情報の重要性と今後
「で、結局これからどうなるんだ?」
朝美は琴葉のほっぺたを引っ張ったり、ツンツンしているが、起きる気配はない。
「しばらくは、待機じゃろうが、本国から使者がくるじゃろ。そこで判断になるじゃろうな」
アス老人は何かを思案するように目を閉じて腕も組む。
「さらに次があるかどうかの判断次第ということですな」
テラガルドも軽いため息とともに目をつぶって考える。
「三千人もの兵を殲滅したわけだから、相当な戦力ダウンだったはず。通常なら数年は侵攻はないと考えるところだけど、アドランデ将軍の千の重装歩兵、アインハイツ将軍の千の軽装歩兵、あとは訓練で見かけたという黒い騎士の重装騎兵が五百いるのはわかってるし、当然それ以外も兵力はいる可能性が高い。ドルディッヒ王を取ったこともどう影響するか、だね」
のぞみは総括する。
「王を殺された報復、あるいは連合国の威信をかけた再度の侵攻か。はたまたここで一旦幕引きかってことだな」
朝美は足が痺れたのか、琴葉に構わず、膝を崩す。
ゴツっという音とともに頭を床に打ち付けるが、まだ寝ている。
「ほんと、相手国に間者がいると違うんだけどなぁ・・・・・・」
朝美はさすがに気が引けたのか、丸めたタオルを頭の下に枕代わりに用意する。
「そうだね。ボクも、考えが正しいのかどうか、答え合わせがしたいっていつも思うよ」
のぞみも身体にかける毛布を用意して琴葉にかける。
「まぁ、多いに越したことはないが、あまりに色んな情報が入ってくると、騙される可能性や混乱する可能性もあるからの。難しいのう。わしは与えないことが重要だと考えるタイプでの」
なるほど、とのぞみは頷く。
「なんか、士官学校でやった情報論を思い出しました。情報を与えない。情報を得る。これが基本だけど、相手も同じ。だから、得ようとする相手に間違った情報を与える。逆に間違った情報を得ないように真偽を確かめる。これが情報戦だと。ただ、与えた情報の中に情報が入っている。嘘の情報の中にも必ず意図が含まれる以上、百パーセント無駄な情報はない。結局は、嘘の情報を与えるよりも、一切の情報を与えない方が良いことが多い」
のぞみは思い出しながら答える。
「のぞみ、すげぇな。よく覚えてんなぁ。一年でやったやつじゃん」
朝美が目を見開いて驚く。
「さすが、特待生といったところじゃな。情報がない状態じゃと、どうしてもオーソドックスな戦略、戦術を選択しがちになる。奇抜な作戦は減る。ゆえに対応も比較的楽になるという寸法じゃ。つけいる隙も減る上、自力勝負になりがちなのが欠点じゃがな。地の利がある分だけ、こっちが有利じゃ」
「くわえてホルツホックの情報が大きいですからね」
テラガルドが付け加える。




