次回侵攻時の指揮
三人はマータの来訪で駄々下がりのモチベーションを維持すべく、軽い偵察もかねて、平野を一周し、テントに一番近い森を少し散策する。
テントに戻ると、伝令が来て、深夜に会議をするとのことだった。
夕方、食事を済ませて、会議に向けて待機するも、一向に連絡が来ない。
テントが端だから、確認に行くのも面倒で、ダラダラと過ごし、さすがにもうないだろうと諦めていた深夜十一時に声がかかり、中央付近の天幕に移動する。
「なんで、こんな遅い時間なんだろうなぁ」
朝美が不満と言うよりは疑問を口にしながら入り口を潜ると、砦にいたはずの主立った指揮官もいることに気付く。
「あれ、もうあちらは良いんですか?」
のぞみが尋ねると、アス老人がため息とともに答える。
「いや、良くないが、夕方抜けてきたわい。何人かは向こうにおるがのぅ。わしらも、一時間ほど会議したら、明日の朝には向こうに着くように戻るつもりじゃ」
つまり、マータに気付かれずに、夕方出発をし、今に至ると。
そして、また気付かれないように砦に戻るということのようだ。
そうしてまで会議が必要ということだろう。
なるべく時間が短くすむように、アス老人を中心に会議を進める。
「まず、予想通り、マータ先生に振り回されておる。アッサーラ君、テイザン君もわかっており、被害者じゃが、テイザン君は何とかできるキャラじゃない。したがって、アッサーラ君と協調して上手くやることにした」
「ちなみに、後でアッサーラにチクられたりとか、実は筒抜けとかは平気なのか?」
朝美は懐疑的な眼差しを向ける。
「ゼロではないじゃろう。じゃが、正直、わしらだけでは手に負えん。アッサーラ君の力無くしては制御不能じゃ。ある程度のリスクはしかたなかろう」
皆は渋々頷く。
「で、結論から言うと、マータ先生は侵攻はもうないだろうという報告をしようとしているようじゃ」
「そんな。判断としては否定できないですけど、まだ到着してから何も話をしてないし、状況検分もしてないじゃないですか?」
のぞみは驚いて立ち上がる。
「侵攻がある前提だと、色々と面倒臭いみたいでの。事なかれ主義というか、とにかく学園生活に戻りたいみたいじゃ。そうなると、琴葉隊も解体、帰参となろう。それ自体は仕方ないことなんじゃが、もし次の侵攻があった際に、マータ先生が後見となって新たな隊が編成される可能性が高いようでの・・・・・・」
「あのオバサンが指揮取ったら、全滅じゃん!」
琴葉まで立ち上がる。




