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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第三部 ヴィータの滅亡と新たなる戦乱の兆し
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王城の占拠

 指揮官には前方を七百、後方を三百の兵が向くように指示をし、城下町の入り口を封鎖させる。


城下町前の開けた地には夜明け前にもかかわらず、千を超える軽装歩兵と弓兵がこちらを向いている。


兵数ではやや向こうの方が多いかも知れないが、軽装騎兵という兵科の有利は相手もわかっているだろうし、何よりも夜襲、奇襲である。


相手も何が何だかわからないといった状況で、動くに動けないというところが本音であろう。


正面から来ると思ったら、側面から割り込み、いつの間にか後ろを取られていたわけである。


訓練でもこのシチュエーションは想定していなかっただろう。


相手の兵の表情も様々である。





 城下町の兵舎、非番の兵、王城にはまだ数千の兵がいるだろうが、動くに動けないはずだ。


王城の前に集結している可能性が一番懸念されるが、そこはキミュケールが対応してくれることになっている。


黒騎士はそのまま待機を命じると、単騎で王城の入り口に向かう。


王城を見上げると、まさに塔のような高さで、段階的に城壁が組まれており、多数の弓兵が配置できるような構造だ。


あまりに切り立っているため、落石、投石の効果も高く、外壁を上ることも困難であろう。


入り口も少なく、弓兵が多数配置されると難攻不落となろう。


(まぁ、その分、内側からは脆いという欠点があるがな)


灯台を改造したのかもと思っていたのだが、あながち間違いではなさそうだ。


王城の前に到着すると、キミュケールの弓騎兵がいまは重装歩兵の姿で二百人整列しており、王城の入り口を封鎖している。


入り口付近には取り囲むように武装した兵が多数いるが、全く手が出せていない。


王城を見上げると、バイゲン国王が捕縛され、剣を突きつけられた状態で窓から姿を見せているため、誰も手出しができないのだ。


しばらくすると、王城の門が開き、キミュケールが出てくる。


黒騎士を見ると、近寄って握手を交わす。


「やあ、黒騎士宰相。お早いお着きで。だいぶ来やすかったんじゃない?」


「あまりに来やすかったんで、罠かと思いましたよ」


王城の入り口を見ると、キミュケールの部隊に促されるように、次々とヴィータ国の兵士達が武器や鎧を纏わずに王城から出て来る。


王城の中にいた兵が全て閉め出されてきたのだろう。


全ての兵が閉め出されたのか、ビーゼス国の兵もまた出てくる。


「王城内の全ての兵の武装解除ならびに、城外への誘導が完了いたしました。バイゼル王は引き続き捕縛し、窓から見える位置に配置しております」


キミュケールは以下の兵が敬礼をしながら報告をする。


「よし、では、王城内には二百名の兵を残し、それ以外の兵は王城前に集結せよ。兵を再配置する」


「はっ。承知しました」


キミュケールは集結した兵に再度配置を指示していく。


王城には、メインとなる出入り口の二箇所、王の監禁場所、王の間の四箇所に兵を分配し、原則として内側から施錠をして封鎖する。


王城の東西南北に百名ずつ配置し、正面には重装歩兵が二百名そのまま加わる。


残り二百名は城下町の入り口に移動し、ウィッセン国の騎士に合流、先導することになる。


キミュケールもまた城下町入り口に移動し、外で対峙しているヴィータ国の兵に向けて演説を開始する。

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