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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第二部 第二次プルミエ侵攻
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次なる圧

 一方、狙撃手により指揮官を二名失ったヴィータ国であったが、ここでもドルディッヒ王の対応が良い結果を生む。


「一人二人死んだくらいでガタガタ抜かすな。来るとわかってりゃ、避けれんだろぉが。あんな遠くからの矢にあたる馬鹿は最初からいらねぇよ。役立たずが。相手がこっちの射程に入ってきたら蜂の巣にしてやりゃあ良いんだよ。ボケが。おめぇら下々のものがない頭使って無駄に考えようとすんじゃねぇよ。来たら射る。そんだけだ。失せろ」


といって、ヴィータ国の一切の進言、苦言をはねのける。


確かに言うとおりなのだ。


損害はたった一名、もう一名は戦闘不能だが死んではいない。


変に動じず、自らの射程圏内まで待機するのが正解なのである。


最初は文句を言っていたヴィータ国の兵達も内容が実は正しいと思い直すと、指示に従う。


結果として動じることなく、陣形を維持することになる。





 再び太鼓の音とともに数歩ずつ前進、圧を加える。


お互いにそろそろ射程距離を意識し出す。


この時、中央部のプルミエ兵は若干の油断があった。


両翼は軽装騎馬があり、機動力でもって距離を詰められて攻撃される恐れがある。


その後ろに控える弓兵もヴィータ国の弓兵と同じ兵科であるため、射程距離は同等と考え、警戒は解けない。


しかし、中央だけは、軽装歩兵と弓兵であり、弓兵の方が勝る。


射程が違うのだ。


そこにほんの少しだが油断が生じる。


のぞみが剣を上に振り上げ、またしても剣を回転させる。


その動作を確認すると、敵国に動揺が走り、総員が身構える。


先の狙撃の前触れと同じなのだ。


当然である。


敵軍全体が警戒し、あたりを見回し、次は何かと身構える中、事態は動き出す。

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