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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
留学編
59/63

この日がきた。

あれから、一週間がたった。


カズトをはじめとした6人がグラウンド上のど真ん中に集合していた。


ここに集まった理由は他でもない。


「カズト君、心の準備はできてますか?」


「はい。」


「………そうですか。よかったです。」


ついにカズトがエメレシア学園に留学する日が来たのだ。


じっくり考え、アルラとも話し合った結果。承諾する事にした。


マサトーナもこの一週間の間の出来事を全て把握している。


最後の“よかったです,,は恐らく俺にしか聞こえないようにわざと声を下げたのだろう。


彼女も彼女なりに俺が不利なことにならないように色々と調整してくれてたおかげで、図書館で見つかることはなかったし、アルラとも仲直りできた。


むしろ、感謝すべきなのはこちらかもしれない。


まぁ、本人は「何も知りませんよ?」時な感じだからそういう事にしておこう。


「あなたは、我が校の落ちこぼれ(本当は最強)。しかし、それと同時にあなたはわ代表でもあります。恥のないように勉学に励んできてください。」


「はい!」


互いに敬礼する。


振り返り、見送りに来てくれたメンバーの元に行き一人一人と握手を交わす。


「カズト、元気でやれよ。」


「ああ。」


エドとの力強い握手、男同士の友情っていいものだと思った。


「カズト君、私も一緒に……」


「いえ、それはご遠慮願います……」


クラニーの言ってることは冗談に聞こえない。荷物に紛れてついてきそうだ。しかし、隣の方から殺気が溢れ出てるので諦めてくれた。


「ふん。精々野たれ死ないようにすることだな。」


「その前に君の握力で死にそう……」


握手してくれるのかと思ったら、血管を止めるぐらいの握力で握りしめてくるルナ。あいからわず、嫌われてるみたいだ。


「カズト殿、これを……」


「お、わざわざありがとうな。」


闇影から渡されたのは、黒のでかい球体がついたアクセサリーのようなもの。


よく見ると、変な文様が書いてある。まるの中に正三角形が複雑に絡み合っていて……なんて言えばいいのか。


魔法陣にしては、簡素すぎるしな……


じーっとその文様を眺めていると闇影がなんなのかを教えてくれた。


「我が一族に伝わる、秘伝のお守りでござる。きっと役に立つ時がくるでござる。」


「なるほどねぇ〜。」


最後の言葉が引っかかるが、ありがたいことには変わりない。この頃、不幸な目ばかり似合ってるからちょうどいい。


「お兄……カズト。いってらっしゃい。」


「ああ、行ってきます。」


アルラとのやりとりはいつも通りだった。


でも、これでいい。いつも通りでいいんだ。


お別れじゃないのだから、必ず戻ってくる。


そう信じているからだ。


………とは言っても、言い切れない気持ちでいっぱいらしい。必ず帰ってくるとはいえ、それがいつなのかは誰もわからない。


“お互いに厚生するまで,,


となると、俺の頑張り次第では早く帰れる可能性がある。


その間にアルラにも、頑張ってもらわないといけない。


しかし、一人ではどうしようもないことがある。


だから……


「アルラのことをよろしく頼む。」


「任せろ。」


アルラの友人であるアイリスに、なるべく厳しく、時に優しく手を差し伸べてあげて欲しいと頼んだ。


もちろん快く承諾してくれた。


全員との握手が終わり、マサトーナのところに戻るとふっと思いついたことがあった。


「そういやー、向こうの落ちこぼれって……」


誰なんだと聞こうとしたその時……


グガァァァァア!!


突如として、あたり一面が暗くなると上空から耳をつんざくような雄叫びが上がる。


「ど、どど、どどドラゴン!?」


エドが驚きの声をあげる。


それは、まさしくドラゴン。それも、カズト達が授業でみた資料よりもはるかに巨大な存在だった。


「どうやら、お迎えが来たみたいですね。」


この中でへっちゃらな顔をしてるのはマサトーナだけであった。


いつものことですと涼しげな表情で語っている彼女は恐ろしかった。


そのドラゴンはカズト達と目があうとこちらに近づき、上陸してきた。


「これは、エメレシア学園の6代目校長レバリー・ロッド・パルメールが使役しているドラゴン、白竜王(エルドラ)です。」


「「「「「「白竜王!?」」」」」」


その名を聞いて知らぬ者はいない。


白竜王は名の通り白色のドラゴンで周りの鱗が全部大理石でできており、個体数が少なく、みれば幸福になるとも言われている。


ちなみに、強さは天災級と言われている。


人間には決して懐かないと言われているが……


「どうやら、この白竜王はパルメール校長が赤ん坊の頃から育出たみたいです。」


成る程、それは合点がゆく。


「へぇ〜、これがドラゴンなんだ。」


気がつけば、アルラがペチペチと頭を叩いているではないか。


ドラゴンは頭を触られるのがあまり好きではなく、特に角は彼らの誇りであるため主人以外が触ろうものなら容赦なく殺す。


全員がアルラの行動に青ざめてる中……


クゥゥゥゥン


ところがどっこい、襲うどころか完全に懐かれていた。


さっきまでの雄叫びとは打って変わってどっからこんな声出し出るのだろうか。


「じゃ、俺も!!」


グガァァァァア!!


「ひゃ!!!!」


調子に乗ってエドが触ろうとした瞬間に鼻息でエドを吹っ飛ばした。


やっぱ、男はだめなんだ。


これから、俺はこれに乗ってエメレシア学園に行くようだが大丈夫なのだろうか。


心配だ。


アルラがドラゴンと戯れているのをジッ〜と眺めていると突然目があった。


鋭い眼光を浴びさられ、まるで俺の事を今かと襲いそうだ。


「汝が留学者(落ちこぼれか)?」


ドスの効いた声が脳内を駆け巡った。


幻聴なんかじゃない。完全にあのドラゴンが俺に話しかけてきたのだ。


どうやら、俺にしか聞こえてないらしく、他は気づく素振りも見せなかった。


「そうだが……」


龍の中には、高度な知識を持ち、会話ができる者もいると聞いたことあるが……伊達に王ってつくだけじゃないのか。


「くくく、実に面白いものを持ってるな……」


「これのことか?」


カズトは腰に帯刀してある神風を見せた。


どうやら、この刀が発する不思議なオーラに興味を持ったようだ。


風の精霊王の武器なだけあって無理もないか。


「それもそうだが……汝はそれ以上の物を持っているようだ。どうやら、訳ありな感じだな。」


ほんの出会って数分で俺の正体を見抜いた。


持っているとは、恐らくサクラのことだろうか。


抑えていたはずだが、どこからかサクラのオーラが漏れ出していたようだ。


しかし、流石の白竜王もオーラを感じ取っただけでそれがなんなのかはわからないようだ。


「まぁ、我には関係ないことだ。」


突然の竜王からの会話はあっさりと断ち切られ、それからは何を問いかけても答えなかった。


ところで……いつになったら出発するんだ?


竜王と戯れているアルラを見ながら前途多難だと思うカズトであった。






































































次回はついに旅立ちます!!多分!?

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