ごめんなさい
「よう、迎えに来たぜ。」
今の俺に、そんなことを言える資格があるのかはわからない。
どんな事を言われても構わない。何をされたって構わない。
覚悟を決めたんだ。逃げてばかりはいられない。
「俺が悪かった。お前の気持ちを考えないで……でも、これだけは言わせてくれ……」
言いかけたその時
ばさ!!
カズトに覆いかぶさる様にして、アルラが抱きついてきた。
突然のことで受け止めることが出来ずに、尻餅をついてしまう。
「ごめんなさい………」
すすり泣く、声が聞こえる。
彼女は一言、ごめんなさいと謝った。
それは、同時に“あえてよかった,,とも聞こえた。
カズトは、すすり泣くアルラの頭にそっと手を置いて撫でた。
すると、彼女は安心したのか疲れてしまったのか、胸元でスヤスヤと眠ってしまった。
何時間もこの場所にいて、祈りを捧げていたのだ。無理もない。
カズトは手頃なソファーをしたから持ってきて、そこにアルラを寝かした。それと、このままだと風邪をひくだろうから、制服をかけておいた。
起きるまで、しばらく様子をを見ようかなと思ってたら、不意にアルラの手がカズトの手を掴んだ。
「行かないで……」
寝言なのか、それとも夢で俺を探しているのか。
わからないがこれだけはいえる。
「俺は、ずっとここにいる。」
カズトはアルラの手を優しく握り返した。
すると、アルラは一瞬だが笑ったように見えた。
きっといい夢を見てるに違いない。
でもね、アルラ。夢の中だけじゃなくても、俺はいる。
そう、ここに。




