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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
学園編
35/63

お風呂での出来事。

どうすればいいのだろうか。


今はそのことで頭がいっぱいだ。女子生徒を助けるためとは言え、カズトは長年封印してきた過去(わざ)を反射的に使ってしまった。


実際はマサトーナの放った光線の光により、見物者は目をつむっていたが、カズトは見られたと思っている。


あの時、自分が身を投げ出してあの技を受けるか、光線の軌道をそらす方法もあった。


しかし、あの一瞬。力を無意識に求めていた。それが、助けたい思いとごちゃ混ぜになってしまったのだ。


幸い、女子生徒は気絶はしたが命に別条はなく、保健室に連れ込んで保険医のコーラン先生に治療を頼んだ。


サクラの言う通り、もう1人の自分がいる。サクラはそれが復活するのを願っている。あの技はサクラがカズトに与えた最初の力だ。


光を喰らい尽くす黒炎。まるで、炎が生きているかの如く、自ら光を求めて動き、成長する炎だ。


その炎がひとたび起きれば、大地から光のエネルギーを吸い尽くし、終わると次の大地へと移動する悪魔の炎。光のエネルギーを吸い尽くされた大地は砂漠と化し、生物は息絶える。歩く災害とも言われている。


歩く災害は4人の精霊王により、封印されたと古文書には書いてある。しかし、実際には完全に封印されていなかったのだ。封印というより、再生出来ないように、バラバラにしたというべきだろうか。


精霊王であっても封印しきれなかった品物を人間が扱う。極めて異端なことだ。


サクラはなぜ、この炎を持っていたのだろうか。サクラが何者かはカズトであってもわからずじまいだ。カズトの事をかなり気に入ってる事は間違いないことなのだが……


あの炎が人間にまとわりついたらどうなるのか。おそらく、魔力を吸い尽くした後に、最後に生命力を吸うだろう。


あの技を放った後の木刀は枯れ木のようにボロボロになり、灰となった。木の生命力を奪ったのだろう。


あの炎は魔力を調節することによって、威力を弱めることができる。自動的に消える仕組みになっているのだ。


武器の生命をも奪う最低な技だ。金属性の武器はどうなのかというと、金属は長い間放っておくと錆びることがある。実際には生きているのだ。たから、武器を錆びさせないように魔力でカバーするしか無いのだ。


「考えてもしかたないのか……」


あの後、授業は強制終了となった。せっかくの初めての授業がこんな形になってしまった。


快晴だったにもかかわらず、今は土砂降りだ。雨の音が心に響く。それは、孤独なものだ。


最初にサクラと出会った時もこんな土砂降りだった。ただ、あの時は少し特殊な雨だった気がする。雨一粒一粒が誰かの涙のように感じたのだ。


今も時々雨を見て思う。あれは誰かが泣いているんじゃ無いかと。女神様が泣いてるとか子供のような発想とは違う。もっと深い何かだ。


コンコン!


考え事をしていたら、扉を叩く音が聞こえる。食事の時間にしては早いし、今は食欲が無い。


「カズトいる? いたら返事して!」


その声には身に覚えがあった。カズトはすぐさまベットから飛び上がり、扉を開けた。


「アルラしゃないか。お前どうしたんだその格好……」


アルラの制服は泥まみれになっていた。


「いきなり雨が降ってきて……それで転んじゃった……」


あの土砂降りの中走ってきたということだろうか。それなら納得できる。最初はいじめられたのかと思ったがどうやら違うようだ。


「とりあえず、シャワーあるから浴びてこい。服装は……俺ので我慢してくれ。」

「わかった。」


そう言ってアルラはシャワー室へ向かい脱衣をする。俺は見ないように制服を拾って洗濯機へと入れておいた。下着類は抵抗はあったがこの際は仕方が無い。なるべく見ないように、制服の間にしまっておいた。


着替えは、体操服を用意しておいた。かなり大きいはずだから大丈夫だろう。


「ふう、サッパリした。」


シャワーの流れる音が終わり、アルラが出てくる声がする。一応、タオルも置いてあるし、何の問題も無いはず……


「ん待てよ……下着の替え持ってるのか?」


下着は洗濯機へ入れてしまった。アルラの手には替えの下着や服装なんて持ってすらなかった。ということは今、ノーブ………これ以上はよしておこう。


アルラは俺の体操服を着こなし……


「これ小さいんだけど……」


ぷるん!


2つの大きなスイカが揺れる。今まだわからなかったが、アルラって隠れ巨乳だったのか。


「すまない。それしか今は無いんだ。」

「まぁ、これはこれで悪く無いし……」


臭いが気になるのか一人の体操服を嗅ぎ始める。まだ、一回も着てないから臭くは無いはずなんだが……それより、今聞きたいことがあった。


「Sクラスの方はどうだ?うまくいってるか?」


SクラスとFクラスという大きな壁が出来たばっかりにしばらく会えなかったため心配だった。


しかし、アルラはカズトが思っていたよりずっと楽しそうな顔で……


「うん! アイリスって子と友達になったの!!」


アルラ曰く、アルラと同室が縁で話しがあい、友達になったんだとか。アルラのことを精霊ではなく、同じクラスメイトとして付き合ってくれているとのこと。


アルラの話しっぷりからしてアイリスという女子生徒はとても優しい子なのだろう。アルラはおっちょこちょい部分があるがそれが逆に良いのかもしれない。


「そうか、なら俺も会ってみたいもんだ。」


アルラの友達ならしっかりと挨拶をしなくてはならない。これから迷惑をかける……とまではいかないが、これからも仲良くして欲しい。


「あ! そういえば、アイリスもそんな事言ってた。[時間があれば貴殿と相見えたい]って。」

「時間か……なら、明後日の土曜日か。丁度、良いものができたし招待しようかな。」

「良いものってなに?」

「それは、その時のお楽しみ。ついでにアルラも来るか?」

「うん! いく!!」


あれを見たら、アルラもアイリスもきっと驚くに違い無い。


それはそうと、早くアルラをとどけなければまずい。年頃の男女が一室で夜を過ごすなんて周りにばれたら……殺される。


たが、生憎にも外は土砂降りだった。これはとても止みそうにも無い。


なので、アルラには泊まっていくかと聞いてみた所、とても喜んでいた。実はアルラがここにきたのはアイリスが怪我をしたため、一人で寝なければならなくて寂しかったとの事。


本当は良く無いのだが、カズトの部屋に泊める事にした。一応、契約者という肩書きがあるのだから問題は無いのだが……後でなんかものすごく言われそうだ。


丁度、時刻は4時半。そろそろ夕食の支度をする準備だ。FクラスはSクラスと違って自炊がほとんどだ。


夕食を作ろうとしたら、アルラが「私も手伝うといい」いつの間にか、エプロンをつけていた。


アルラの料理はとても上手い。ガイアにしつけられてるだけあってさすがだった。手さばきもカズトより器用である。


夕食はカレーライスを作る事にした。アルラにはメインのカレーを作る事に専念してもらい、カズトはバランスを考えてサラダを作る予定だ。


野菜を切っていると、後ろからジャーという野菜や肉が焼ける良い臭いがする。


「あとは一煮立ちするだけね。」


スパイスや香辛料を入れた水を鍋に入れ、弱火でじっくりと煮込んでいく。コトコトと良い臭いが部屋に充満してきた。


10分後……


「うん!良い感じ!」


アルラさカレーおたまですくい、小皿に入れて味見をした所、うまくできたようだ。


丁度、ご飯も炊けたらしく、後は盛るだけだ。


カズトは机を拭き、コップとスプーンと橋を用意する。その間に、アルラはご飯とカレーをよそってこちらに持ってくる。ご飯も輝いていてとても美味そうだ。


「「いただきます!」」


互いにカレーを口の中へ運ぶ。果たしてお味はどうだろうか……


「「美味い!」」


とてもスパイスが効いていて、それでいた野菜のコクやお肉の味も消えてない。ご飯も少し硬めなのがこれまたあう。隠し味にコーヒーを入れたと言っていたが、全然苦くなくて、香りな出て最高だ。チーズとか溶かしたら美味いかもしれない。


気づけば直ぐに食べ終わっていた。おかわりしようと思ったが、アルラに止められた。アルラ曰く、明日の分だからダメらしい。なにも、熟成でより美味しくなるからとの事。朝からカレーを食べるつもりなのだろうか。流石はアルラ。恐るべし!!


食べ終わった後はかたずけだ。カズトがスポンジに洗剤をつけて洗おうと思ったらアルラが止めてきた。


「私に任せて。」


そう言うと、アルラは呪文らしき物を称えた。すると、スポンジとカレーがびっしりついた皿が洗面器の中で回転し始めた。


「この間アイリスから教えって貰ったの。洗濯の呪文で、汚れを落としてくれるの。乾燥は無理だけど。」

「へぇ、すごいな。」


これなら、後は拭くだけだいいのだからとても楽だ。


そうとなると、後はなにもすることが無い。強いて言うなら、シャワーを浴びるくらいか。アルラに先を譲ったが、皿を洗いたいから先に入ってと言い返された。


よーく、考えればシャワーに入るべきなのは俺だった。マサトーナとの試合で汗まみれになり、制服はボロボロ。今は着替えているが、やはり汗臭い。ここは、遠慮なく入る事にした。


「ふう、あったかいな……」汗をかいた後のシャワーは心地良いものだった。頭を濡らし、シャンプーで頭を洗っていたら……


「背中洗ってあげる。」

「おお、ありがとう……て!?」


振り向くと、後ろには全裸……では無いがタオルで体を羽織っているアルラがいた。シャンプーをしていたため、深くは見れなかったが。


「なにしてんだ! 」

「だって……いっしょに入りたかったんだもん……」


それはそうと年齢を考えて欲しい。いくら、俺を信用してるからといって一緒に風呂に入るとなると……俺の中と獣が目覚めてもおかしくはない。こんな場面ガイアにでも見られたりしたら………三途の河で水浴びしてそうだ。


「寂しかったんだもん……私捨てられたかと思った……」

「俺が、お前を捨てるわけ無いだろ……」

「なら、一緒に風呂に入っても問題無いわね!!」

「いや、そういう問題!?」


いやいやいやいや深呼吸だ。深呼吸。この状況に適応するんだ。


「わかった。とりあえず背中を流してくれ……」

「ーーーッ本当!?」

「ああ。」


多分、なに言ってもここから出ないだろうから言う通りにしよう。背中を流すだけだ。そう流すだけ。それ以上何の問題があるというのだ。


恐らく、問題だろ!?と誰もが思うだろうがのぼせているのかわからないが今のカズトはそうは思ってないようだ。


10分後……


「危なかった……」


たかが、10分なのになぜだか永遠のような時間を感じた。


最初は優しく洗っていたが、途中からなぜだが胸を背中に押し付けてきたのだ。アルラは無意識にやっていたようだが、柔らかいものが背中い当たって、理性を保つのにやっとだった。


途中で異変に気づいたのか、「大丈夫?」と更に胸を押し付けてきたものだから流石にやばかった。いくらタオルを巻いてるからといって無防備すぎる。


シャワーで癒すどころか逆に疲れてしまった。なんだか、今日は運が良いのか悪いのかわからない。


時刻は20時。学園の消灯時間は22時まで決められているが、Fクラスに関しては決まりなんてもんは無い。監視員や見回りもも来ないから怒られることは無い。


しかし、色々あってもう寝るつもりだ。


アルラには俺のベットに寝てもらい、俺は床に寝るつもりだ。


アルラもアルラで疲れているらしく、布団に入ったらものの30秒で寝てしまった。


電気を消して、カズトも布団でねる。


男女同士、気になって眠れないのでは無いかと思うが、よく一緒に寝ていたのでそこは問題は無い。あそこに来た時はガイアも一緒に寝ていたし。


ゆっくりとカズトとは目を閉じた……


ところが、しばらくしてカズトは目を覚ました。なぜだか、耳元から寝息が聞こえるのだ。お化けが俺にいたずらをしている……というわけではなく、その寝息には見覚えがあった。


「……お兄ちゃん………」


アルラが俺のいつの間にか俺の隣に移動していた。ベットの方を確認してみると、布団がくしゃくしゃになっているわけでは無い。俺が寝る前から麦穂していたのだ。となると………


「相変わらず寝相が悪いな。」


カズトはアルラの寝相の悪さはとっくに慣れている。朝起きると必ず、カズトの横にいたのだ。それを見たガイアが勘違いして何回殴られたことか。本人は無意識に移動しているらしい。


しかし、起こすわけにはいかない。移動しようと思ったがアルラにがっちり捕まってしまった。手を南京錠のごとくがっちりしていて離せそうに無い。あの細い腕からどうやってこんな馬鹿力がでるのであろつか。


仕方がなく、そのまま寝ることにした。


友達ができたと聞いた時は安心したがまだ、子供だ。


カズトは優しく、アルラのあたまに手を乗せ撫でた。


「えへへ……」


寝ていてもこの感触は伝わるのだろうか。こうしてみるとカズトもまだアルラから独立していない。


「大人にならなきゃいけないのは、アルラじゃなくて、俺の方かもな……」


アルラの事をそろそろ心配するのはよすべきかもしれない。もう、彼女は自分の居場所を探 突き止めている。俺から、離れるのも時間の問題かもしれない。


その時はその時だ。


今は、この笑顔をできるだけ守りたい。そう、絶対に……



































ちょっと、色っぽいシーンに挑戦してみた。なかなかうまく書けないものだ……

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