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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第四部-フラハー陥落
197/205

マータ、半日で反感を買う

 初日にここまで嫌われる人物も珍しいのだが、ファーストコンタクトで琴葉、朝美がマータのセンシティブなところをついてしまったのが大きい。


ただ、無論それだけではない。


その後も、部屋の位置が悪いとか、物が足りないとか、虫が出たとか、数十分に一度侍従などが振り回されることになったのである。


午後にはフラハー王や一部の側近が砦内の案内だけでなく、市場での買い物に付き合わされる。


あげく、全てフラハー国に代金を負わせようとしたのだが、やんわりと拒絶されたことに憤慨。


結局、本国負担でのツケとなったのだが、住民の前で大声でわめき散らすことになったのだ。


「なんなの、この国は! 私を誰だと思ってるのかしら! そもそも、来賓をもてなす気持ちが感じられないのよ」


そう思わない?と近くにいるアッサーラに同意を求め、結局、アス老人が駆けつけることになった。


一事が万事、全てがそんな状態で夕方を迎え、食事も案の定ケチを付けられ、会議も本題から逸れたダメ出し大会・・・・・・


半日で全員の反感を買うことになった。





 翌日に、本来の予定であった野営地へと出向くチームと、砦に残るチームを分ける。


マータは砦に残るため、フラハー王とシークンド、アンダール、ポシュエが残り、アス老人とテラガルドもまた残る組に入る。


アッサーラとテイザンも残るので、このメンバーでマータのご機嫌取りと状況説明をすることになった。


残りは野営地に戻り、訓練とした。


さすがにまだ侵攻に備えるという必要はないのだが、最終的な結論、今後の方針が出るまでは、野営地の撤去はできないだろうということになったのだ。





「では、アスさん、フラハーの皆さん、よろしくお願い致します」


のぞみは申し訳なさそうに頭を下げ、平野へと続く森へと足を向ける。


朝美と琴葉もそれに続くが、琴葉に至ってはスキップを踏んでいる。

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