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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第三部 ヴィータの滅亡と新たなる戦乱の兆し
155/205

全ての事の発端

 時は大きく遡る。


統一歴九九七年十一月、エムエール国の機密任務として、要人警護と護送が実施されることとなった。


士官学校アシムの推薦で、エイザム士官学校卒業生であり、何度も任務をこなしているアッサーラとエイザム士官学校教員のマータが推薦される。


二名の推薦の元、さらに卒業生のクロノ、タクソケール、テイザンが選ばれ、五名で部隊が編成されることとなった。





 アッサーラは魔法が使えず、士官科を卒業しており、実質的な隊のリーダーとなる。


マータもまた魔法が使えないが、何度も任務をこなし、現役の教員であるため、知識、経験ともに十分で、後見の意味合いが強い。


クロノは魔法科を強制転科となり、衛生科となった異色の経歴の持ち主で、学園始まって以来の例外と言われるも、理由等はよくわかっていない。水の「操」の魔法が使える医療要員である。


タクソケールは兵卒科を卒業しており、魔法は使えないが、パワーを主体とした戦闘が得意である。


実際にはビーゼス国第二王子であるのだが、クロノ以外には打ち明けていない。


当然だが、学校関係者の中でも知るものは限られており、校長のアシム他数名が知るだけである。


テイザンも兵卒科を卒業している。


レアな風の魔法使いだが、ほぼ生かし切れていない。


やや低身長ながら、パワーあふれる手斧での攻撃を得意としており、戦闘力は高い。


マータ以外は皆同級生であり、在学中から仲は良い。


これ以前の任務でも同様の部隊が編成されることも多く、任務も似たようなものをこなした経験もある。





 警護対象の要人は二名。


ビーゼス国の人間らしく、エイザム士官学校に入学する関連で訪れたらしいのだが、帰国するとのことでの任務となった。


エイザム士官学校は他国からの入学も受け入れており、その関係でこういった案件がちょこちょこある。


書類含めた手続きが煩雑なせいで、だいたいが入学卒業から大幅にずれる。


十一月であるため、入学に関することか卒業に関することかは知るよしもないが、いずれにせよ一ヶ月近くかけての護送任務となるだろう。


ホルツホックの森を抜けるまでは、狭い箱の中に入ってもらい、要所要所で開けることになる。


情報の秘匿が第一であるカンナグァ連邦が課した条件の一つであるため、仮に王家に連なるものであっても、要人であっても変わらない。


幸いにして、箱を運搬するものが経路ごとに付いてくれることになっているので、アッサーラ隊は警護にのみ専念することになる。





 エムエール国のニーベンストランドから南下し、右手に穀倉地帯を臨みながら、大きな河川をわたる。


そのまま海岸沿いに馬車を走らせ、ボクスネー峠で検閲を受け、馬車を入れ替え、厳しい山道を通る。


西側に出ると、再度馬車を入れ替え、霧の湖畔を抜ける。


正面に向かうとヘス国なのだが、右に折れ、西の森の前で馬車はフラハー国のものと入れ替わる。


森を何とか抜けるとフラハー国の砦に到着し、ここでようやく一服することができる。


一応、箱から解放され、部屋に案内されるのだが、目隠しした状態でのトイレ以外はでることができず、軟禁状態で、空を見ることは適わない。


フラハーの馬車で西の森を抜け、平野に到達すると、ホルツホックの森へと踏み込む。


ここからは場合によりけりだが、目隠しを外される場合と、目隠しをしたままの場合がある。


今回の警護対象は兵士寄りというよりは政務官よりだったこともあり、目隠しは外された。


一週間かけて森を抜けるとプルミエ国である。


通常は、ここで警護対象を引き渡し終了となることが多い。


しかし、今回の警護はありきたりなものではなく、ここから事態が急変する。

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