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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第三部 ヴィータの滅亡と新たなる戦乱の兆し
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黒騎士、誕生

 王城に着くとすぐに黒い鎧兜を身につけ、「黒騎士」を名乗ることになる。


ビーゼス国の黒騎士、誕生である。


王宮に一室を与えられ、侍従を用意してもらい、身の回りのものが揃えられていく。


アッサーラ隊を囲んだ兵の手前、王宮について、拷問を受けた挙げ句、銀の髪の青年は死んだことになっていた。


全く時を同じくして黒騎士が誕生したこともあり、怪しむものが出たが、「なりすまし」ということを暗に仄めかすことで、少なくとも死亡だけは確定しものとして浸透させていく。


幸いにして、武器や旅道具などはそのまま持参しているので、鎧のみ考える。


鎧の色は、カンナグァ連邦の支給品装備がシルバーなので、それは避け、白もまた王宮で使われることが多いのとキザったらしいから避けた。


金色とまではいかないが、黄色みがかった色はオージュス連合がよく用いるため却下。


結果、カンナグァ連邦の人間にもかかわらず、オージュス連合に与する皮肉も込めて黒にしたのだ。


なるべく通気性と重量には工夫を凝らし、通常のフルアーマーが四十キログラムなのに対し、半分の二十キロまで軽減に成功する。


元より、隠すための鎧であって、防御面は要求していないため、簡単だったそうだ。


兜は顔の前面、首回りが隠れるもので、やや東方要素が組み込まれた意匠となっており、タクソケールの気遣いが感じられた。


要は肌の色と顔がわからなければ良いのだが、二十四時間つけるものだけに、愛着が湧く工夫は嬉しい。


紋章はあえてなしとした。


本当はクロノは「氷柱雪に寒椿」というのが紋章なのだが、わざわざ個人を特定しやすいマークをつけては、何のための鎧兜だかわからなくなってしまう。


侍従にも見られないように、国内で知るものはキミュケール第一王子とタクソケール第二王子だけが知る秘密。




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