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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第三部 ヴィータの滅亡と新たなる戦乱の兆し
159/205

ビーゼス国へ

 人目を避けるため、箱の中に身を隠し、神輿のようにして担がれてビーゼス国まで移動する。


道中、今後は鎧兜に身を隠し、身分を偽ることを話し合う。


肌の色の違いはどうしても、目立つ上、腰まで伸びたストレートの銀の髪はクロノを特定するには十分すぎる特徴だったからだ。


「クロノとしては、今後の希望はあるの?」


タクソケールが箱の中のクロノに話しかける。


「そうだな。まだ事情が掴み切れていないが、このままカンナグァ連邦に戻るのも危険だ。かといって、テイザンの安否も気にかかるし、逃げてばかりいるのも癪だからな。最終的にはマータとアシムを殺しにでも行こうかなとは思う」


「ま、そうなるよね」


「先ほどの戦争の話があるのならば、そのドサクサに紛れてカンナグァ連邦に潜り込み、エムエール国のニーベンストランドへ行くのが良いかもな」


クロノはマータとの、というよりアシムとの約束と行っていた三年以内の侵攻を引き合いに出して言う。


ここで、キミュケールが会話に加わる。


「それが良いと思うよ。実際に我々は約束を守って侵攻するつもりだ。クロノ君はカンナグァ連邦の側の人間だから邪魔をするかい?」


本来ならば、回答を間違ってしまうと自分の命が危ない場面だろう。


しかし、クロノは不思議と嘘をつく気が起きなかった。


「それなりに愛国心はあるからね。邪魔はするかも知れない。ただ、邪魔しなくても、たぶんカンナグァは落ちないよ。だから、少なくとも私が目的を達成するまでは邪魔はしないかも知れないな。確約はできないが」


「随分と正直だね。カンナグァは落ちないか・・・・・・」


キミュケールは満足そうに話しかける。


「まず、落ちないだろうな。ボクスネー峠を抜けることは不可能だろう。フェルゼン国も厳しい。有史以来この二箇所が落ちたことはないというのは伊達じゃない。だから、先の約束とやらも、「侵攻する」であって、「制圧する」とか「攻め滅ぼす」という表現でなかったのはそういうことでしょう?」


「ふふふふふ。やはり、君を生かしておいて正解だったよ」


キミュケールは満足そうに笑う。


「アシム校長の狙いはわからない。でも、オージュス連合国にわざと攻めさせて、ボクスネー峠で殲滅、撃退するというのが狙いのようだ。ただ、おそらくだが、それ以上の何かがあると踏んでいる」


「だろうな。で、キミュケール第一王子としては、引き受けたからにはそれを利用した狙いがあるわけだ。本当にカンナグァをそのまま制圧してしまうか、あるいは、混乱に乗じてオージュス連合を束ねるか。もう少し小さいスケールなら暗殺とか何らかの利権狙いあたりかい?」


クロノも遠慮なく切り込む。


「本当に頭が良いですね。それに正直だ。信用に足る人物と弟が言っていたが、正しかったようだ」


キミュケールは心の底から嬉しそうだ。


「クロノは嘘はつくし、適当だけど、本当の能力は高いんだ。発揮しないだけで。それに、信頼した仲間は決して裏切らないよ」


タクソケールのフォローにいくらか反論したいが黙っているクロノである。


「王城についてら、是非色々と話をしたい。もちろん、選択権は与えるし、命の保証もするよ」


「わかった。では、しばらくは箱の中で休ませてもらうよ」





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