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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第三部 ヴィータの滅亡と新たなる戦乱の兆し
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夜間の北上

 夕方となり、野営地でキャンプの準備をする。


再び農家に挨拶回りを実施し、本日は急遽野営し、明日の朝、プルミエ国に戻る旨を伝える。


予定外の野営に心配する農家もいたが、警戒するものは誰もいない。


まさか、夜のうちにヴィータ国を目指し、朝駆けで侵攻しようなどとは思うまい。


集団食中毒が出たためと適当に嘘をついて、誤魔化したが疑うものは誰もいなかった。


こちらから伝令をヴィータ国に送るので、あまり刺激をしたくないので変に緊急用の連絡をしないで欲しいと伝えると、皆が納得してくれた。


この時点で、緊急用の狼煙でも上げられたら、さすがに警戒されてしまう。


野営地には数十名を残し、かがり火の管理や、一時的に脱ぎ捨てた重装備を保管してもらい、さも全軍がいるかのようにキャンプを運営してもらう。


アドランデ将軍にはすでに書簡で全容を指示しているため、こちらは前のみを向けば良い。


数名に海岸付近まで様子を見に行かせ、経路を確認する。


湿地帯を避けるため、海岸沿いを北上することになる。


完全な闇夜であったとしても、海岸沿いを北上することになるので、迷う心配はほぼ無いと言って良いだろう。


ここからが本番である。


黒騎士は指揮官を集め、日没とともに、騎馬での北上を指示する。





 前半の行程は速歩で進み、そのあとは常歩で進む予定だ。


時折月の高さを見て時間を計る。


今日は蒼い月が出ているが、雲が多く、闇夜を駆けるにはちょうど良い。


だいぶ涼しくなり、過ごしやすいため、こういった状況でなければ、夜の海岸の散歩などはさぞ気持ち良いだろう。


エムエール国にも海があるが、かなり大型の魔獣が出没するため、船での航海は原則としてしない。


全くしないわけではないが、渡航率があまりに低く、よほどのことがない限りはしないのだが、海岸に沿って移動することは行なわれ、ニーベンストランドは港町として機能している。


(大陸の東と西で海も違うものだな。海といってもここらへんは運河みたいなものか。昼に来るとまた風景も違うのだろうが・・・・・・)


左手に見える夜の海を見ながら、祖国を想う。


夜の零時くらいだろうか、時間としては半分近くを経過したわけだが、前半は速歩のため、距離の上ではおよそ三分の二くらいの行程を進めたと推測する。


比較的順調な行軍もあり、十五分の休憩を取る。


一度、ヴィータ国を訪れたことのある兵を二十名選抜し、徒歩で湿地方面、海岸線と二手に分けて斥候として出す。


「そろそろ湿地帯から抜け始めると、敵の哨戒範囲内になる。気付かれないように慎重にな。だが、万が一接敵した場合は迷わずに討ち取れ。」


そう指示を出し、黒騎士は全体の様子を伺う。


さすがに夜通し歩き、訓練地に着いたかと思ったら、再び夜を徹して行軍しているのだ。


疲れないわけがない。


しかも、重装歩兵としての訓練も、軽装歩兵としての訓練もまともに受けていないのだ。


足が棒のようになっているらしく、皆座り込んだり、中には屈伸運動をしているものもいる。

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