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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第三部 ヴィータの滅亡と新たなる戦乱の兆し
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日中の訓練

 平均行軍速度を時速四キロくらいに保てたのだろうか・・・・・・


何とか午前中に目的地に到着すると、なるべく国境ギリギリの海岸に近いところで野営を実施する。


一つわかったことがあり、重装騎兵は、重装歩兵の訓練をあまり受けていないという印象を受けた。


重装備で歩くことに馴れていないことから、兵に聞いたところ、重装歩兵の訓練を受けてないとのことだった。


これはビーゼス国でも同じであり、騎兵という括りでは同じなのだが、軽装騎兵と弓騎兵で互換性がない。


今までの森の訓練は森というものに不慣れであるためと見過ごしており、前回の北への訓練も疲労などからくるものと勝手に想像していたが、どうやら間違いだったらしい。


これは部隊としての大きな欠陥であり、黒騎士にとっては重要な情報となった。


(やはり、ウィッセン国はプライドが高く、それによって臨機応変な対応、合理性がないな。それが命取りになろう)





 黒騎士は前回同様に農家に挨拶回りを実施する。


やはり伝令が遅れているようで、まだ訓練実施の通達は来てないようであるが、二度目ともなると不安もないのであろう。


特に警戒されている様子もない。


おそらく、昼過ぎには訓練実施の通達が来るだろう。


二度目の挨拶になるので、される側も慣れたものである。


初めての挨拶になる農家もあったのであるが、農家の横のネットワークは凄いもので、初回の挨拶をされた農家からの話が全てが伝わっている。


非常に楽な挨拶だった。


一通り挨拶を済ませると、訓練地へと戻っていく。





 日没までは時間があり、交代で休むには十分であったため、三グループ、三交代で休憩とした。


さすがに、人数を半分にするというのも不自然だったので、完全休憩と、見学という名の半休憩、訓練のフリと三つにわけたのだった。


夜通しの行軍で疲れてはいるだろうが、むしろ、ここからが本番である。


日没からどれくらいヴィータ国の城下町に迫れるか、それが最大のポイントである。


ウィッセン国との約定では、「ヴィータ国の提供」であり、制圧に関する労力は基本的にビーゼス国が負担することになっている。


そのため、ウィッセン国の兵士を喪失させるわけにはいかない。


ある程度は必要経費として事後承認してくれるだろうが、あくまでもビーゼス国が制圧である。


とはいえ、キミュケールが率いていった「弓騎兵」は千騎であるため、王城の占拠はできても、軍の制圧までは至らない可能性がある。


ヴィータ国王バイゼルの身柄を押さえるのが目的となるが、その後に王が人質としての意味をなさず、軍が独自で対抗してきた際にはキミュケールの部隊だけでは対応ができないからだ。


そのため、キミュケールの部隊だけではないということを知らしめなければならない。


それが、黒騎士が先導するウィッセン国の重装騎兵であり、後続のアドランデ将軍率いる重装歩兵なのだ。


行軍が間に合わないことは確定であり、湿地を抜けた城下町前までの平野には対馬用の対策が練られていることがキミュケールからの書簡で判明している。


また、塹壕や土塁、土壁などのほか、櫓などもあるため、正面から対峙した際のダメージは大きい。


以下にして、城下町側に取り付くかがポイントとなる。


櫓以外のものは正面からの侵攻に対するものであって、裏に回られると完全に無効である。


ゆえに、回り込むこと、近づくことが大事なのだ。


キミュケールの王城制圧を受け、堂々と入城するようにし、王城と弓兵の間に入りさえすれば、外の弓兵は完全に掌握できる。


王城からの弓矢隊の攻撃があったときのみ殲滅の憂き目に遭うが、そこはキミュケールに賭けるしかあるまい。


一日外の弓兵を釘付けにできれば、後から来たアドランデ将軍の重装歩兵が堂々と王城に入り、王城の弓矢隊も制圧できる。


全て駆け引きによるものなので、実際の戦闘は起こらないと踏んでいた。

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