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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第三部 ヴィータの滅亡と新たなる戦乱の兆し
141/205

会議の終了

「弓矢以外は武器、防具など特に前回のものと変わりはありません。我が国の方が上質でしょう。最終的な検分が終わり次第分配となります」


戦利品はフラハー王国とホルツホック国で協議の上分配となるが、現物を希望しない限り、一度国内で換金され、宝石か貨幣で分配されることが多い。


金属品、革製品など、さすがに敵国のものをそのまま利用はできないので、一度加工し直すのが通例となっている。


一部は戦力分析もかねてエムエール国に送られるが、それほど多くはない。





「双方の被害状況は今までに説明したとおりです。すでに五日が経ち、負傷者の生死が定まりつつあるのでこの数字はもう大きな変化はないでしょう。明日には回収品もそろい、双方の遺体の焼却、埋葬も終わります。慰霊祭が行なわれるので、参加できる方はお願いします。あ、スパツェロさんは明日から復帰になりますが、まだ本調子でないため、業務自体はもう少し後からの参加となります」


アンダールは以上といって、礼をし、拍手に手を上げて応える。


「あー、スパツェロか。忘れてたぜ」


朝美は今思い出したかのように呟く。





「本国からどういう意見がくるかわからないので、ボクらは指示が来るまでこちらでお世話になっても良いでしょうか?」


のぞみは現況を伝え、待機場所としてフラハー王国を選ぶ。


「もちろんです。大歓迎ですよ。我々としては、ドルディッヒ王をとったこと、プルミエだけでなくヴィータ国の兵も倒したことから報復による第三次侵攻、あるいは威信をかけたオージュス連合国の総力戦を意識しております。ないにこしたことはありませんが」


そういって、ニコッと笑うのだが、目が笑っていない。


フラハー王が戦場でしか見せない笑顔だ。


(ああ、戦争が起きて欲しい派なんだな・・・・・・)


皆がその表情を見て察するが、心に秘める。


いつもはさわやかな好青年なのだが、戦場では鬼神のようであり、狂戦士と化す。


穏やかで低姿勢な態度からは想像できないような好戦的な性格だということを皆が知っているため、苦笑いしかできない。


「ありがとうございます。では、もうしばらく滞在させていただきたく思います」


のぞみは代表して頭を下げる。


「一度、砦の防衛、ヘス国、フェルゼン国への駐屯を再開し、再編をしようかとは思っています。元の配置にするかは決めていませんが」


フラハー王は今回の侵攻のためにかき集めた兵を、侵攻前の状態に戻すことを検討しているようだ。


つまり、さすがに一ヶ月以内の再侵攻はないという見方だろう。

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