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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
留学編
52/63

最低!!

「ねぇ、本当なの?」


「………」


ここにきて、1番の問題が来てしまった。

どう説得しようか、これから考えようと思っていたところだ。


アルラの目は、明らかに行かないでと訴えている。そんな目をされたら、余計行きたくなくなるじゃないか。


「一生、隣にいてやるって言ってたじゃない!」


悲しみを通り越して、それが裏切られたことへの怒りに変わる。


告白のようにも聞こえるが、付け加えると、妹としてだ。


「どうして……どうして、何も言わないの!」


言わないんじゃない……言えないんだ。


「カズトの馬鹿! 勝手にいけばいいのよ!!」


バン!!


部屋から勢いよく出て行ってしまった。


部屋をなんとも気まずい空気が漂う。互いが気を遣い合って誰もしゃべらない。


アルラが出って言った時、彼女の目から一滴の涙が出ていた。


アルラが泣くところは何回も見た。


しかし、今回は何かが違う、重みがあった。


自分の申し訳なさと、身勝手さが許せない。


「おい、バカズト。」


「なん……」


パン!


気まずい空気の中、ルナがカズトに話しかけ、平手打ちをした。


「お前、最低だな。」


皮肉交じりに一言。しかし、それはどんな武器よりも鋭く、深く刺さった。


最低という言葉に、何も言い返せない。


「行きましょう、会長。このどアホ唐変木クソ野郎の事なんて、心配する価値がありません。」


「え、えっと……」


クラミーも突然、振られるものだかどう返事していいかわからないようだ。


「た、確かに、勝手に決めたカズト君も悪いわ。でも、貴方には他の問題があるわ。」


「他の……問題?」


それは一体どんな問題なんだろうか。わからない。


素直に聞こうとした。しかし、彼女はカズトが尋ねる前に部屋から出て行ってしまった。


残ったのはカズトを含めた3人。


その様子を見ていた。闇影はやれやれといった感じでため息をついていた。


「カズト殿、拙者が言うのもアレでござるが……女子を泣かせる殿方はルナ殿のいう通り最低でござる。」


口を開いたかと思うと、闇影からも厳しい一言が返ってきた。


しかし、闇影はカズトには見えない様に口をニヤリと動かし……


「男なら……覚悟を見せろ。師匠に言われた言葉でござる。」


意味深な言葉を残して、一瞬で消えた。


「覚悟を見せろ……」


覚悟。久しぶりに聞いた言葉だ。戦いの中でしか、見せたことがないものだ。


しかし、闇影のいった“覚悟,,とはそれとは全く違うものだ。


男としての、男のあり方としての覚悟だ。


俺はバカだ。どうしてそれに気付けなかったのだろう。


ルナもクラミーも同じことを言っていたんだ。平手打ちされた時は、痛いとしか思わなかったが、今は心に響いて、励ましになった。


「すまんマサトーナ!アルラの所へ行ってくる。」


「そうですか。けじめをつけてきてください。」


彼女もわかっている様で、カズトを止めようとはしなかった。つくづく、お前には叶わないよ、マサトーナ。


勢いよく、部屋を飛び出し、アルラが下宿している寮へと向かった。


******************


「ふふ、青春ですね〜」


勢いよく、出って行ったカズトを、温かく見守る。


教師として、教え子がいい方向へ育つことは何よりも、嬉しいことだ。


「さて、私は書類の続きをやりますか。」


未完成の書類に手を出し、業務に差し掛かる。


すると、突然電話が鳴り始めた。


「はい、マサトーナです。あ、これはこれはお久しぶりです。例の件ですか? 少々、問題が生じましたが、大丈夫です。

そちらの方は……」


電話の主はエメレシア学園の校長。例の交換留学の件についてだ。こちらの方は、ゴタゴタがあったが、本人がけじめをつけると言っていたから、問題はないだろう。


「………そうですか。では、失礼します。」


電話を切ると、マサトーナはため息をついて、窓の外を覗いた。


今日は、いい天気。しかし、これがいつまで続くことか。


「さて、こちらも行動を起こしますか。」


再び、受話器を取り、とある番号へとかけた。


しばらくして……


「もしもし、マサトーナです。大至急調べて欲しいことがあるのですが……」


誰もが知らない。何かが起きようとしていた。




























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