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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
留学編
63/63

性懲りも無く

「んんん……」


体のあちこちが悲鳴をあげている。とっさに受け身を取ったことが功を奏したのか骨折はしてないようだ。


まさか、あそこで落っことされるは……どんだけ不幸な目にあえば気がすむんだろうか。


それにしても……


「なんだ……」


ぷにょ〜ん


さっきからこの手に伝わる柔らかい物はなんだ。


ボールでもないし、それよりも肉厚な感じがするな。


気になって起き上がると……


「……え?」


目の前にはなぜか、気絶している女の子がいる。


物語に出てきそうなお姫様のような顔立ちと何より金色に輝くガラス細工のような髪の毛を腰まで伸ばし、雪のように白い肌。


まさに、美少女だ。


そんな、女の子にまたがる感じで乗っかりさらに両腕は胸を鷲掴み状態。


第三者から見たら現行犯逮捕できるに違いないだろう。


「ひゃう!」


突如として、少女の唇から甘い声が洩れる。


ビクンッ!と跳ね上がると目が覚めたのかカズトと目が合ってしまった。


「………」


カズトの背中に冷え汗と寒気がツゥーと伝わる。


そして、いつまでも胸を鷲掴みにしている事に気がついていなかった。


「…………えっと」


カズトが弁解しようとする前に、少女が今の現状を把握すると、顔が真っ赤になり、湯気が立ち上った。


「へ、へへへ………」


へへへという言葉を連発する。カズトは今までの経験でこれがなにを言いたいのか。そして、なにが起きるのかは大体予想できていた。


目を閉じて覚悟する。


「変態!!!!」


少女の振り上げた拳が見事カズトの顎に命中し、そのまま、空を舞う。


(ジーザス。人間て空を飛べたのか……)


もろにアッパーを食らったカズトはそのまま地面に頭を強く打ち気絶してしまった。


「アレン様!」


カズトが気絶すると同時に従者らしき女性が膝をついて拳を振り上げたままのアレンに近づいていく。


「お怪我はございませんか!?」


よく見ると額からは汗が浮かんでいる。どうやら急いで来たようだ。


そして、騒ぎを聞きつけたのかぞろぞろと教師陣が集まってきた。


「あ、なんてことを……」


「アレン様、お怪我はございませんか!?」


破壊された校舎の一角を見て嘆くものや、それよりもアレンを心配するもの。


誰も、すぐ側に倒れているカズトの安否を確認しようともしない。


どの教師も腐っている。アレンはそう思った。


しかし、そんな空気もある人物が来た瞬間に変わる事になる。


「教職員の皆さん、私の孫は無事です。それよりもあそこで倒れている少年の方が重体みたいですよ?」


突然あわられたのは、アレンの祖父であり、エメレシア学園の6代目校長であるバリーだった。


不意に現れた人物に教師陣は驚きを隠せなかった。


「お爺様、その癖はやめてください。皆さんがびっくりするじゃありませんか。」


はぁ〜、とため息をつくアレン。


亡くなった両親の代わりに私を育ててくれた恩人であり、唯一心の底からアレンを心配してくれる。


しかし、一癖二癖ある性格でアポなしで授業を覗いてきたり、公務をほったらかすことがしばしば。


「そんな事じゃ、この先いきてけいけませんよ?私の気配に気づけんようでは、半人前もいいことろです。」


目の前に教師がいるのにもかかわらず、お構いもなしに発言する。教師陣も反応しずらそうに後ろめいている。


「なにしてるんですか?早く、彼を保健室へ連れて行きなさい。」


「はい!」


バリーに命令され、ようやく教師の一人がカズトの安否を確かめる。


命令されなきゃ動けないのか。バリーは心の底からこの学園の問題を深く嚙みしめる。


「息はあるようです。しかし、この学園の生徒ではありません。」


よく見てくださいと言われると、確かにこんな生徒は見たことがない、そもそも制服が違う。


「この制服はたしか……ニュークリアー学園のものですね。」


ニュークリアーという言葉を聞いて、全員の視線がカズトに集中する。


「もしかして、彼が例の……」


例とは交換留学のことである。


彼がその対象なら今頃、バリーが使役する白竜王に乗って飛行場につき、そこから場所で出迎えすることになっている。


「うむ、こやつで間違いないでしょう。」


いつの間にかバリーがカズトの元に移動し、どこからか出した資料をまじまじと見ながら本人かどうか確認していた。


「そろそろ、野次馬が来る頃でしょう。ちゃっちゃと運びなさい。」


「はい!」


バリーの言う通り、騒ぎを聞きつけた生徒達が続々と見物しに来ていた。野次馬で道がふさがれる前に気絶したカズトをタンカーに乗せ、保健室へと運んでいく。


「まったく、昔から変わりませんね。鬼神のカズト。」


運ばれていくカズトを見ながら何処か懐かしむ反面相変わらずだなとため息をついてバリーはその場を去った。


























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