カンナグァ連邦の教え
翌日、慰霊祭に参加する。
カンナグァ連邦では、原則として殲滅することに躊躇はない。
あまりにひどい拷問はしないが、情報を引き出した後もほぼ生かすことはしない。
残酷なようだが、秘密保持、情報秘匿のため、これは徹底している。
対してオージュス連合の方は、確実に殺すというのはそこまで徹底されていないようだ。
しかし、拷問や強姦など、苦痛を与えるなど、人の尊厳に触れることもまま行なわれる。
殺す際もひと思いに、できるだけ苦しまないようにするカンナグァ連邦と異なり、なぶることがままある。
死者に対する考え方も異なる。
カンナグァ連邦では、火葬した後、埋葬する。
あるいは、海に散骨する。
遺品や葬送のための品などは、選ばれる。
基準は簡単だ。
地に還るかどうかである。
生前がどうであれ、死んでしまえば、肉体はただの物体であり、後は地に還り、次世代の命の種となる。
魂は火により天へ。
肉体は土となり地へ。
木は火によって燃え、地に還る。
火は天より与えられ、様々な変化を与え、風となる。
風もまた天より与えられ、天に帰る。
土は石となり、岩となるが、地に還る
金は土より生じ、火によって形を変えるが、水と触れ、地に還る。
水は天に昇り、雨となって降り注ぎ、地に還る。
木が芽生え、多くの実を結び、命を育む。
水が湧き、湧いた水はいずれ川となり、海に流れ、命を育む。
やがて火(陽)によって形を変え、天に昇り、雨となり、台地に降り注ぐ。
風は水を運び、土を運び、木の種を運ぶ。
息吹として命の活力となる。
火も温かみを与え、命の活力となる。
カンナグァ連邦における、古くからある信仰、教えである。
全ては地に還る。
ゆえに、死者を送る際は、火葬に付した後、埋葬するのだ。
雑なように思えるが、穴を掘り、死体を入れ、燃やす。
その後に埋めることで土葬とする。
丁寧に形を整えることはしない。
どのような形であれ、最終的に地に還るのだ。




