為政者としての覚悟
フォウ王女に腕を貸しながら、黒騎士は国とは何かということについて、すでにこの年で考えていることに驚きを覚えた。
「黒騎士宰相、わたしの考え方は間違っておりますでしょうか?」
黒騎士は時間をおかずに答える。
「正解は私にもわかりません。が、正しいと思います。人によって成り立ち、領土によって成り立つ。ただ、国は変わるものです。為政者たるもの、国を良く変えていって欲しいなとは思います」
「変わるものですか・・・・・・ 変えるのは難しいですね」
「私はフォウ王女ならばできると思いますよ。難しいとは思いません」
「そうでしょうか・・・・・・」
王位継承順位がどうなのかはわからないが、おそらくはフォウ王女が女王となるであろう。
未成年者ゆえに後見者が付く可能性があるが、名目上のトップは間違いなかろう。
いずれ、誰かを娶り、そのものが王となった際はどちらが上に立つのかはわからないが、シーハーフ国も女王である以上、女性だからという理由で王位にならないということはなかろう。
それは聡明なフォウ王女のことだ。
わかっているに違いない。
「フォウ王女。今の貴方に足りないものは覚悟と勇気です。自分に自信を持って正しいと思うことをなさいませ。例えそれが理想論であったとしても、それを貫くことに意義があります。足りない部分は周りが補ってくれます。貴方にはそれだけの人を惹き付ける魅力がありますよ」
腕に寄りかかる王女に優しく諭す。
兜に覆われ、表情まではわからないだろうが、微笑みが伝わったのだろう。
フォウ王女は一瞬腕に絡みつき、笑顔になったかと思うと、スッと離れ、立ち上がって微笑む。
「黒騎士宰相に言われたら、少し自信を持っても大丈夫そうですね」
これで何度目の光景だろう。
今は日が頭上にあり、夕方ではないが、ひまわりとブロンドの髪をなびかせる青い目をした少女が美しく映える。
ひまわりの庭園から王宮に戻りながら、フォウ王女は心情を吐露する。
「今まで散々兄のことを軽蔑してきましたが、いざ自分がその立場になったときにどうなってしまうのか、不安でした。ひょっとしたら、兄もそういった不安や不信などがあったかと思うと、急に自分が矮小に見えてきてしまって・・・・・・」
「貴方は違いますよ。自信を持って下さい。貴方を支え、協力してくれる仲間が多数おります。私もそのうちの一人です」
あたりに人がいないことを確認すると、そっと頭を撫でてやり、軽く抱きしめてあげる。
手を振って去って行くフォウ王女を見て黒騎士もまた手を振り返す。
(妹がいたら、こんな感じなのかな・・・・・・ 現実はカワイイ妹とは限らんが)
自室に戻り、夕方の北への出発に向けて準備をするのだった。




