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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第二部 第二次プルミエ侵攻
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アス老人の策、始動

 ここで、次を思案していたのぞみはアス老人の知恵を借りる。


もちろん、数パターンを用意し、次の行動を考えていたのであるが、どの選択肢にもないものだった。


「そんな馬鹿な! と、いいたいところですが、ない話ではないですね・・・・・・」


のぞみはアス老人の提言にしばし考え、テラガルドを見る。


「言われて気付きましたが、私もアスさんの意見には完全に同意です。実はホルツホックからの使者の報告中にもずっと疑問だったのですが、最後尾にあるのかとずっと疑問に思わずにおりました」


「わしもじゃ。アドランデ将軍、重装歩兵、最後尾という状況から必然とそうだと勘違いしておった。アインハイツ将軍のところから出てきた部隊はあくまでも一部じゃとな」


のぞみは本来の役割から、説得力があり、信頼性も高いことから、試し見る価値はあると踏んだ。


「やってみる価値はある、か。ちょっと被害が大きいかも知れないけど、リスクを取る価値はありそう」


のぞみは意を決して、伝令を送る。


行動だけでなく、目的もあわせて伝えることが大事だと感じ、しっかりと説明をする。





 太鼓の音だけが戦場に鳴り響き、そうしている間にも、少しずつ両者の間が縮まり、弓矢の射程範囲に到達する。


あとは、どちらが斉射してもおかしくないところだが、場の膠着感もあり、まだどちらも動かない。


のぞみの剣の上がる度に三歩ずつ進むわけだが、今はその三歩が非常に大きく、意味を持ったものに変わっている。


お互いにまだかまだかと時を待つ。


実は弓矢の紋章を掲げるだけあって、ヴィータ国の方が射程、強度ともに優れており、間合いの詰め合いになった際には有利なのだが、先の琴葉とティラドールの狙撃を見てしまった後である。


完全に射程と精度を誤認しており、機を逃していたのだった。


三度目ののぞみの剣の回転をみた敵陣は身を固め、動静を窺う。


タイミング的には斉射の開始合図が最も濃厚であるため、瞬時に身構える。

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