表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
番外編
45/63

似合うから!

お久しぶりです。

「やっぱりこれがいいかな……あ、でもこれもいいな……」


店内はピンクを主張とした水玉模様の壁紙で全体を覆っていた。


服はもちろんの事、化粧品などの年頃の女性にとって必要不可欠なものがたくさん置いてあった。


ひときわ目立つのが水着コーナーであった。店の役半分は使われ、店内も水着選びの女性でいっぱいであった。


在庫処分セールとあって値段もお手頃だ。


「そう、慌てるな。時間はたっぷりあるからな」

「そういう、アイリは人形買わなくていいの?」

「いや、いいんだ。私は見てるだけでいい」


アルラが水着を選んでる頃、アイリスはあのぬいぐるみを探していたのだ。


店員の案内のもと、店の隅にひっそりとぬいぐるみコーナーがあった。


可愛い物に目がないアイリスは隣にあった、猫のぬいぐるみまだ買おうとしたが、有名なデザイナーと職人がが手がけたものらしく、値段がかなり高かく、買えなかった。


アルラが密かにブラックカードを出そうとしていたが、アイリスはそれを拒んだ。


大人になり、自分が初めて稼いだお金であれを買うことを密かに決めていたのだ。


仕送りは、割と多い方ではあるがなるべく父には負担をかけたくはない。


「……でも、アイリは可愛いんだから。女の子らしくすべきだと思うよ?」

「ーーーッ! しかしな……」


可愛いという言葉に驚きを隠せない。アイリスはいままで、可愛いとは裏腹に怖いという印象をつけられていた。


それゆえ、いつも孤独だった。近寄ってくるのは、チャラい男か火遊びが好きな貴族ばかりであった。


まぁ、きつい口調なのも原因なのだが、それよりも王族という立場が彼女を苦しめていた。


いずれは国の顔となる身。粗相なんてしようものならい代表としての威厳が失われてしまう。


だから、泣きたい気持ちを抑えて我慢してきた。全ては王国の為に。


本当は寂しやがり屋の女の子。アルラだけがそれを知っている。


「ねぇ、これ見て」


アルラが取り出したのは、黒のビキニタイプの水着だった。


「うむ、悪くはないな」


どうやら、下着としても利用できるらしく、服を脱ぐばすぐ水着になる。プールに行くときは便利そうだ。


水をはじき、通気性抜群みたいだ。


「ねぇ、アイリ、これ着てみない?絶対似合うよ!」


突然の提案にアイリスは少々戸惑った。


「いや、私は……」

「試着室があるみたいだから、そこに行っこ!」


恥ずかしがるアイリスの腕を掴み、半端強引に試着室へ連れて行く。


「絶対、似合うから!」

「いや、だから……」

「に・あ・う・か・ら!」

「……はい」


アルラの強張った声には流石のアイリスも手が出せなかった。


「うう、なんで私がこんな目に……」


今ずく、逃げたい。しかし……


「1人で着れる?」


外にはアルラが見張っている。


「ああ、大丈夫です……」


裸になるのはやはり恥ずかしい。フローズン王国では、知っての通り寒いから泳ぐことなんてできない。


普段の口調ではなく、何故が敬語になってしまう。


「しかし、これを着るのか……」


改めて水着を見ると、自分には似合わないんじゃないかと思えてくる。アルラは絶対似合うからと言ってはいたが……


「ええい、もうこうなったらやけだ!」


凄まじいスピードで服、下着を脱ぎ、水着に着替えた。


少し。スゥスゥするのが慣れない。肌の露出はどうしても避けられないものか。


「ど、どうだ!?」


カーテンを開け、言われた通り、着てはみたが……


アルラはじーっと見つめ、他の客や店員までもがこちらを見てきた。恥ずかしいあまりにカーテンにくるまってしまった。


「すごく似合よアイリ!」

「そ、そうか?」

「ほら、自分を見て!」


後ろにある鏡で自分の姿を見る。


「似合う……のか?」


今まで、オシャレだとかに無関心であったが故に、わからない。


ただ、鏡に映る自分はいつもとは違う気がした。


顔は一緒なのに、どうしてここまで違うのだろうか。


「決定、これ買います!」


アルラは従業員を呼び、改めてアイリスに似合うことを確認させた上で水着を購入し、店を出た。


買ったばかりの水着を紙袋に入れ大事そうに

持ち歩いているアルラ。よっぽど気に入ったのだろうか。


「それでよかったのか?」

「うん、可愛いし」

「……そうか」


ここで疑問に思うことがあった。


なぜ、アルラは私に水着を着せたのだろうか。普通、自分が着て似合うかどうか試してから買うのが常識だと思う。


私とアルラでは体格が全然違う。身長もそうだが、何より胸が……これ以上は傷つきそうだからやめておこう。


気になって聞いてみたところ知り合いに、私と体型がそっくりな子がいて、その子のお土産なんだとか。


「次はどこに行く?」

「ああ、そうだな。そろそろお昼時だから何か食べに……」


柱になってあった地図を見て、どこかいいレンストランか食堂がなにか探しているととあるポスターに目がいく。


「本日、午後2時半から一階の演劇広場で水着ショーを開催? そんなのもあるんだな」


興味なく、スルーしようも思ったら下の方に優勝者の特典など細かく書いてあった。


「優勝者には、外食券1年分と……期間限定ぬいぐるみセット?」


そこには、先程、高くて買えなかった人形の名前が書いてあった。しかも、全種類付き。


二人一組で参加。受付は下の参加用紙をとって必要記入欄を全て埋めること。一時までに演劇広場の受付カウンターの職員に提出すること。


「もしかして、出たいの?」

「ま、まさか……」

「ちょっと見せて!」


ポスターを手に取り、アルラはじっくりと眺めた。


「アイリ、14時まであとどれくらい?」

「え!? あと15分ぐらいだが……」


アルラは2人分の参加用紙を手に取り、再びアイリスの腕を掴んだ。


「急いで! ぬいぐるみ欲しいんでしょ?」

「………うん」

「なら、決まりね」


2人は急いで演劇広場へと向かった。





























































次回、波乱の水着ショーです。お楽しみに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新しい作品を投稿ました。よろしければどうぞ!! 落ちこぼれ聖騎士の武者修行 http://book1.adouzi.eu.org/n6628dl/ 上のURLをクリックするとページに移ります。 よろしければどうぞ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ