと思ったのに」


琴葉は残念、とばかりに肩を落とすが、


「琴葉は、三秒でボロが出るから諜報活動は無理だろ・・・・・・」


と朝美のツッコミがいつものように入るのだった。


「は、ははは・・・・・・。まぁ、でも確かに敵国の情報が欲しいのは確かだよね。プルミエ国だけじゃなく」


のぞみは当たり障り無く躱しつつ、情報がなんとか手に入らないかなぁと本心でも思っていたのだった。





 翌日以降、集落の人たちは、広範囲にわたって、地上に罠を張り始め、武具の準備に取りかかっていた。


女性や子供、老人に至るまで、その準備に駆り出されていたが、日常的な森の防御や哨戒業務が多いのだろう。


手慣れたものであり、若干の気の高ぶりや緊張は見られたが、概ね問題のないものであった。


琴葉達は、族長の許可を得て、平野部に近い方の国土の散策を許されていたため、五人でまとまって巡回をしていた。


国境付近の方については数度の哨戒業務を経て、おおよそはわかっていたのもあるが、琴葉達が罠にかかっては元も子もないということで、出入りは控えるようにしていた。


運動神経の良い朝美であっても、木上に待避するにはあまりにも木が高く、琴葉隊は地上以外での活動はできないということもあって、索敵は避けたかった。


ちょうど良かったのは確かであるが、ホルツホック国の族長達に、体よく情報秘匿にされたということであろう。


 五月の雨期の前に一度仕掛けてくるか、あるいは雨期後に仕掛けてくるのか、どちらかが時期であろうという見方が強かったが、前者のタイミングであれば、一月もない。


日頃から大方の準備はされていると言っても、今回は集落から離れてところまで広範囲に罠を仕掛けることになっている。


罠が仕掛けられている場所と量、種類から、集落のおおよその位置を特定されることを避けることと、罠のない位置から侵入されてしまい迎撃が不十分になってしまうのは避けたい。


無論、相手の状況に応じて、初回から総力的な迎撃というのも想定はしているが、初手から相手側が総力を投じてくるのは考えにくいので、そこは大丈夫だろう。


出入りが許された、おおよその範囲での探索を半月ほどで終え、集落付近で時間を潰す日々を送るのであった。

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