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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第三部 ヴィータの滅亡と新たなる戦乱の兆し
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黒騎士の地盤形成

 黒騎士は、移民対応をしないこともあり、比較的自由な半年となる。


この時期に自身の地盤を固めるとともに、策謀の中心を担っていく。


特に、あまり気にしなくても良くなったプルミエ国には我が国のように自由に出入りすることになる。


これは、黒騎士の鎧が軽減され、馬の移動がスムーズになったことも大きい。


むしろ、プルミエ国の方が滞在期間は多かったかも知れない。





 ビーゼス国にはヴィータ国から移住してもらった豪商ハンデラールを中心として、私設の兵団を囲ってもらう。


実質的には黒騎士の私兵である。


当初は黒騎士隊としていたのだが、一国の宰相が私兵を多く抱えることでいらぬ疑いを持たれることにもなるため、表向きは豪商ハンデラールの私兵ということにしてもらった。


移民のドサクサに紛れ、広大な領地を確保し、居住区含めて整備する。


兵だけでなく、家族含めてなので、規模的にはほぼほぼ独立した街のような規模である。


軽装騎兵と弓騎兵を中心に抱えてもらい、ヴィータ国のコーカルド指揮官に弓騎兵を統率してもらうことにした。


元は弓矢隊であったが、馬にもある程度は乗れたため、弓騎兵としての訓練を積んでもらったのだ。


エイザム士官学校で一通りの訓練を受けていたこともあり、瞬く間に習得していく。


乗馬適性のあるものやコーカルド指名の兵は優先的に組み入れたが、基本的にはビーゼス国の兵の中から部隊を形成した。


軽装騎兵については形上は指揮官を任命したが、適任者不在であり、暫定となる。





 プルミエ国にもヴィータ国から移住してもらった豪商メルカントを中心として、私設の兵団を囲ってもらうことにした。


仕組みはビーゼス国のそれと同じである。


ヴィータ国の弓兵指揮官であるロセットにヴィータ国の弓兵をまとめてもらい、新兵ではあるがプルミエ国の軽装歩兵を指揮官に抱えてもらうことになる。


その指揮官には、プルミエ国の軍事訓練視察と銘打って、黒騎士自身が吟味したエーザスを指名。


本人の承諾を経て就任してもらった。


部下となる兵についてはエーザス自身に指名させたり、徴兵をさせる。


エーザスには、隊列を意識したものでなく、森での野営訓練をさせ、ゲリラ戦を中心に磨かせた。


ヴィータ国から移住させた技術者もこの居住区に住まわせ、弓矢の開発、改良を行なわせる。


ビーゼスよりもプルミエ国の方が森が多く、素材に苦労しなかったのが大きな理由である。


なお、ビーゼスにも技術者は移住しており、そちらでも別個で弓矢の開発、改良は研究されることになっているが、騎兵用のものが対象なので、やや異なる技術体系になっていくだろう。


実質的に黒騎士は他国のプルミエ国に領土を持ち、私兵を抱えることに成功したのだった。


表向きの用があるときには王宮の客室を利用するが、メルカントの館にも黒騎士用の部屋があるため、自由に行き来する。





 ヴィータ国にある豪商クーペットは、ヴィータ国ではクーペット商会と呼ばれる大きな組合を取り仕切るほどの豪商であり、有数の商人である。


さすがに、ウィッセン国の支配下になったため黒騎士の私兵を抱えたりすることはできないが、ビーゼス国のハンデラール、プルミエ国のメルカントとの三角貿易は莫大な富を生む。


ウィッセン国に資産を接収されることを恐れ、多くは黒騎士に流すことになるのだが、監視官を刺激しない程度に合法に接待し、コネクションと情報を得ることに成功する。


実質的にヴィータ国の内情は全て黒騎士に筒抜けとなる。


さらには、ウィッセン国本国の情報までもが自然と手に入るようになり、シーハーフ国以外のオージュス連合国の情報が黒騎士の元に集まることになる。


これは、カンナグァ連邦の出身であるクロノだからこその観点であろう。


情報の重要性を理解している。


逆に、情報の秘匿という意識が低いオージュス連合においては、そこは盲点となっている。

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