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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
学園編
43/63

新たな敵。

「さぁ、殺ろか!」


最初に攻撃を仕掛けきたのは悪魔(おとこ)だった。


「ブースト!!」


地面を蹴ると同時に炎を爆発させ、その衝撃波で加速し、間合いを詰める。


「ブレイドフレイム!」


男がそう叫ぶと、宝剣に炎がまとい、如何なるものも切断しかねない炎の刃とかしていた。


キィイイイイ!!


考える前よりも本能のでその攻撃を受け止めていた。


白く美しく輝いていた宝剣からはマグマのような禍々しさがあり、如何なる鉄をも溶かす勢いだ。


「ほぉ、この炎に耐えるとはな。その刀、かなりの技者だな。」


技者どころか、伝説の武器だから驚くのも無理はない。神風は神樹から出来ている為に、生半可な炎じゃ燃やすことなんてできない。


「そうだな。その程度の炎じゃ、この神風は燃やせない。」


ダ!!


次の瞬間、一気に間合いを詰め男の脳天めがけて神風を振りかざす。


しかし、男はにやりと笑いその攻撃を刀で受け流した。


隙を作らまいと高速で刀を振るが、全て受け流され、体力が奪われていく。


「はぁ、はぁ……」


この程度、いつもなら息を切らさずに戦えた。気づけば、全身汗だくで地面に水たまりができていた。


原因はこの熱さだ。戦いに夢中で気づいてはいなかったが、あたりは炎の壁で囲まれていた。


さらに、炎が周りの酸素を吸収し、二酸化炭素が発生し、灼熱のサウナとかしていた。息をすると喉が焼けそうになる。


「熱いだろう?熱いだろうな〜。俺の炎は怨念だからな!」


苦しんでいるカズトに比べ、男は平然とし、汗ひとつもかいていなかった。


背中からでもその暑さが伝わってくる。そして、その炎が段々と近くに迫っていた。


「へへへ、これが俺の技、獄炎籠(パンドラ)。灼熱の炎がお前を囲んでじわじわと焼き尽くす。」


上下左右から炎の壁が迫ってくる。


「このままだと、お前も死ぬぞ?」


自分の心配よりも他人の心配をするのはいささかな者とは思うが、このままだと2人とも炎に包まれ焼けてしまう。


「けけけ、俺の身体は炎だ。この程度で燃え尽きる程怠けじゃないぜ。」


そう言って、自ら炎の中に飛び込んだ。自殺行為とも思われるが目の前の光景を見るとそうとは言えない。


「あっーはははは!!!!」


炎の中にいるにもかかわらず、不気味な笑みを浮かべながら笑っていた。まるで炎の中にいること……いや、自身を燃やしていることを快楽と思っているかのようだ。


「もっとだ!もっと燃えろ!俺の憎しみを燃やせ!!!!」


炎と意思疎通してるかのごとく、一層炎が巨大化し、カズトに向かって行く。


「燃えつきろ!!!」


上下左右の炎の壁が勢いを増して、籠となりカズトを閉じ込めた。


神風で炎を斬ろうとするが、空気を切るかのごとく、無意味であった。


「無駄だぁ! この炎は俺の生命(にくしみ)!ぜったに消えねー!」


獄炎籠の恐ろしいところはそれどころではない。完全に密閉されるため、中の酸素は徐々になくなり、呼吸しようとするものなら、その熱で喉がやけ、二酸化炭素を多く含むため中毒で死んでしまう。


おとなしくしていても窒息。暴れればその分時間が早くなるだけだ。


男は籠の中でカズトが苦しみながら死んでいくのを想像して楽しんでいた。普通ならこの辺りで悲鳴が聞こえるのだが、一向に聞こえない。


それどころか、異変を感じた。


炎はあいからわず燃えていて見た目は問題ないが、明らかに何かがおかしい。近くによって確認しようとした。


次の瞬間……


ドガーーン!!


突然炎が爆発し、男を吹っ飛ばしてしまった。


(何が起きた!? )


獄炎籠は少しでも力の入れ方を間違えれば自身を焼き尽くす恐れがある。しかし、この男に限れば小指一つで難なくこなせてしまう。


怨念のごとく燃えていた、炎は先ほどの爆発と爆風により全部消化されてしまった。残ったのは焼き焦げた建物や焦げた地面だけだ。


「な、なんだよそれは!?」


目の前の光景に男は驚いていた。カズトは先ほどとは違い明らかに変化していたのだ。


そう。それはカズトが闇影と戦った時とまさに同じような状態であった。


「…………」


見た目だけでなく、まるで性格まで変わったかのように何も喋らない。しかし、その目は明らかに獲物をかる猛獣のような瞳をしていた。


「へへ、そうかそうか。」


獄炎籠を破られたことにたいそう驚いてはいたが、直ぐに男は再び笑みを浮かべた。


「お前になら、使ってもいいかもしれないな。この、禁断の蒼炎を!!」


先ほどまでマグマのように赤く禍々しかった炎は透き通る蒼炎へと変わった。


「けけけ、こいつは俺自身も使うのは危なくてな。でも、お前になら使いがいがある!」


左右から出現した炎はやがて一つにまとまり、一つの球体とかした。


しかし、男がそれをカズト向けて放とうとした瞬間、その炎が凍りついた。


「ち、勝負の邪魔するな!」


突如として、裏方から青いマントを被った人物が登場した。


「時間だ。お遊びはこれまでにしておけグレン。」

「ちっ!」


先ほどとは打って変わって空気が一瞬で冷え込み、草木は凍り、建物の天井には氷柱がびっしりと並んでいた。


「……まって!」


逃すまいと追跡しようとしたら、目の前に氷の壁が出現し、道をふさいだ。


ガシャーン!


手に力を込め、氷を粉砕したが、すでに男たちは消えてしまっていた。


「………戻れ。」


いつも通りのカズトに戻り、改めて辺りを確認した。


「……戻ったのか?」


後ろの方が騒がしいと思ったら、そこは商店街出会った。多くの人が出入りしていて、霧どころか太陽がギラギラ輝いていて快晴出会った。


夢……なのではない。あれは明らかに現実であった。カズトの制服には防火性の高い繊維を使っているにもかかわらず一部が黒く焦げていた。


もう1人の人物については氷の魔法を使う以外わからないが、先ほどまでバトルしていたグレンという男と関係しているとなると放っていくわけにはいかない。


この事は、マサトーナに報告することにした。警戒するのは教会だけでない。奴らが何を企んでいるかはわからないが近いうちに何か起こるだろう。


もしかしたら、王都を……いや、この世界そのものを破壊しかねない力を持っていた。


時計を見ると、学園から出ていた時間も経っていなかった。しかし、疲れがでたため今日は帰ることにした。


「アルラ……大丈夫か……」


嫌な予感がする。何もなければいいが……

































あれ?力にに目覚めてない……

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